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ザイールと話をした翌日、私は清々しい気持ちで目覚めた。
家を出てから…まあ、平気は平気だったけどやっぱりどこか不安があったのだろう。
知り合いもいないこんな土地で上手くやって行けるのかと思っていた矢先に置き引きにあい……もうダメだ思った時に出会った知り合いはそりゃもう神様のよう!荷物も取り返して貰ったし。
いくら自国で聖女聖女と崇められていたとしてもここには私が聖女と知っている人はいないのだから所謂私もただの人の子、置き引きにも合うし不安にもなると言うものだ。
ましてや自国ではあんな犯罪にも出会う機会は無いわけで………。そう思うとなんて平和ボケしきった国なんだろうと今更ながらに怖くなる。
護られるっていうのも考えものか。
そんな事を考えていたら朝食の時間だと宿の女将さんが呼びに来てくれたので、朝食と聞いた途端鳴り出した正直なお腹を抱えて食堂へと向かった。
「パメラリアに会わせろ」
どこまでも偉そうな態度で皇子は公爵家のエントランスに何の先触れも無く現れた。
当主であるパメラリアの父は領民達の所に行っていて現在留守、今屋敷にいるのはパメラリアの兄である私と美しい笑顔でその内心怒り狂っているであろうお母様。
「パメラリアは婚約破棄のショックで寝込んでおりますわ」
取り敢えず感情を抑えるようにそう言うお母様。
「私に婚約破棄されたのがそんなにショックだったのか、まあ可愛い所もあったのだな」
皇子のその言葉にピキっとお母様の額に青筋が浮かぶのを見た。
「兎に角皇子の前に姿を現せるような状態ではありませんので本日のところはお引き取り頂けますでしょうか」
それでも何とか笑顔で対応するお母様に向かい皇子はまだまだKYを発揮する。
「私は寛大だ。パメラリアがどんなみすぼらしい姿であろうが気にしない!だからさっさとここに連れてくるがいい!この私がわざわざ来てやっているのだからな!」
と、どこぞの舞台か!?というような大きな動作で両腕を広げる皇子………。
もういいから早く帰ってくれ!
ああもうお母様の顔が見られない!
何でこの寒々しい空気に皇子は気付かないんだ!馬鹿なのか?本当に馬鹿なのか?王族なのにこんなに馬鹿で大丈夫なのか?
「…………みすぼらしい…?私のパメラリアが?みすぼらしい?」
ああ!皇子に聞こえるか聞こえないかくらいの絶妙な声量でお母様が呟いている。
ダメだ!このままでは!兎に角皇子には今すぐにこの屋敷から立ち去って貰わなければ!
「皇子!パメラリアのショックな気持ちをどうかご理解ください!とてつもなく寛大な皇子であればこの気持ちわかってくださいますよね!ね!ああ!流石!流石です!皇子!はい、ではまた出直して下さいね!」
そう言って皇子の背中を無理矢理扉の外へ押し出した。
扉の外で何かを喚いているようだが私には何も聞こえない。
「…………お母様」
恐る恐るお母様に声をかける………。
「暗殺しましょう」
「!いやいやいやいやいやいやいや!早まってはダメです!仮にも皇子ですよ?ダメです!」
「パメラリアを偽聖女だと言った挙句勝手に婚約破棄!しかもよりにもよって……みすぼらしいなど!万死に値するわ!」
「ダメですダメです!お母様が犯罪者になってしまってはパメラリアが悲しみますよ!」
「!」
お母様がやっと正気に戻って下さった。
「そうね、パメラリアが悲しむわね…」
「はい、そうです。パメラリアも言っていたように真の聖女のいなくなったこの国は私達が手を下さなくともいずれ滅びるのです。その時をただ待てばいいのですよ」
そして私達は各自自分の部屋へと戻った。
「聖女がいなくなった……………国が滅びる…。…………どういう事だ」
少し開いた扉の外で皇子がそう呟いていた事には気付かなかった。
家を出てから…まあ、平気は平気だったけどやっぱりどこか不安があったのだろう。
知り合いもいないこんな土地で上手くやって行けるのかと思っていた矢先に置き引きにあい……もうダメだ思った時に出会った知り合いはそりゃもう神様のよう!荷物も取り返して貰ったし。
いくら自国で聖女聖女と崇められていたとしてもここには私が聖女と知っている人はいないのだから所謂私もただの人の子、置き引きにも合うし不安にもなると言うものだ。
ましてや自国ではあんな犯罪にも出会う機会は無いわけで………。そう思うとなんて平和ボケしきった国なんだろうと今更ながらに怖くなる。
護られるっていうのも考えものか。
そんな事を考えていたら朝食の時間だと宿の女将さんが呼びに来てくれたので、朝食と聞いた途端鳴り出した正直なお腹を抱えて食堂へと向かった。
「パメラリアに会わせろ」
どこまでも偉そうな態度で皇子は公爵家のエントランスに何の先触れも無く現れた。
当主であるパメラリアの父は領民達の所に行っていて現在留守、今屋敷にいるのはパメラリアの兄である私と美しい笑顔でその内心怒り狂っているであろうお母様。
「パメラリアは婚約破棄のショックで寝込んでおりますわ」
取り敢えず感情を抑えるようにそう言うお母様。
「私に婚約破棄されたのがそんなにショックだったのか、まあ可愛い所もあったのだな」
皇子のその言葉にピキっとお母様の額に青筋が浮かぶのを見た。
「兎に角皇子の前に姿を現せるような状態ではありませんので本日のところはお引き取り頂けますでしょうか」
それでも何とか笑顔で対応するお母様に向かい皇子はまだまだKYを発揮する。
「私は寛大だ。パメラリアがどんなみすぼらしい姿であろうが気にしない!だからさっさとここに連れてくるがいい!この私がわざわざ来てやっているのだからな!」
と、どこぞの舞台か!?というような大きな動作で両腕を広げる皇子………。
もういいから早く帰ってくれ!
ああもうお母様の顔が見られない!
何でこの寒々しい空気に皇子は気付かないんだ!馬鹿なのか?本当に馬鹿なのか?王族なのにこんなに馬鹿で大丈夫なのか?
「…………みすぼらしい…?私のパメラリアが?みすぼらしい?」
ああ!皇子に聞こえるか聞こえないかくらいの絶妙な声量でお母様が呟いている。
ダメだ!このままでは!兎に角皇子には今すぐにこの屋敷から立ち去って貰わなければ!
「皇子!パメラリアのショックな気持ちをどうかご理解ください!とてつもなく寛大な皇子であればこの気持ちわかってくださいますよね!ね!ああ!流石!流石です!皇子!はい、ではまた出直して下さいね!」
そう言って皇子の背中を無理矢理扉の外へ押し出した。
扉の外で何かを喚いているようだが私には何も聞こえない。
「…………お母様」
恐る恐るお母様に声をかける………。
「暗殺しましょう」
「!いやいやいやいやいやいやいや!早まってはダメです!仮にも皇子ですよ?ダメです!」
「パメラリアを偽聖女だと言った挙句勝手に婚約破棄!しかもよりにもよって……みすぼらしいなど!万死に値するわ!」
「ダメですダメです!お母様が犯罪者になってしまってはパメラリアが悲しみますよ!」
「!」
お母様がやっと正気に戻って下さった。
「そうね、パメラリアが悲しむわね…」
「はい、そうです。パメラリアも言っていたように真の聖女のいなくなったこの国は私達が手を下さなくともいずれ滅びるのです。その時をただ待てばいいのですよ」
そして私達は各自自分の部屋へと戻った。
「聖女がいなくなった……………国が滅びる…。…………どういう事だ」
少し開いた扉の外で皇子がそう呟いていた事には気付かなかった。
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