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「ミリアお嬢様、旦那様がお呼びですよ」
朝食が終わって部屋でいつものようにフレーバーティーのブレンドを行っていた時それはやって来た。
「なんのご用かしらね?」
私がいつもの書斎に向かおうとしたところ
「今日は応接間の方にとの事ですよ」
「珍しいわね。お客様かしら?」
私は鏡の前で変なところがないか軽くチェックしてお父様の所に向かった。

コンコンコン。
「お父様、ミリアです」
「入りなさい」
「失礼いたします」
そう言って扉を開けるとそこには
「殿下?!」
あまりの驚きにあいさつも忘れ立ち尽くす。
「ミリア!」
お父様のその声にはっとして慌てて挨拶をする。
「申し訳ありません。おはようございます殿下。」
「やあ、おはようミリア孃。」
おぉ、爽やかに微笑んでらっしゃるー!
「この間また家の方に訪ねさせてもらう約束させてもらったので近くに来たので少し寄らせて貰ったのだよ。さぁミリア孃、付き合ってもらえるかな?」
私はお父様をチラッと見た。
お父様は微笑みながら頷いている。
「ミリア、殿下のお相手をして差し上げなさい」
「分かりました」

「本日はお越しいただきありがとうございます。まさか本当にお越しいただけるとは思っていませんでしたから驚きましたけれど」
お父様から離れ二人、今は私の作業部屋へと移動中。

「いや、急にすまないね」
私のすこーしの嫌みに気づいたのか苦笑まじりに殿下はそう言った。
私はひとつ息をつく。はぁ。
まぁいつまでもトゲトゲしててもしょうがない、気持ちを切り替える。
「でも、殿下にご覧いただいて面白いものはございませんよ?」
「いや、普通のご令嬢は商品開発なんてしないからね、それだけでも興味をひかれるよ」
と嫌みーに返された。
いい性格してらっしゃるわ。
「こちらが作業部屋になりますわ」
私は部屋の扉を開き招き入れる。
「へぇ…」
殿下は物珍しそうに辺りを見回す。
ちなみにここは私が髪の色を変える色素を発見し実験している部屋である。
部屋の中には中央に作業台が置かれており色素を抽出する装置が置かれている、ビーカーなどのガラスの物も所狭しと並べられさながら学校の理科室のよう。部屋の隅には色素が抽出できる植物が木箱に詰められ重ねられている。独特の少しツンとした匂いが鼻につく。
チラッと殿下を見てみると初めは興味本位な感じであった様子だったのが今は興味津々な感じに変わっていた。

「何か珍しいものがございましたか?」
私がそう問いかけるとはっと此方に目を向け少し赤くなった。
ポリポリ頬を掻きながら恥ずかしそうに
「いや、あまりに面白そうで夢中で見てしまった」
と笑って言った。
私の顔にも思わず笑みが浮かぶ。
「ふふっ、喜んで貰えたようで嬉しいですわ」
この方ならば案外、本当に良いお友達になれるのかもと思ってしまった。
それにしも初めての友達が殿下なんて…やっぱり私にはハードル高いわ。                  
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