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見えてくる真実

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「お前のような貧乏貴族が!俺のような一流の貴族に逆らおうなんて身の程を知れ!お前の家族も俺の家が支援してやっているんだぞ!」
おおー。この馬鹿にしては難しい言葉を知っているじゃないの。
しかし言うに事欠いて自分の婚約者をここまで悪し様に言うなんて…。
私はさも傷付いたと言わんばかりに目を伏せる。
「…確かに…私の家はヒース様のご実家に比べましたらしがない貧乏貴族かもしれません…ですが私は家族の事は尊敬していますし領地の民も大好きで大切なのです。ですからそのように言われるのは心外ですわ」
「ヒース様酷すぎる」「何と言うことを信じられない!」「最低ですヒース様」
周りから巻き起こる言葉にいい具合にアイツの最低加減が暴露してきたなと思う。
「黙れ!俺に感謝こそすれお前が俺に偉そうにするなんて許されないんだよ!」 
そう言って大馬鹿屑野郎は私を指指した。
「でも、パメラさんのお家って…」
「そうよね…」
回りの女生徒達がボソボソと呟く。するとその声を聞いたヒースがその女生徒達に向かい「何だ!はっきり言ってみろ!」と声を荒げた。
「い、いえその…パメラさんのお家はここ5年ほど前から良い宝石が採れましてその宝石をセンス良くアクセサリーにして売り出しをしておられます…ヒース様が仰るような貧乏貴族などではありませんわ」
「そうです、今では王妃様ですら手に入れるのが困難な程人気がありますの…ですからヒース様のお家にも引けを取らないと思います…パメラさんにそのような事を仰られるのはやめた方がいいと思いますわ」 
「何っ?」
ヒースにとってはそれは寝耳に水だったのだろうとても驚いた顔をしていた。
「う、嘘だ!そんなことあるはずが無い!」
「…何も確かめずに何をもって嘘だと仰るのですか?」
私は感情を圧し殺すように静かにそう問う。
「私が6年前に留学した事はご存知ですか?」
「知らん!そんなことは!」
はぁ、私はため息をつく。呆れ果てるわ。
「そうなんですね、お手紙でそうお伝えしたはずですが…まあ、いいですわ貴方が私に露程も興味が無いのは知っていましたから。で、その留学ですが実は行ってないんですよ。只貴方に会いたくないが故にそう言ったんです」 
と私はそれはそれは楽しそうに言った。
「な、何を!」
「で、その間に私は自分の領地の事を調べたのです。そうするとかつて上質な宝石が採れたという記述を見つけまして、実際にその土地を掘り起こした所それはもう立派な宝石が採れたんですよ!なので独自の宝石の加工法を開発しましてね。ふふふ」
私はヒースに微笑みかける。
「で、す、か、ら貴方の家から援助してもらっているなんて事実まったくありませんわ。根も葉もない事を言われては困ってしまいますわ。あっそれと貴方のお家に援助させて貰っているのは私ですよ?」
「はっ?」
私のその言葉を聞いたあの馬鹿猿の間抜けな顔!思わず笑いが…。

私は悪夢の6年前のあの日からそれはもう死に物狂いで目の前の愚かすぎる男に復讐をするために頑張って来た。こんなものではまだまだ気が済まない。
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