上 下
11 / 32

ドナウド

しおりを挟む
初めてミレニアと会った時は別に何も思わなかった・・・いや。綺麗な子だと思った。表情には出てなかったと思うけど確かにそう思った。話を聞いた時は政略結婚なんて嫌だと思っていたが、こんなに綺麗な子ならラッキーと思ったんだ。でもミレニアを見ると俺よりも無表情だった。
その時何故か負けたらダメな気がして自分からは絶対に話し掛けないと決めた。
まさかその時はこれから今に至るまで全く接点無く過ごす事になるとは思っていなかった。


学園に入って流石に何か言って来るだろうと思っていた。甘かった。まさか挨拶もしに来ないとは。
やはり初めて見た時の無表情は俺には興味が無いと言う事の表れだったのだろう。
そっちがその気なら俺も絶対に話し掛けない。また妙な意地から同じ学園にいるのに全く話さなかった。
多分学園内に俺とミレニアが婚約している事を知る者は居ないだろう。

何だか不思議とやさぐれた気持ちで日々を過ごしている時1人の少女と出会った。
初対面からやたらと話し掛けて来る子で最初は無礼な子だと思っていた。婚約者もいるから(一応)流石に仲良くなるのは不味いとその時は思っていたのもある。でもその子の笑顔は不思議で俺とビッチェが仲良くなるまでにそう時間はかからなかった。
気安く話せるようになって俺はミレニアの事をビッチェに相談した。するとドナウドを放っておいてミレニアは酷いと憤ってくれた。それまでは俺もミレニアに歩み寄る事をしなかったから仕方ないと思っていたはずだが・・・ビッチェと話しているとだんだん俺の事を省みないミレニアが悪いと思うようになった。
そのうちにビッチェから俺が好きだと聞かされ、俺もビッチェが好きなんだとその時思った。
もう、そこからはミレニアが邪魔だと思うようになり仕方がなくなった。
ある日ビッチェから将来お嫁さんにして欲しいと言われた。
俺はすぐにでもいいよと言ってあげたかったが・・・俺にはミレニアがいる。
ビッチェが泣きながらミレニアとの婚約はどうにもならないのかと聞いてきた。
婚約破棄するしかない。でもビッチェを伴って婚約破棄をしたいと言えば不貞を侵したとしてこちらが悪い事になってしまう。
俺とビッチェは悪くない。これは真実の愛だ。俺達が正しいと証明しないといけない。

ある日ビッチェがミレニアに虐められたと俺の所に来た。
最初はまさかと思ったけどビッチェがきっとドナウドと私が仲がいいから嫉妬しているんだと言っていた。俺もそうだと思った。

ある日ビッチェが家に来たいと言った。でもミレニアとまだ婚約している以上他の女の子を家に連れて行く訳にはいかない。だから適当な指輪を買ってこれは母の指輪で気に入っている子にあげていると嘘を付いた。するととても喜んでくれた。

ビッチェの為に早く婚約破棄をしなければ。でも何故かことごとく失敗している。

あと3ヶ月もすれば学園を卒業する。そうすれば俺はミレニアと結婚しなくてはいけなくなる。
勝負は卒業式。絶対に卒業式でミレニアとの婚約を破棄する。
そう心に決めた。


きっとミレニアと初めて会った時に一目惚れしていたのに、その事に俺はずっと気付かない。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

そんな事も分からないから婚約破棄になるんです。仕方無いですよね?

ノ木瀬 優
恋愛
事あるごとに人前で私を追及するリチャード殿下。 「私は何もしておりません! 信じてください!」 婚約者を信じられなかった者の末路は……

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~

かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。 だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。 だめだ。 このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。 これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。

公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜

星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」 「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」  公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。 * エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。

悪役令嬢に転生して主人公のメイン攻略キャラである王太子殿下に婚約破棄されましたので、張り切って推しキャラ攻略いたしますわ

奏音 美都
恋愛
私、アンソワーヌは婚約者であったドリュー子爵の爵士であるフィオナンテ様がソフィア嬢に心奪われて婚約破棄され、傷心…… いいえ、これでようやく推しキャラのアルモンド様を攻略することができますわ!

【完結】え、お嬢様が婚約破棄されたって本当ですか?

瑞紀
恋愛
「フェリシア・ボールドウィン。お前は王太子である俺の妃には相応しくない。よって婚約破棄する!」 婚約を公表する手はずの夜会で、突然婚約破棄された公爵令嬢、フェリシア。父公爵に勘当まで受け、絶体絶命の大ピンチ……のはずが、彼女はなぜか平然としている。 部屋まで押しかけてくる王太子(元婚約者)とその恋人。なぜか始まる和気あいあいとした会話。さらに、親子の縁を切ったはずの公爵夫妻まで現れて……。 フェリシアの執事(的存在)、デイヴィットの視点でお送りする、ラブコメディー。 ざまぁなしのハッピーエンド! ※8/6 16:10で完結しました。 ※HOTランキング(女性向け)52位,お気に入り登録 220↑,24hポイント4万↑ ありがとうございます。 ※お気に入り登録、感想も本当に嬉しいです。ありがとうございます。

婚約破棄された令嬢が呆然としてる間に、周囲の人達が王子を論破してくれました

マーサ
恋愛
国王在位15年を祝うパーティの場で、第1王子であるアルベールから婚約破棄を宣告された侯爵令嬢オルタンス。 真意を問いただそうとした瞬間、隣国の王太子や第2王子、学友たちまでアルベールに反論し始め、オルタンスが一言も話さないまま事態は収束に向かっていく…。

処理中です...