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妻
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今日は昼間に実家である侯爵家へと帰っていた。お母様からお茶会の招待状が届いたからだ。
うちは旦那様が堅苦しい貴族ではないし普段屋敷に人を呼んで社交に勤しむことはない。でもそれでは目まぐるしく変わる世間に置いていかれる。貴族にとっては情報収集も立派な仕事だ。
だが旦那様が意欲的では無い事を屋敷で行う訳にもいかず定期的にお母様にお茶会を開いてもらい貴族の情報を聞き込みしている。
いつもより少し着飾ってお茶会へと向かう。
「あら、ディアナ様。御無沙汰しております。それにしても相変わらずお綺麗ですわね」
「ありがとうございます。貴方もとてもお綺麗ですわ。そのドレスも流行りのもので素敵ですわ」
「ありがとうございます。これは主人からの贈り物なんですよ」「あら、羨ましい。とても仲がよろしいんですねぇ」
「ディアナ様こそ旦那様とは仲がよろしいんでしょう?ディアナ様がお綺麗なのは愛されておいでだからですわね」
「いえ、それ程では。うふふ」
はぁ。疲れた。早く家に帰りたい。
あー。でもあの方旦那様と仲が良さそうで羨ましい。
何だか虚しくなってきた。
もうそろそろ帰ろうかと思った所にお父様のお姉様。つまり叔母様が話掛けてきた。子供の頃から実の娘のように可愛がって下さる叔母様。
「叔母様!お久しぶりです!」
「本当に。ディアナ元気にしていた?」
そう言って変わらない優しい笑顔を向けてくれる。
「…ところでディアナ」
「はい?」
「貴方達子供はまだなの?」
「………。」
えっ?子供?私と旦那様の?
考えだけで私は一瞬で真っ赤になった。
「あらあら、まだそんな初心な反応をして。私ももう若くないし元気なうちに貴方達の子供が見たいわ」
「叔母様はまだまだ若いですわ。そんな事おっしゃらないで」
「ふふ、ありがとう。でも貴方達の子供が見たいのは本当の事よ」
そう言って私の頬を撫でてお母様の元へと歩いて行った。
1人の寝台の上。今日の叔母様の話を思い出す。
「子供かぁ」
それは私も旦那様の子供は欲しいと思う。旦那様だって元庶民でも今は貴族になったからには跡継ぎが必要なのだ。
1度旦那様に相談した方がいいのかしら。でも私からそんな事…。
モヤモヤして眠れない。
…旦那様はもうお帰りかしら。
…よし!こうしていても仕方ないわ。旦那様の所へ行ってみましょう。
私はベッドから抜け出し旦那様の私室へと向かう。
扉の前、ノックしようと手をあげかけたその時
「いや、子供のことなんだけど…」
はっ?子供?誰の?
しばらく私はその場でフリーズした。
声を潜めて話だした旦那様。その後の話は聞こえて来なかった。
私は誰にも気付かれないようにそっとその場を離れた。
旦那様、もしかして他所にお子がおられるのかしら。
そうしたら私は.........。
うちは旦那様が堅苦しい貴族ではないし普段屋敷に人を呼んで社交に勤しむことはない。でもそれでは目まぐるしく変わる世間に置いていかれる。貴族にとっては情報収集も立派な仕事だ。
だが旦那様が意欲的では無い事を屋敷で行う訳にもいかず定期的にお母様にお茶会を開いてもらい貴族の情報を聞き込みしている。
いつもより少し着飾ってお茶会へと向かう。
「あら、ディアナ様。御無沙汰しております。それにしても相変わらずお綺麗ですわね」
「ありがとうございます。貴方もとてもお綺麗ですわ。そのドレスも流行りのもので素敵ですわ」
「ありがとうございます。これは主人からの贈り物なんですよ」「あら、羨ましい。とても仲がよろしいんですねぇ」
「ディアナ様こそ旦那様とは仲がよろしいんでしょう?ディアナ様がお綺麗なのは愛されておいでだからですわね」
「いえ、それ程では。うふふ」
はぁ。疲れた。早く家に帰りたい。
あー。でもあの方旦那様と仲が良さそうで羨ましい。
何だか虚しくなってきた。
もうそろそろ帰ろうかと思った所にお父様のお姉様。つまり叔母様が話掛けてきた。子供の頃から実の娘のように可愛がって下さる叔母様。
「叔母様!お久しぶりです!」
「本当に。ディアナ元気にしていた?」
そう言って変わらない優しい笑顔を向けてくれる。
「…ところでディアナ」
「はい?」
「貴方達子供はまだなの?」
「………。」
えっ?子供?私と旦那様の?
考えだけで私は一瞬で真っ赤になった。
「あらあら、まだそんな初心な反応をして。私ももう若くないし元気なうちに貴方達の子供が見たいわ」
「叔母様はまだまだ若いですわ。そんな事おっしゃらないで」
「ふふ、ありがとう。でも貴方達の子供が見たいのは本当の事よ」
そう言って私の頬を撫でてお母様の元へと歩いて行った。
1人の寝台の上。今日の叔母様の話を思い出す。
「子供かぁ」
それは私も旦那様の子供は欲しいと思う。旦那様だって元庶民でも今は貴族になったからには跡継ぎが必要なのだ。
1度旦那様に相談した方がいいのかしら。でも私からそんな事…。
モヤモヤして眠れない。
…旦那様はもうお帰りかしら。
…よし!こうしていても仕方ないわ。旦那様の所へ行ってみましょう。
私はベッドから抜け出し旦那様の私室へと向かう。
扉の前、ノックしようと手をあげかけたその時
「いや、子供のことなんだけど…」
はっ?子供?誰の?
しばらく私はその場でフリーズした。
声を潜めて話だした旦那様。その後の話は聞こえて来なかった。
私は誰にも気付かれないようにそっとその場を離れた。
旦那様、もしかして他所にお子がおられるのかしら。
そうしたら私は.........。
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