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私はパルファム侯爵家の一人娘ローゼ。
私には父が決めた婚約者がいる、と言っても無理矢理結ばれた政略結婚ではなく、向こうが私の事を一目見たときから好きだったと熱心にアピールしてきたらしくその熱意に負けた父がこの男なら娘を大事にしてくれるだろうと思い婚約を結んだのだった。
唯その婚約は私のいない所で当事者の私に知らせられる事も無いまま進められ、私は婚約者が出来てから知らされると言う私にとってはなんとも納得のし難い婚約だったのだが、温厚で優しく娘である私の事をいつでも第一に考えてくれる父が選んだ人なのだから余程いい人なのだろうと何とか納得した。
これは家系と言って良いのか、家の父は侯爵と言う立場でありながら偉そうぶらない……まあそこまでは良いにしても、気が弱い、娘の私から見ても弱すぎる。争い事も嫌いだし何より優し過ぎて騙されやすい。
その分母がしっかりしていて気が強いのでそれで何とか上手く回っているのだ。
だがそんな気が弱く自分で何も決められないような父が私たちになんの相談も無しに婚約者を決めて帰ってきた……。それは私達母娘には青天の霹靂とも呼べる程に驚きで、騙されているのかそれとも本当にいい人なのかと私達が頭を悩ませる事になったのだが、他のことにも慎重すぎるほど慎重な父が私の婚約なんて大事な事を安易に決める事は無いだろうと考え納得するに至った。
実際会ってみると父がいかにも好きそうな好青年といった風貌の男だった。
彼はオード伯爵家のコロンと名乗った。
聞いた事はある伯爵家の名前だったので私と母が安心した事は言うまでもない。
しかし一目惚れっぽい事を言われたと父は言っていたが……この方と私は会った事があっただろうか?
全然記憶に無いな。そんな事を思いながらぼんやりとコロン様の顔を見ていると人好きのする顔でこちらに微笑みかけてきた。
もう決まってしまった婚約を無しにする程に嫌な所が見つからなかったのでコロン様との婚約は正式なものとなった。
結論から言うとコロン様はとても優しかった。
本当に一目惚れだったのかことある事に愛を伝えてくれた、そうまでされれば私も絆されるというもので私がコロン様を好きになるのにそう時間は掛からなかった。
私を愛してくれる婚約者を私も好きになりこれから幸せになる未来しかこの時の私には想像出来なかった。
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