初恋は実らない

Hiiho

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夢の中 2

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榛が本当に悲しそうに謝るから・・・なんか、こっちが悪いみたいな気分になるじゃん。

なんか、話題変えねーと・・・

「あ!つーか、お前、高校生のくせになんであんなやらしいもん持ってんだよ!」

プだかブだかよくわかんねーもんばっかり。

「え?・・・ああ、アレ?親父が官能小説書いてんだ。だから、資料用にあーゆーのゴロゴロ転がってんの、俺んち」
「え!?」
「安心して。あきに使ったのはちゃんと新品のやつだから」

父親の仕事が忙しいって、小説家だったからなのか・・・。

「親父の小説は読むなって言われてたけど、勝手に読んでたんだよね、俺」

どーりでエロい事、色々知ってるわけだ。

「母さん、親父に付き合いきれなくなって出てったんだよ。もっと普通に愛されたかったんだろうな」

ははっ、と笑う榛の顔が、精一杯大人ぶっているように見えて、なんだか辛い。

「お互い再婚相手とは仲良くやってるみたいだし、俺はふたりが幸せならそれでいいし」
「マジで?」
「は?」
「本当に心からそう思えんの?」

あれ、俺、何言ってんの?

「寂しいなら寂しいって言えよ。俺は、榛の彼氏なんだろ?」
「・・・あき?」
「寂しいなら、彼氏の俺に甘えたっていいじゃん。強がる必要なんてねーだろ!」

なんだかわからないけど無性にイライラして、俺はテーブルをバンッと叩きつけて立ち上がっていた。だけど・・・

ガタッ
バッターン・・・

チンコは痛いし足に力も入らなくて、後ろ向きに椅子ごと倒れてしまった。

「あき!?何やってんだよ大丈夫!?」

榛が駆け寄って来て、倒れた椅子と俺を起こしてくれる。

・・・何やってんだ、俺、だっせぇ。

「あき、なんで急に怒ってんだよ?」
「それは・・・」

俺の方が年上なのに、頼ってもらえないのが情けなくて、俺ばっかが榛に振り回されている気がして・・・

「もっと、頼れよ。朝早く来いって言うのも、起きた時に誰かにそばにいて欲しいからだろ?甘えたいなら甘えたいって素直に言え!」

榛は驚いた顔をした後に、プッと吹き出す。

「コケた後じゃ全然カッコついてないんですけど、センパイ」
「ぐッ・・・うるせー!」

どーせ俺はカッコ良くないですよ!

「でも、ありがと」

榛は床に両膝をついて、椅子に座った俺の太腿の上に頭をのせて、ぎゅーっと腰に腕を巻き付けてくる。

・・・甘えてるのか?これは・・・
太腿の上の榛の頭をそっと撫でると、腰に巻きついている腕にさらに力が入った。

「あき、今日一緒に寝ていい?」
「え!?でも俺、今日もう無理・・・ちんこ痛すぎ・・・」
「何もしないから。あきとくっついてたいだけ」

くっついてるだけなら・・・

「わかった」


その後、俺たちはカレーを食べて、別々に風呂に入って、テレビを観た後に同じベッドで眠った。

正直、榛がまたとんでもない事をしてくるんじゃないかとヒヤヒヤしていたけど、俺が心配していたような事は一切してこなかった。

寝る前に、普通の恋人どうしがするような優しいキスをしてくれただけだった。

榛はすぐに眠りについて、寝言で「あき」と呼ばれて・・・どんな夢をみてるんだろう、と思いながら、いつの間にか俺も眠っていた。
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