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「アレクシスはお父様の事が好き?」
領地へ来てからもうそろそろ一ヶ月が経とうとしていた。
夫とのこの七年間を思い返し、初めから間違いだらけだったこの結婚生活をとうとう終わりにする時かもしれないと考えはじめて、思ったのはあの人との子供であるアレクシスの事。
夫は実家の伯爵家を継ぐ事はなく本当なら私も夫共々平民になる筈だったのだが領地を有してした事、元々王太子殿下のスカウトで城に勤める事になった事もあり王太子殿下経由で国王陛下から男爵の爵位を授けられていた。
爵位がなければ、結果夫からアレクシスを奪う形になってしまったとしても何とかなっただろうが男爵としての爵位がある以上跡取りとなるアレクシスの事は夫も手放さ無いだろうと思う。
それに私がいくらこの結婚生活を間違いだと思っていたとしてもアレクシスも私と同じに考えているかと問われればそれは分からない事だ、平民になるなんてまっぴらだともう少し大きくなったら思うのかもしれないし、まだ小さく自分で考える事の出来ないアレクシスの未来を私が勝手に決めてはいけないのだ。
私の突然の質問に初めキョトンとしていたアレクシスだったが今は一生懸命考えている。
「わかりません………お父様は…僕のことが好きでしょうか…………お母様は………お父様のことを好き……ですか?」
言ってはいけない事を言ってしまったかのように私の顔をチラチラ見上げながらそう言うアレクシス。
そう言えば私はアレクシスの前であの人の話をした事が無かった………もしかしたらアレクシスは私が夫の事を嫌っていると思っていたのかもしれない。
私はいないも同然の父親の事をアレクシスの前で話をすると逆に寂しい思いをさせてしまうかもしれないと思っていたけれど、アレクシスもアレクシスで私に気を使ってくれていたようだ。
私はアレクシスをギュッと胸に抱き締めた。
さっきアレクシスが言った「わからない」それがアレクシスの本当の気持ちなのだろう。
そう、今までまともに家族としての生活をしてこなかったのだから分からないのは当然の事なのだ。
あの人が私の事をどう思っているのか、あの人がアレクシスの事をどう思っているのか、アレクシスがあの人の事をどう思っているのか、私があの人の事をどう思っているのか……。
この先どうなるか分からない、もしかしたら夫とは離縁する事になるかもしれない。
それでもいつまでもこうして向き合わず逃げていても何も変わらない。
期待して裏切られるを繰り返して、アレクシスには私のようになって欲しくないとなるべく父親の話をしないで来たけれど、この先のアレクシスの事を考えたらこのままではいけないのだ。
そうして私は夫と話をするべく王都へと帰る事を決めた。
超短編で「正しい婚約破棄のススメ」を投稿し始めました。
宜しければそちらも一度ご覧頂けたらと思います💦
ぎゃー(//Д//)宣伝してごめんなさーい(恥)
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爵位がなければ、結果夫からアレクシスを奪う形になってしまったとしても何とかなっただろうが男爵としての爵位がある以上跡取りとなるアレクシスの事は夫も手放さ無いだろうと思う。
それに私がいくらこの結婚生活を間違いだと思っていたとしてもアレクシスも私と同じに考えているかと問われればそれは分からない事だ、平民になるなんてまっぴらだともう少し大きくなったら思うのかもしれないし、まだ小さく自分で考える事の出来ないアレクシスの未来を私が勝手に決めてはいけないのだ。
私の突然の質問に初めキョトンとしていたアレクシスだったが今は一生懸命考えている。
「わかりません………お父様は…僕のことが好きでしょうか…………お母様は………お父様のことを好き……ですか?」
言ってはいけない事を言ってしまったかのように私の顔をチラチラ見上げながらそう言うアレクシス。
そう言えば私はアレクシスの前であの人の話をした事が無かった………もしかしたらアレクシスは私が夫の事を嫌っていると思っていたのかもしれない。
私はいないも同然の父親の事をアレクシスの前で話をすると逆に寂しい思いをさせてしまうかもしれないと思っていたけれど、アレクシスもアレクシスで私に気を使ってくれていたようだ。
私はアレクシスをギュッと胸に抱き締めた。
さっきアレクシスが言った「わからない」それがアレクシスの本当の気持ちなのだろう。
そう、今までまともに家族としての生活をしてこなかったのだから分からないのは当然の事なのだ。
あの人が私の事をどう思っているのか、あの人がアレクシスの事をどう思っているのか、アレクシスがあの人の事をどう思っているのか、私があの人の事をどう思っているのか……。
この先どうなるか分からない、もしかしたら夫とは離縁する事になるかもしれない。
それでもいつまでもこうして向き合わず逃げていても何も変わらない。
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