初恋は実らない

Hiiho

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イケメンの彼氏 1

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榛と付き合う(?)ようになってからというもの、俺の高校生活は一変してしまった。

女達からは羨望と嫉妬の眼差し・・・男達からは軽蔑と冷やかしの毎日・・・

榛のせいで、俺の平凡で目立たないという願望とは真逆に、無駄に有名人になってしまった。

「あき、おはよ」

今日も今日とて、眩しい笑顔で2年の教室まで朝の挨拶のためだけに榛がやってくる。

無視、したいけど・・・

「おはよう、榛」

なんで教室まで入ってくんだよ~!
クラスメイトの視線が~!

「ちょ、ちょっとこっち!」

榛の腕を引っ張って廊下に出て、非常階段まで連れてくる。

「なに?朝からこんな人気のない所に連れてきて。エッチなことでもしたいとか?」
「なわけあるか!」

アホか!逆だよ!

「あ、あのさ、毎日2年の教室まで来なくていいから!」
「じゃあ、あきが1年の教室まで来てくれんの?」
「なんのために!行くわけねーだろ!」

だいたい、好き同士で付き合ってるわけでもないのに。ただ、昔の復讐のためなんだろ・・・。
俺に、恥かかせるために付き合ってるだけじゃん。

「じゃあさ、朝、俺ん家まで迎えに来てよ」

榛の家?でも小・中学校が違うんだから、きっと俺ん家から離れてるよな。
・・・めんどくせーな。

「俺、親が離婚して母親出てってから親父と二人だったんだけど、親父が再婚したから、高校入学と同時に家出たんだ」
「え・・・そうだったんだ・・・」

榛、寂しい思いしてんのかな・・・。

「だから、アパートに一人暮らししてんの。高校からも近いし、あき迎えに来てよ」

まあ・・・学校から近いなら・・・

「わかった。その代わり、もう2年の教室に来んなよ?」
「あきがいい子にしてたら行かねーよ」

何がいい子だ!俺はいつもいい子だっつーの。

話がついたところで、非常ドアから廊下に入る。

「榛!」

俺達の前に腕組みして立ち塞がる女子の姿が。
あ・・・この人、前に榛とキスしてた3年の女子・・・

3年の女子は怒っている様子でこっちをキッと睨んでいる。

「榛、ふざけてんの?こんな男と付き合うなんて。あたしはどーなるのよ?」

はあー、と榛が大きく溜息を吐く。

「センパイ、俺、センパイと付き合ってるなんて一言も言った覚えないんすけど」
「は?じゃあ、なんでエッチしたのよ!」

・・・榛、この人とエッチしたんだ・・・
あれ、なんだ、モヤモヤすんな!俺の心臓!

「なんでって、センパイが物欲しそうな顔で見てくるからですよ。応えなきゃセンパイに恥かかせるかと思って」
「な・・・なにそれ・・・」
「優しくしてあげたんだから、いいでしょう。センパイも満足そうだったじゃないですか」

優しく・・・したんだ・・・

「それに俺」

ドンッ
突然榛に、廊下の壁に乱暴に押し付けられる。

「いった!なにすん・・・うっ」

榛が強引にキスしてくる。

え?え?なに?おいおい、見てるよ!3年女子が!
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