それでも私は生きている 。それでも私は生きて行く。

天野 みろく

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第4章

再び私

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弟が亡くなった後、暫くして私達は引っ越しをする事になった。

母親が自分のお店を構えることになったからである。
お店と言ってもやはり、夜の店であり相変わらず私は寂しい思いをしていた。

姉が中学生に入学し、私は小学校に入学した。

小学校に入って初めてのお正月を迎えた。私はその当時流行っていたローラースルーゴーゴーと、ゲイラカイトが欲しくてたまらなかった。

ローラースルーゴーゴーをわかりやすく今風に説明すると、キックボードのような物だ。

ゲイラカイトはいわゆる凧でるが、今のスポーツカイトのような物で一般的だった和風の凧に比べてオシャレでカッコよく物凄い距離まで飛ばす事が出来た。

決して裕福ではない私の家ては買ってもらえるはずもなく、友達のを借りたりしていた。

ある日学校から帰ると、母親はいつものように寝ていた。

お腹の空いた私は冷蔵庫に向かう為キッチンへ行くとテーブルの上に領収書らしき書類と、千円札が何枚か置いてあった。

思わずゴクリと息を飲んだ。

冷蔵庫の取手をつかみながらお金を見つめていた。

衝動的だった。三千円ほどポケットにねじ込むと足早に家を飛び出していった…


ドキドキと興奮が治らない私はその足で友達の家に行った。

私『いまから、ゲイラカイトで遊ぼう!』
友人『俺、ゲイラ待って無いけど…』
私『大丈夫!俺に任せとけって』
友人『どう言う事⁉️』

と、戸惑う友人に向かって私は買えば良いのさと言い放ち2人でお店に向かった。

ゲイラカイト当時700円くらいだったと思う。友人の分と自分の分、その他お菓子やジュースなど買い込み放課後の学校のグランドに向かった。

7歳の私には3千円と言う金額は大変な高額であった。

夕方になり友人と別れた後、恐ろしいほどの不安と恐怖が押し寄せて来た。

私『どうしよう。このまま帰れないや。』

一気に罪悪感と恐怖が込み上げてなかなか家に帰る事が出来なかった。

時刻は午後7時を過ぎていた…

覚悟して帰る事を決めた俺は恐る恐る家のチャイムを鳴らした。

姉が出てきた。

姉『あんたはこんな時間まで何処に言ってたんだ!心配してたんだよ!』

と私を怒鳴りつけた目には涙を浮かべていた。

私『ごめんなさい』

と言うと涙が溢れ出し泣いてしまった。

母親は、お店に行って家にはいなかったが、姉が母親に電話をしている声が聞こえていた。


正直母親がいない事に安堵したが、それも束の間、5分もしないうちに仕事を抜け出した母
が帰ってきた。

母は泣きながら私を何度も何度も叩いてきた。

私『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…』

母『あんたは、いつから泥棒になったんだ!』

と言うと、家の柱に私を縛りつけ、ベルトで何度も何度も叩かれた。

今考えてみると、これは虐待では?
しかし、昭和の時代は悪い事すると近所のおじさんとかにゲンコツくらったりしていた時代でもあったが、ベルトをムチ代わりとはひどいもんである。
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