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そして明かされる真実⑤
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「貴方に自分で考えて気付いて欲しかったから」
フレアは一言そう言った。
そしてしばらくの沈黙の後、再び話し出す。
「貴方は本当に何も聞こうとしなかった……そして何も認めようとしなかった。そんな貴方にもう何を言っても無駄だと分かっていたし、貴方への気持ちなんてものもとっくに無くなっていたけれど、それでもそのせいで周りの人が不幸になるのは我慢ならなかった……」
そう言ってフレアは俯いた。
「恨んでいないのか……?」
自分でも馬鹿な質問だと思う。
普通ならあんな事をされて恨まない筈が無い、だが、フレアなら、ここまで周りの人達の事を考えやってくれたフレアなら……嘘でも恨んで無いと言ってくれるのではないか……そう思ってしまった。
愚かな私はまだ何処かに許される道があるのではないかと……救いようのない事を考えてしまった。ここでフレアに許すと言って貰えれば、そんな風に思ってしまったのだ。
しかしその希望は次に顔をあげたフレアを見て打ち砕かれる。
今まで見たことも無いような顔で私を睨みつけるその顔によって。
「恨んでいないのか?……恨んでいるに決まっているでしょう!ずっとずっと虐められて、それもただ気に食わないというだけの下らない理由で!一番に味方になってくれなければいけない筈の貴方まであの女の味方になって!私の絶望が貴方に分かる!?石女と馬鹿にされた事もあった、私が代わりに跡取りを産んであげるのだから感謝してと!貴方はそんな事聞いた事も無い、知らないで済むのかもしれないけれど私は………こうなる事が分かっていたとしても、実際夫に裏切られたと知った時の私の気持ち、貴方になんか分かるはず無いわ」
……フレアのここまで壮絶な気持ちを……私は本当に分かっていなかった……………。
何も見ていない……その意味が今やっと分かった。
「すまない、本当にすまなかった」
私はその場に平伏すように謝った。
もうフレアの顔を見る事は出来なかった。
衣擦れの音と足音でフレアが私の目の前に立っている事が分かったが……私は顔を上げられなかった。
そしてそのまま何も言わず私の目の前にいたフレアは部屋を出て行った。
「いい加減顔を上げろ」
暫くして父からそう言われノロノロと顔を上げる。
パシンと平手で母に叩かれる。
もう誰も何も言えなかった。
フレアは一言そう言った。
そしてしばらくの沈黙の後、再び話し出す。
「貴方は本当に何も聞こうとしなかった……そして何も認めようとしなかった。そんな貴方にもう何を言っても無駄だと分かっていたし、貴方への気持ちなんてものもとっくに無くなっていたけれど、それでもそのせいで周りの人が不幸になるのは我慢ならなかった……」
そう言ってフレアは俯いた。
「恨んでいないのか……?」
自分でも馬鹿な質問だと思う。
普通ならあんな事をされて恨まない筈が無い、だが、フレアなら、ここまで周りの人達の事を考えやってくれたフレアなら……嘘でも恨んで無いと言ってくれるのではないか……そう思ってしまった。
愚かな私はまだ何処かに許される道があるのではないかと……救いようのない事を考えてしまった。ここでフレアに許すと言って貰えれば、そんな風に思ってしまったのだ。
しかしその希望は次に顔をあげたフレアを見て打ち砕かれる。
今まで見たことも無いような顔で私を睨みつけるその顔によって。
「恨んでいないのか?……恨んでいるに決まっているでしょう!ずっとずっと虐められて、それもただ気に食わないというだけの下らない理由で!一番に味方になってくれなければいけない筈の貴方まであの女の味方になって!私の絶望が貴方に分かる!?石女と馬鹿にされた事もあった、私が代わりに跡取りを産んであげるのだから感謝してと!貴方はそんな事聞いた事も無い、知らないで済むのかもしれないけれど私は………こうなる事が分かっていたとしても、実際夫に裏切られたと知った時の私の気持ち、貴方になんか分かるはず無いわ」
……フレアのここまで壮絶な気持ちを……私は本当に分かっていなかった……………。
何も見ていない……その意味が今やっと分かった。
「すまない、本当にすまなかった」
私はその場に平伏すように謝った。
もうフレアの顔を見る事は出来なかった。
衣擦れの音と足音でフレアが私の目の前に立っている事が分かったが……私は顔を上げられなかった。
そしてそのまま何も言わず私の目の前にいたフレアは部屋を出て行った。
「いい加減顔を上げろ」
暫くして父からそう言われノロノロと顔を上げる。
パシンと平手で母に叩かれる。
もう誰も何も言えなかった。
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