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「私、あの男に復讐したい」
そう言った私を驚いた顔で見ているベルガモット。
「ダメよ!知らないふりをして適当な理由で婚約破棄するのが1番よ!」
私の手を強く握りながらそう言った。
本当に心配してくれているのが分かる、でも私はベルガモットのその言葉に首を振る。
「いいえ、ダメよ。あの男は適当な理由なんて付けられない程……私達の前では完璧な非の打ち所が無い婚約者なのよ。お父様も次の後継者として教育し始めているくらいあの男を信用している。そりゃ娘の私が言えばある程度の事は聞いてもらえるかもしれないけれど……自分が選んだ娘の婚約者がそんな人ではないと頑なに信じて貰えない可能性もある」
「そんな!では、私がやったみたいに夜会での彼の様子を見せてみたら?」
「……絶対にあの男に言いくるめられる…。あの浮気相手を私に堂々と幼馴染だと…あの男は紹介しているのよ、以前紹介した幼馴染だ君も知っているだろう?なんて言われたらお父様は絶対に信じてしまう……。私の事だけなら……さっきのあの場面に乗り込んであの男の頬を引っぱたいてその場で婚約破棄をしていたでしょうけど……お父様が私になんの了承も無く決めてきた婚約者があんな男だったと知れば……きっと私よりもお父様が傷付いてしまうわ、それに父親が大事な娘に選んだ婚約者があれだなんて…とあんな男のせいで周りにお父様がバカにされてしまうのも絶対に嫌!」
「ローゼ……貴女って子は……自分も傷付いているのに……」
そう言ってベルガモットは私に抱き着いてきた。
「だってね、本来なら私やお母様に相談も無くそんな大事な事を簡単に決めてしまえるような方ではないのよ、うちのお父様は……。優しくて優柔不断で……でもそんなお父様があの男との婚約の事は自分で考えて決めて帰って来たの、お前に良い婚約者が見つかったって言ってね。その日のお父様の嬉しそうな顔……忘れられないわ。だけどあの男はそんなお父様を騙して近付いた……絶対に許せないわ」
「ローゼ!」
暫く私はベルガモットの背中を落ち着かせるようにポンポンと叩いていた。それは私の気持ちも落ち着かせるにはちょうど良いリズムで……少しして私は大きく深呼吸して息を吐く。
「……ベルガモット、私やっぱりあの男に復讐するわ」
そう言った私の顔を見てベルガモットは頷いた。
「それなら私も協力するわ」
「いいえ、そこまで迷惑かけられないわ」
「何言ってるのよ!迷惑なんて思わないわ!それに私だってあの男には怒っているのよ!大事な友人とその友人の大切な家族を騙しているのだから!」
「………!ベルガモット!ありがとう!」
そこから私達はあの男にどうして復讐するか計画を立て始めた。
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