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愚かな男

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先程から言っている宝石に関しても、この場では掘ったら出てきたみたいに軽めに言ってはいるが文献からの僅かな手懸りで思い当たる所を掘りに掘った。自ら掘った。流石に有るか無いかわからない物の為に領民の力を借りることは出来ないし…半年程毎日毎日一人で一心不乱に掘りまくった!(遠い目) それはもう、捨て去った筈のかつての野生児の血を総動員した。過去に野生児をやっていた事にこれ程感謝した事は無いだろう。 


「で、出鱈目を言うな!なぜ我が家がお前家から援助して貰わないといけないんだ!」
馬鹿の馬鹿みたいな声で思考の海から浮上した。
「なぜと仰られましても…」
私は自分の顔にそっと手を添え困ったわと言わんばかりに顔を少し傾ける。
「ほら見てみろ!はっきりと言えないのはお前が援助などしていないからだ!」
「…折角黙っていて差し上げましたのに…。本当にこの場ではっきり言っても宜しいんですか?」
「はっ?…何を…」
私の言葉に流石に不穏な雰囲気を感じたのか馬鹿は少し怯んだようにそう言う。
「宜しいんですか?本当に…この場で言ってしまっても」
「い、いやその…」
「まあまあまあ!そこまで仰るなら援助させて頂いている理由をお教え致しますわ!」
「いや、そんなこと言ってな…」
「貴方のお家がこんなにも傾いたのは…貴方の女遊びのせいですよ」
ふん!最初からお前の返事なんて聞いてないわ!こちらはもともと全ての事を明るみにするつもりだったんだよ。
「貴方はその雲よりも軽い下半身で沢山の…それはもう人数を数えられない程沢山の女の子と遊んでますね」
「……」
「貴族、平民問わず何人も何人も…学園内にも何人かおられますよね。でその中に身籠る方も何人か…」
私は目の前の屑男を鋭く睨む。
目の前の馬鹿屑ゴミ男は青い顔で俯いている。
「その方達全てお金で解決していますよね。毎度毎度相手の女性が身籠る度に親に泣きついて…流石にそのお話を聞いた時は信じられませんでしたわ」
まあ、調べて知っていたけれど。それは敢えて言わないでおく。
「ご両親も堪り兼ねて何故か私のの両親に相談にいらっしゃったんですよ…まあ、どういう神経で相談に来たのかは理解出来ませんけど。蛙の子は蛙ということかしら」
そこまで言って私は薄く微笑む。
「どうですか?」
私はそう言って大馬鹿屑野郎の顔を覗き込む。
「今まで私が言ったことに心当たりはありますか?」
「……」
青いを通り越してもはや白い顔で俯き冷や汗を流しているゴミは言葉も発っせない程ショックを受けているようだ。
「何なら身籠った女性のお名前全て言いましょうか?」
「っ貴様!」
屑は勢い良く顔を挙げてよりにもよって私に暴言を吐く。本当に馬鹿だわ。まだ自分の立場がわかっていないのね。
「ふっ、私に貴様なんて…ふふふ後悔しますわよ」

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