私に悪役令嬢を強要してくる転生者なヒロインと悪役令嬢にはなりたくない転生者じゃない私

きんのたまご

文字の大きさ
上 下
18 / 32

17

しおりを挟む
「そうか、ルシードがエミリアに婚約破棄ねぇ・・・」
「ええ、ですが・・・とてもルシード様の本心とは・・・」
「・・・・・・その辺は私には分からないけどね」
「セリム様・・・」
「シェイラ・・・君がそんな顔する事無いよ」
「でも・・・あの時・・・皆がとても正気とは・・・思えませんでした」
「・・・どういう事?」
「ティアラさんの言うこともいつもなら誰も信じないんです・・・エミリア様がお優しい事・・・皆わかってますから。でも・・・今日は・・・皆がティアラさんのことを疑わず信じていて・・・それはとても異常な光景でした・・・」
「・・・・・・」
「ルシード殿下も・・・今までもティアラさんと一緒の所はたまに見ていましたけど・・・今日のようにティアラさんを愛しているなんて・・・そんな事・・・」
「そう・・・」
「黒い何かが学園の皆を覆っていて・・・まるで・・・皆何かに操られているような・・・そんな感じでした」
「・・・では、何でシェイラとエミリアは大丈夫だったのかな・・・」
シェイラから学園学園の様子を聞いたセリムが呟いた。
「多分これですわ」
シェイラがそう言ってセリムに見せたのはセリムが贈ったネックレスだった。
 


不思議と学園は普段と変わらなかった。あんなに異様な事が起こった後だと誰も思わない。
どうやらティアラさんの魔法でああなっていたようで皆の記憶の中にあの日の記憶は無かった。
しかしあの日から殿下とティアラさんは学園に現れないまま・・・。


殿下の姿が消えてから城に呼ばれた。
国王様と王妃様から・・・。
「ご無沙汰しております」
謁見の間にて私はお2人に向かって恭しく最敬礼をとる。
「そう、堅苦しくせずともよい」
「そうよ、エミリアちゃん。顔を上げて・・・」
そして顔を上げて久しぶりに見た王妃様は少しやつれて見えた・・・。その姿に少し泣きそうになったが、お二人の前で醜態を見せるわけにいかないので何とか耐えた。
「此度は大変な目に合わせてしまったな」
「いえ、そのような事・・・」
何と言っていいのか分からない。きっとお二人の方がきっとずっと大変だろう。何が起きているかもハッキリと分からない・・・殿下も何処に行ってしまったのか・・・。さぞご心配な事だろう。
「エミリア・・・貴女がルシードの婚約者で良かった。貴女のような優しい子で・・・」
「いえ・・・私なんか・・・」
王妃様の優しい言葉にさっき耐えた涙が戻って来る。
「殿下は・・・」
「いや、まだだ」
「そうなのですね・・・」
「・・・実は今日呼んだのはその辺りの話をしようと思ったからでな」
「はい」
「実はルシードにティアラ嬢の事を調べるように言ったのは私なんだ」
陛下はゆっくり話し出した。
しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】 僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。 ※他サイトでも投稿中

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

もう、いいのです。

千 遊雲
恋愛
婚約者の王子殿下に、好かれていないと分かっていました。 けれど、嫌われていても構わない。そう思い、放置していた私が悪かったのでしょうか?

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

処理中です...