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「そうか、ルシードがエミリアに婚約破棄ねぇ・・・」
「ええ、ですが・・・とてもルシード様の本心とは・・・」
「・・・・・・その辺は私には分からないけどね」
「セリム様・・・」
「シェイラ・・・君がそんな顔する事無いよ」
「でも・・・あの時・・・皆がとても正気とは・・・思えませんでした」
「・・・どういう事?」
「ティアラさんの言うこともいつもなら誰も信じないんです・・・エミリア様がお優しい事・・・皆わかってますから。でも・・・今日は・・・皆がティアラさんのことを疑わず信じていて・・・それはとても異常な光景でした・・・」
「・・・・・・」
「ルシード殿下も・・・今までもティアラさんと一緒の所はたまに見ていましたけど・・・今日のようにティアラさんを愛しているなんて・・・そんな事・・・」
「そう・・・」
「黒い何かが学園の皆を覆っていて・・・まるで・・・皆何かに操られているような・・・そんな感じでした」
「・・・では、何でシェイラとエミリアは大丈夫だったのかな・・・」
シェイラから学園学園の様子を聞いたセリムが呟いた。
「多分これですわ」
シェイラがそう言ってセリムに見せたのはセリムが贈ったネックレスだった。
 


不思議と学園は普段と変わらなかった。あんなに異様な事が起こった後だと誰も思わない。
どうやらティアラさんの魔法でああなっていたようで皆の記憶の中にあの日の記憶は無かった。
しかしあの日から殿下とティアラさんは学園に現れないまま・・・。


殿下の姿が消えてから城に呼ばれた。
国王様と王妃様から・・・。
「ご無沙汰しております」
謁見の間にて私はお2人に向かって恭しく最敬礼をとる。
「そう、堅苦しくせずともよい」
「そうよ、エミリアちゃん。顔を上げて・・・」
そして顔を上げて久しぶりに見た王妃様は少しやつれて見えた・・・。その姿に少し泣きそうになったが、お二人の前で醜態を見せるわけにいかないので何とか耐えた。
「此度は大変な目に合わせてしまったな」
「いえ、そのような事・・・」
何と言っていいのか分からない。きっとお二人の方がきっとずっと大変だろう。何が起きているかもハッキリと分からない・・・殿下も何処に行ってしまったのか・・・。さぞご心配な事だろう。
「エミリア・・・貴女がルシードの婚約者で良かった。貴女のような優しい子で・・・」
「いえ・・・私なんか・・・」
王妃様の優しい言葉にさっき耐えた涙が戻って来る。
「殿下は・・・」
「いや、まだだ」
「そうなのですね・・・」
「・・・実は今日呼んだのはその辺りの話をしようと思ったからでな」
「はい」
「実はルシードにティアラ嬢の事を調べるように言ったのは私なんだ」
陛下はゆっくり話し出した。
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