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どうして…。
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次の日もギルネスは私の前に現れた。
本当は顔がにやけてしまいそうな程嬉しいが…ギルネスの事を諦めなければいけないかもしれないと思っている私には少々辛い。
「どうされたのですか?」
「何がだい?」
「いえ、何故こんなにも会いに来られるのかと…」
「…婚約者に会いに来るのがそんなに不思議?」
「…以前はギルネス様の方から会いに来られる事はありませんでしたので…」
そうして改めて口に出すと私の一方通行だったと嫌でも実感させられる。本当にこんな婚約がうまくいくのだろうか、それとも政略結婚なんてこんなものなんだろうか。私はギルネスの事が好きだからこの婚約を政略だと思った事は無かったけれどギルネスには政略だったなら…どうやっても二人の溝が埋まる事は無い。改めて突き付けられた事実に私は静かに打ちのめされた。
何やら悩んでいる様子の婚約者。
「ギルネス様から会いに来る事は無かった」
そう言われて改めて思うとその通りだと思った。俺の事をずっと好きだと言って後ろを付いてきていた婚約者…今までつれなかったのに今更都合いい事をと思っているのだろうか。いや、この子はそんな事を思う子では無いな。
俺が会いに来たのを知って一瞬とても嬉しそうな顔をしてくれるのにすぐにキュッと顔を引き締めてしまう。以前のように朗らかに笑って欲しいと思う。
最近俯き加減の婚約者の頭を撫でる。
「またお昼ご飯の時に来るよ」
俺は俺が持てる最高の笑顔でベアトリーナに笑いかけ自分のクラスに戻った。
去って行くギルネスの後ろ姿を見送る。
いつになく優しい彼に私の気持ちは体ごと空に飛んで行けそうな程浮き足立った。
だけど…ギルネスの事が分からなくなった。
彼女の事、好きなんでしょう?私は彼女の姿を思い浮かべる。ギルネスの視線の先にいる彼女。
どうして急に私に構ってくれるようになったのか…。
もしかして!あの彼女に婚約者でも出来たのだろうか。
だとしたらギルネスの気持ちはどうなってしまうの?
自分が失恋した訳でも無いのに自分の事のように胸が痛むのを感じた。
ギルネスが失恋したら自分の方を向いてくれるかもなんて思いにも至らなかった。
ただただ彼の事を思うと辛かった。
本当は顔がにやけてしまいそうな程嬉しいが…ギルネスの事を諦めなければいけないかもしれないと思っている私には少々辛い。
「どうされたのですか?」
「何がだい?」
「いえ、何故こんなにも会いに来られるのかと…」
「…婚約者に会いに来るのがそんなに不思議?」
「…以前はギルネス様の方から会いに来られる事はありませんでしたので…」
そうして改めて口に出すと私の一方通行だったと嫌でも実感させられる。本当にこんな婚約がうまくいくのだろうか、それとも政略結婚なんてこんなものなんだろうか。私はギルネスの事が好きだからこの婚約を政略だと思った事は無かったけれどギルネスには政略だったなら…どうやっても二人の溝が埋まる事は無い。改めて突き付けられた事実に私は静かに打ちのめされた。
何やら悩んでいる様子の婚約者。
「ギルネス様から会いに来る事は無かった」
そう言われて改めて思うとその通りだと思った。俺の事をずっと好きだと言って後ろを付いてきていた婚約者…今までつれなかったのに今更都合いい事をと思っているのだろうか。いや、この子はそんな事を思う子では無いな。
俺が会いに来たのを知って一瞬とても嬉しそうな顔をしてくれるのにすぐにキュッと顔を引き締めてしまう。以前のように朗らかに笑って欲しいと思う。
最近俯き加減の婚約者の頭を撫でる。
「またお昼ご飯の時に来るよ」
俺は俺が持てる最高の笑顔でベアトリーナに笑いかけ自分のクラスに戻った。
去って行くギルネスの後ろ姿を見送る。
いつになく優しい彼に私の気持ちは体ごと空に飛んで行けそうな程浮き足立った。
だけど…ギルネスの事が分からなくなった。
彼女の事、好きなんでしょう?私は彼女の姿を思い浮かべる。ギルネスの視線の先にいる彼女。
どうして急に私に構ってくれるようになったのか…。
もしかして!あの彼女に婚約者でも出来たのだろうか。
だとしたらギルネスの気持ちはどうなってしまうの?
自分が失恋した訳でも無いのに自分の事のように胸が痛むのを感じた。
ギルネスが失恋したら自分の方を向いてくれるかもなんて思いにも至らなかった。
ただただ彼の事を思うと辛かった。
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