周りから見たら明らかに両想いなのに当人同士はどちらも自分の片想いだと思っている夫婦の話

きんのたまご

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私は見合いの場で初めて見た侯爵家のお嬢様であるディアナに恋をした。
青みががったシルバーの髪にエメラルドの様な翠の瞳、肌は透き通るように白く絵本の妖精がこの世に出て来たのかと思わせるような雰囲気。
その姿は眩しく思わず眉を顰めるほど。
私は挨拶も忘れ10秒は見蕩れていたと思う。
あの時の自分は今から思い出しても気持ち悪かった。

そもそも私は貴族では無い。では何故侯爵家のご令嬢と結婚出来たのかと言うと、それは2年前に遡る。
この年の冬は雪が多くとても寒い年だった。毎年それなりに病気は流行るものだがその冬は厄介で原因不明の高熱がとても流行った。
私は旅をしながら色んな国の薬草を取り扱う薬師だった。
私がこの国に着いた時、病気による死者が出でいた。
原因不明の熱だから伝染る前に出て行ったほうがいいと宿で言われたが、原因不明と言われていた病気に私は心当たりがあった。
それはこの国から凄く遠くの万年冬のように寒い国で毎年流行る病気で私はその薬をもっていた。
すぐに国王陛下の所に行き、私が持っている薬と知識を城の薬師に伝えた。
私のその行動で思ったよりも早く病気は終息しその時の功績でこの国に店と屋敷を与えられた。

もうお分かりだと思うがその功績があり、私は国王陛下からの覚えが良い。
そしてこの見合いは国王陛下からの話だった。
また旅立つ事が無いようにこの国に家族をという国王陛下の思惑が透けて見えていた。 
正直初めは面倒だと思っていたがその場でディアナに一目惚れした私は国王陛下の思惑通りディアナと結婚した。

ずっと旅する生活を送っていた私はお客以外の女の人との触れ合いはなくとても奥手だ。
し、しょ、初夜は何とか頑張ったがとてもじゃないがあんな美しい妻の横で寝られる自信がない。
そもそもあの功績がなければ私はディアナに相応しい相手では無かった。
だから毎晩仕事が終わったあと義理の父であるディアナのお父様からこの国の事を習う。

私がディアナを好きになってしまったせいでディアナは好きでもない男と結婚することになってしまった。
悪い事をしてしまったという思いはあるがディアナを手放せそうにはない。

ゴメンねディアナ。なんとか私を好きになって貰えないかと小さな望みにかけて今日もディアナにせめてもの優しさを見せる。
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