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「王子…もういい加減にして下さい」
「……うるさい」
「もう食べられますでしょう?」
「食べられるのと……進んで食べたいと思う事は別だ…」
「そうでしょうね。しかしながらそうやって睨んでいても目の前の物は無くならないし、いずれかは食べて下さらないと……ほらご令嬢達が見ていますよ」
「っ……」
私がそう言うと王子は意を決したようにフォークをそれに突き刺して勢い良く自らの口に入れた。
「やれば出来るではありませんか」
汗凄いけど…。
「っ、…いつまでも子供扱い出来ると思ったら…うぷっ…大間違いだぞ」
いや、うぷっとか言いながらそんな事言われても…。
「王子…そういうものはソースや他の具材等と食べた方が味が分からないと思いますよ。わざわざ嫌いな物を最後に残すからそうなるのですわ……お馬鹿なんですか?私には自分から苦痛の海に身投げをしているように見えますわ」
「お前…言うに事欠いて……」
「本当の事ですから。あっちょっと…もどさないで下さいね」
うぷっを続ける王子に思わずそう言ってしまった。
「わ、私は王子だぞ……っも、もどしたりなど…する訳…ない」
「はいはい」
「っお前…」
「そんなことより早く口の中の物飲み込んで下さい」
「…………………ゴクン」
「よしよし賢いですね」
「子供扱いするな!」
そう言って王子は後口を消すべくお茶をごくごくと飲み干した。
今日のメニューはトマトソースにベーコンと玉ねぎ、ピーマンの入ったパスタとスープとサラダ。
王子はピーマンがとてつもなく嫌いだったらしい。味が嫌ならパスタと一緒に食べればいいのに何故か嫌な物を最後に残す、だからこうなる。今までは残せば食べなくて良かったのだろうが…私と食べる以上絶対に食べてもらう。
それが嫌なら私と食べないか婚約破棄してもらうしかないと言うことをここ1ヶ月繰り返している。
もっと早く音を上げると思っていたんだけどなかなか頑張っている王子……。
まあ私としては卒業までに婚約破棄される事を目標としているので後は王子がいつまで私からの野菜攻撃に耐えられるか、それに尽きる。
「お前、何を企んでるんだ」
「別に何も」
「嘘を付くな」
「嘘じゃありませんよ」
「いいや、絶対に何か企んでいる」
「はいはい、企んでるかもしれませんねー」
「何だそのいい加減な返事は!」
「だって王子は何を言っても信用して下さらないので」
「っクソ!」
このやり取りもかれこれ1ヶ月繰り返している。そろそろ飽きた。
素直に王子と結婚したくないから婚約破棄して欲しがっていると思ってくれればいいのに…まさか…ここまで来て自分が嫌われているとは思っていないのだろうか……どんな自信家なんだ…。王族って皆こんな感じなのかしら…ますます夫婦なんて無理だわ。価値観が違いすぎる。
はぁ…すぐにでも婚約破棄されると思っていたのに…存外上手くいかない計画に流石にため息が出た。
「……うるさい」
「もう食べられますでしょう?」
「食べられるのと……進んで食べたいと思う事は別だ…」
「そうでしょうね。しかしながらそうやって睨んでいても目の前の物は無くならないし、いずれかは食べて下さらないと……ほらご令嬢達が見ていますよ」
「っ……」
私がそう言うと王子は意を決したようにフォークをそれに突き刺して勢い良く自らの口に入れた。
「やれば出来るではありませんか」
汗凄いけど…。
「っ、…いつまでも子供扱い出来ると思ったら…うぷっ…大間違いだぞ」
いや、うぷっとか言いながらそんな事言われても…。
「王子…そういうものはソースや他の具材等と食べた方が味が分からないと思いますよ。わざわざ嫌いな物を最後に残すからそうなるのですわ……お馬鹿なんですか?私には自分から苦痛の海に身投げをしているように見えますわ」
「お前…言うに事欠いて……」
「本当の事ですから。あっちょっと…もどさないで下さいね」
うぷっを続ける王子に思わずそう言ってしまった。
「わ、私は王子だぞ……っも、もどしたりなど…する訳…ない」
「はいはい」
「っお前…」
「そんなことより早く口の中の物飲み込んで下さい」
「…………………ゴクン」
「よしよし賢いですね」
「子供扱いするな!」
そう言って王子は後口を消すべくお茶をごくごくと飲み干した。
今日のメニューはトマトソースにベーコンと玉ねぎ、ピーマンの入ったパスタとスープとサラダ。
王子はピーマンがとてつもなく嫌いだったらしい。味が嫌ならパスタと一緒に食べればいいのに何故か嫌な物を最後に残す、だからこうなる。今までは残せば食べなくて良かったのだろうが…私と食べる以上絶対に食べてもらう。
それが嫌なら私と食べないか婚約破棄してもらうしかないと言うことをここ1ヶ月繰り返している。
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「いいや、絶対に何か企んでいる」
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