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殿下とのお茶会から程なくして私は学園に通う機会が出来た。
王妃教育が落ち着いたので週1回になった為だ。
「明日は久しぶりの学園だわ。授業についていけるかしら?」
自分の部屋で学園での勉強の復習をしながら呟く。
「お嬢様でしたら大丈夫ですよ」
私の言葉に答えるようにアンナが紅茶をテーブルに準備していた。
「ノックさせて頂いたんですがお返事がありませんでしたのでまたお勉強を頑張りすぎていらっしゃるのでは無いかと思い覗かせて頂いたら案の定だったのでいつものように勝手に準備させて頂きました。さぁお嬢様、少しご休憩されて下さい」
「ふふっ、いつもありがとうアンナ。そうねちょっと休憩が必要ね」
私は学習机からお茶を準備してくれたテーブルへと移動する。
「アンナも座って。一緒にお茶にしましょ」
「はい!」
主と使用人が一緒にお茶をするなんてまあ人前では褒められた事では無いのだが私はアンナをただの使用人とは思っていないので話し相手をしてもらうという理由を付けて一緒にお茶を飲む。先程も言いましたが勿論2人だけの時ですよ。
「お嬢様は少々頑張りすぎですよ」
「・・・そうかしら?」
私は苦笑しながらそう言う。
「はい!そうです!」
「そんなに力いっぱい言わなくても・・・」
アンナは私があの夢を見始めてから雇われた使用人、だからあの夢を見始めるまでの我儘な私を知らない。
私は変わったつもりでいるけれど・・・殿下はあの頃の私を知っている。
今は愛していると言ってくださっているが、あの頃の私がまた戻って来たら・・・。
いいえ!私は変わったの。人に優しくするようになって優しい気持ちが返って来て、私はあの頃の私よりも今の私が好き。絶対に小さく愚かだった私には戻らないましてやあんな夢のようにはならない。
「あっ、そういえばお嬢様」
「っ?なに?」
いけないいけないボッーっとしてしまったわ。
「私殿下の側近の・・・えっと・・・」
「グレン様?」
「あっそうそう!その方です」
「もう・・・相変わらず人の名前をなかなか覚えないのね」
「いや~お嬢様以外に興味がもてず、すいません」
そう、アンナはとても優秀だけど自分の興味が持てない事にはその力は発揮されない・・・ちょっと残念な感じ。
「まあいいわ、で?グレン様がどうかしたの?」
「いいえ、そのグレン様からお話を伺ったんですよ!何だか最近学園の様子がおかしいのでエミリア様が通うなら気を付けてって」
「様子がおかしい?」
「はい、どこがどうおかしいとか詳しくは仰らなかったんですが・・・」
「・・・そう・・・」
学園の様子がおかしいなんてそんな話を誰からも聞かないけれど・・・。
それに殿下にこの間お聞きした時は何も変わらないと仰っていたのに。
・・・もしかして、私に何か隠している?あの時、殿下の顔が少し険しかったのは見間違いじゃなかったのかも。
「でも大丈夫ですよ!お嬢様には殿下という心強い味方がいますからね!」
そう言って屈託なく笑うアンナに私も笑顔で返す。
「そうね」
分からない事をここで考えていてもしょうがないわ、どちらにせよ明日は学園に行くのだもの学園の様子がどうおかしいかは分からないけれど自分の目で見てはっきりさせるだけの事だわ。
「よし!じゃあ復習の続きでもしようかな」
王妃教育が落ち着いたので週1回になった為だ。
「明日は久しぶりの学園だわ。授業についていけるかしら?」
自分の部屋で学園での勉強の復習をしながら呟く。
「お嬢様でしたら大丈夫ですよ」
私の言葉に答えるようにアンナが紅茶をテーブルに準備していた。
「ノックさせて頂いたんですがお返事がありませんでしたのでまたお勉強を頑張りすぎていらっしゃるのでは無いかと思い覗かせて頂いたら案の定だったのでいつものように勝手に準備させて頂きました。さぁお嬢様、少しご休憩されて下さい」
「ふふっ、いつもありがとうアンナ。そうねちょっと休憩が必要ね」
私は学習机からお茶を準備してくれたテーブルへと移動する。
「アンナも座って。一緒にお茶にしましょ」
「はい!」
主と使用人が一緒にお茶をするなんてまあ人前では褒められた事では無いのだが私はアンナをただの使用人とは思っていないので話し相手をしてもらうという理由を付けて一緒にお茶を飲む。先程も言いましたが勿論2人だけの時ですよ。
「お嬢様は少々頑張りすぎですよ」
「・・・そうかしら?」
私は苦笑しながらそう言う。
「はい!そうです!」
「そんなに力いっぱい言わなくても・・・」
アンナは私があの夢を見始めてから雇われた使用人、だからあの夢を見始めるまでの我儘な私を知らない。
私は変わったつもりでいるけれど・・・殿下はあの頃の私を知っている。
今は愛していると言ってくださっているが、あの頃の私がまた戻って来たら・・・。
いいえ!私は変わったの。人に優しくするようになって優しい気持ちが返って来て、私はあの頃の私よりも今の私が好き。絶対に小さく愚かだった私には戻らないましてやあんな夢のようにはならない。
「あっ、そういえばお嬢様」
「っ?なに?」
いけないいけないボッーっとしてしまったわ。
「私殿下の側近の・・・えっと・・・」
「グレン様?」
「あっそうそう!その方です」
「もう・・・相変わらず人の名前をなかなか覚えないのね」
「いや~お嬢様以外に興味がもてず、すいません」
そう、アンナはとても優秀だけど自分の興味が持てない事にはその力は発揮されない・・・ちょっと残念な感じ。
「まあいいわ、で?グレン様がどうかしたの?」
「いいえ、そのグレン様からお話を伺ったんですよ!何だか最近学園の様子がおかしいのでエミリア様が通うなら気を付けてって」
「様子がおかしい?」
「はい、どこがどうおかしいとか詳しくは仰らなかったんですが・・・」
「・・・そう・・・」
学園の様子がおかしいなんてそんな話を誰からも聞かないけれど・・・。
それに殿下にこの間お聞きした時は何も変わらないと仰っていたのに。
・・・もしかして、私に何か隠している?あの時、殿下の顔が少し険しかったのは見間違いじゃなかったのかも。
「でも大丈夫ですよ!お嬢様には殿下という心強い味方がいますからね!」
そう言って屈託なく笑うアンナに私も笑顔で返す。
「そうね」
分からない事をここで考えていてもしょうがないわ、どちらにせよ明日は学園に行くのだもの学園の様子がどうおかしいかは分からないけれど自分の目で見てはっきりさせるだけの事だわ。
「よし!じゃあ復習の続きでもしようかな」
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