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「いつもこのネックレスを付けているんだよ、きっとエミリアを助けてくれるからね」
お兄様から贈られたお守り代わりのネックレスを付けて私は学園に向かう。
「分かりました!行ってきます!」


2週間ぶりの学園はいつもと変わらない日常、ただ殿下の隣に私がいないだけ。
「エミリア様おはようございます」
「おはようございます」
クラスメイトに声を掛けられる。
「お久しぶりでございますね、やはり王妃教育等お忙しかったのですか?」
私が倒れた事は知らされていないようだ。
「いいえ、王妃教育の方はほぼ終わっておりますのでちょっと他の用事で」
「そうなんですね、やはりエミリア様ともなると色々お忙しいのですね」
「そんな事はありませんよ」
そんな話をしながら教室に入る。
「エミリア、おはよう」
私の姿が見えたシェイラが私の元に足早に近付いて来る。
「シェイラおはよう」
「もう大丈夫なの?」
「?」
「倒れたのでしょう?」
「お兄様から?」
「ええ」
「もう、大丈夫!そんなに大したものではなかったのだけれど心配したお兄様からなかなか外に出して貰えなかっただけなのよ」
「そう、ならいいけど。無理せず辛くなったりしたら言ってね?」
そう言ってシェイラが私の手をとった瞬間。
ぱしん!
頭の中に手を叩き落とされたような映像が流れてくる。
はっと自分の手を見るとしっかりシェイラに握られている。
「どうしたの?大丈夫?」
心配そうに見つめるシェイラ、その言葉に大丈夫と答え自分の席に着く。
あの感覚、なに?私は自分の手を見つめる、シェイラが私の手を叩き落としていた・・・そんな事・・・あるはずないわ。気のせいだと首を振る、大丈夫そんな事されてない大丈夫。自分にそう言い聞かせるのだった。


お昼、シェイラと食堂に向かう。
途中あの中庭に差し掛かる、ベンチに座る2つの影・・・殿下と・・・ピンクブロンドの少女。
私がそちらを見ているとシェイラがそれに気付く。
「あら殿下じゃないの、声かけないの?」
「・・・ええ、誰かとご一緒のようだし」
「あら、ほんと・・・あの子魔法科に途中で入って来た子だわ」
「そう・・・あの子が・・・」
あの子が殿下が仰っていた平民の子。私が黙った事で殿下が女の子と2人でいるのを見てショックを受けたと思ったシェイラが腹立たしそうに言う。
「殿下、婚約者のエミリアを放って置いてあんな子と何をしているのかしら。まったくもう!あの子もあの子よね、殿下に婚約者がいるなんて有名なのに、そんな方と2人になるなんて!」
「・・・学園に入ったばかりで不安なのですわ・・・行きましょう」
私はそう言って2人がいる中庭から目を背け食堂へと向かった。
背中に2人の楽しそうな声がいつまでも聞こえていた。


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