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ザイールは正確にはお兄様の友人である。
何年か前に砂の国から私の祖国に留学生として来ていた。
お兄様と仲良くなり半年間の留学中何回も我が家に来た。
外の国の人には聖女の存在は内密にしているのでザイールが私を聖女だと知る事も無く…祖国では私はパメラリアである前に聖女だったから気安く話し掛けてくれる人も中々いなくて…だから普通に話をしてくれるザイールと話すのはちょっと楽しみだったなぁ。
ザイールと話をしてその時砂の国の状況を知り1度砂の国へ行きたいって思ったんだよね。
「それに、自分も急いでいたのに見知らずの人を助けて…相変わらず優しいなぁ」
うちのお兄様とはまたタイプの違う感じでザイールの事も優しい兄のような存在で懐いていたのを思い出した。

懐かしいなぁ。



次の日、約束の時間約束の場所にザイールは現れた。
「本当にパメラリアなんだな!」
待ち合わせ場所に来たザイールは開口一番そう言った。
「…もうちょっと…久しぶりー!とか元気にしてたか?とか言うこと他にあるでしょ?」
「久しぶりだな!元気にしてたか?」
「……まあね」
「で?どうして砂の国にいるんだ?」
「いきなりそこ聞く?」
「そりゃそこが1番気になるから!」
「でしょうね」
「うん、で?なんでここにいるの?」
「……まぁ色々あってね、この国へ移住しようと思ってるんだけど…」
「えっ?」
「えっ?」
「「……………………」」
「いや、てっきり旅行とか用事でとか言うと思ってたから……まさかの移住…」
「だよねー」
「…えっと……家が没落した……とか?」
ザイールが気まずそうに聞いてくる。
「!違う違う!」
私は胸の前で手をブンブン振る。
「そ、そうか違うのか良かった」
「「…………………………」」
沈黙に微妙な空気が流れる。
「その…色々が移住の原因?…聞いたらまずい?」
遠慮がちに恐る恐るそう聞いてくるザイール。
「あーっと、……私、婚約者がいたんだけど…婚約破棄されちゃったんだよねー」
「!」
私の言葉にザイールは目を見開き何故か傷付いたような顔をした。
「そうか…それはショックだったな……それで顔を見るのも辛くて移住しようと思ったんだな……」
「あっ!違う違う!」
私は再び胸の前で手をブンブン振る。
「いやー急に一方的に婚約破棄されたから腹たっちゃって!こんな国に居られないわって飛び出して来たんだー」
「………………」
ザイールはポカンとしていた……………。
「そ、そうか」
「そうそう!いやー婚約者の事は心の底から嫌いだったから助かっちゃったわ!」
「え、そんな婚約…ある?」
……………あるんですよ、聖女ですから。
ザイールはついには頭を抱えてしまった
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