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手フェチ×リゾートバイト=ウィンウィン 1
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架達が日本海沿岸に建つ旅館にいる頃、市太は大学の先輩に強制参加させられたリゾートバイトで砂浜から太平洋を眺めていた。
「イチ~、ぼーっとしてないで仕事しろー!ほら、そこのおねーさん達にドリンク持ってって」
「あいー・・・」
海の家のカウンターの上、トレイに並んだSNS映えしそうなトロピカルカラーのドリンクとカットフルーツが入ったクリアカップを受け取る市太。
だりぃ。視界は水着姿の女の子たちで溢れてるっていうのに、どれもこれもただの人参にしか見えねぇ。架と一玖が今頃会ってるんじゃないか、って考えただけで気分が悪くなる・・・
「おまたせしましたー。ノンアルサングリア夏きゅんバージョンでーす」
ネーミングセンスがいかがなものか と思いつつも、南国リゾート風のルーフの下、水着姿で寛ぐ若い女性達に笑顔を向ける。
「えー、もおヤバくない?このジュース色めっちゃカワイイ~、映え確定じゃん~。てか おにーさんめっちゃイケメンじゃない?いつ仕事終わんのぉ?」
「ねね、ウチらと遊びにいこーよぉ」
「あー・・・、店自体は22時までやってるんでずっとここにいなきゃなんですよー。夜はアルコールもあるんで良かったら遊びに来てくださいねー」
もうこれ何度目だよ。夏の魔法にかかってる女子、くっそ大胆だな。
海で泳ぐ訳でもなく、日陰で寝そべってジュース飲んでる女ばっかだし。
市太は笑顔を崩さずにカウンターの裏へ入り、しゃがみこんで大きな溜息を吐く。
「イチ連れて来て良かったわ。売り上げ増えたっておじさん喜んでたし」
隣に同じように座るのは市太の高校生時代からの先輩、山下 つばさ。
「つーか他のメンツ、おじさん本業のカフェの方とか聞いてねーし。俺もそっちがよかったっす」
『おじさん』とは つばさの叔父にあたる人で、ハワイアンカフェのオーナー。海水浴シーズンだけ海の家を出店していて、市太達はその手伝いの為に愛知県まで来ていた。
「仕方ないだろー。海の家の方はビジュいいの置きたいって言うんだからさ。イケメンだって認められたと思って喜べよ」
「はあ。つばさくんはイケメンっつーか、マネキンって感じだけど」
「なんだよそれ。接客向いてねーって言いたいのか?」
「んなこと言ってない」
男のわりには手が綺麗で、肌も白くて細くて架と雰囲気が似てる。架がカワイイ系男子なら、つばさくんはキレイ系男子。根本的に違うところと言えば、架は排他的なのに対して、つばさくんは社交的だということ。
「お前も災難だったよな。初日からスマホ失くすとかマジでせつないよな」
「ホントだよ。久しぶりの海に、興奮し過ぎた」
市太はバイト初日の夜、真っ暗な人気の無い海で友人達と泳ぎ、その際にスマホを紛失してしまったのだった。
「いちお警察には届け出したし、親切な人がいたら返って来んだろ。海ん中だったら終わってるけどな」
「もー別にいいよ。家には連絡したし、そろそろ買い替えようと思ってたから。向こう帰ったら新しいの買う」
スマホを失くした事はどうでも良かった。市太にとって、架と連絡が取れないことの方が大きな問題だった。
「スマホ代稼がなきゃだな!つかもうそろそろ昼じゃん。交代来たらコンビニ行こうぜ。カワイソーなイチクンにあっつあつの弁当奢ってやる」
「このクソ暑いのに・・・全然かわいそうなんて思ってねーじゃん」
「ははっ、思ってる思ってる」
架以外の交友の中で、市太は つばさに一番親しみを感じていた。強引で遠慮が無くて、それでいてさり気なく気遣ってくれる。顔がいいだけに多少わがままでも許せてしまうところも何だか架と似ている、と感じてしまうからだ。
「そういえばさっき、お客さんからクラブのイベントチケット貰ったんだよね。バイト終わったら遊びに行こーぜ」
市太の肩に腕を乗せ、つばさはニッと口の端を上げる。
「いいすけど・・・。乱交とかやめてよ、つばさくん。俺、男のおっ勃ったモンとか見たくないからね?」
「わーかってるって!イチの前ではヤんねーから心配すんな!」
つばさくんが架とは決定的に違うところ。
それは、こんなに綺麗な顔をして、来るもの拒まずの下半身ゆるゆるのヤリチンだというところ。
「イチ~、ぼーっとしてないで仕事しろー!ほら、そこのおねーさん達にドリンク持ってって」
「あいー・・・」
海の家のカウンターの上、トレイに並んだSNS映えしそうなトロピカルカラーのドリンクとカットフルーツが入ったクリアカップを受け取る市太。
だりぃ。視界は水着姿の女の子たちで溢れてるっていうのに、どれもこれもただの人参にしか見えねぇ。架と一玖が今頃会ってるんじゃないか、って考えただけで気分が悪くなる・・・
「おまたせしましたー。ノンアルサングリア夏きゅんバージョンでーす」
ネーミングセンスがいかがなものか と思いつつも、南国リゾート風のルーフの下、水着姿で寛ぐ若い女性達に笑顔を向ける。
「えー、もおヤバくない?このジュース色めっちゃカワイイ~、映え確定じゃん~。てか おにーさんめっちゃイケメンじゃない?いつ仕事終わんのぉ?」
「ねね、ウチらと遊びにいこーよぉ」
「あー・・・、店自体は22時までやってるんでずっとここにいなきゃなんですよー。夜はアルコールもあるんで良かったら遊びに来てくださいねー」
もうこれ何度目だよ。夏の魔法にかかってる女子、くっそ大胆だな。
海で泳ぐ訳でもなく、日陰で寝そべってジュース飲んでる女ばっかだし。
市太は笑顔を崩さずにカウンターの裏へ入り、しゃがみこんで大きな溜息を吐く。
「イチ連れて来て良かったわ。売り上げ増えたっておじさん喜んでたし」
隣に同じように座るのは市太の高校生時代からの先輩、山下 つばさ。
「つーか他のメンツ、おじさん本業のカフェの方とか聞いてねーし。俺もそっちがよかったっす」
『おじさん』とは つばさの叔父にあたる人で、ハワイアンカフェのオーナー。海水浴シーズンだけ海の家を出店していて、市太達はその手伝いの為に愛知県まで来ていた。
「仕方ないだろー。海の家の方はビジュいいの置きたいって言うんだからさ。イケメンだって認められたと思って喜べよ」
「はあ。つばさくんはイケメンっつーか、マネキンって感じだけど」
「なんだよそれ。接客向いてねーって言いたいのか?」
「んなこと言ってない」
男のわりには手が綺麗で、肌も白くて細くて架と雰囲気が似てる。架がカワイイ系男子なら、つばさくんはキレイ系男子。根本的に違うところと言えば、架は排他的なのに対して、つばさくんは社交的だということ。
「お前も災難だったよな。初日からスマホ失くすとかマジでせつないよな」
「ホントだよ。久しぶりの海に、興奮し過ぎた」
市太はバイト初日の夜、真っ暗な人気の無い海で友人達と泳ぎ、その際にスマホを紛失してしまったのだった。
「いちお警察には届け出したし、親切な人がいたら返って来んだろ。海ん中だったら終わってるけどな」
「もー別にいいよ。家には連絡したし、そろそろ買い替えようと思ってたから。向こう帰ったら新しいの買う」
スマホを失くした事はどうでも良かった。市太にとって、架と連絡が取れないことの方が大きな問題だった。
「スマホ代稼がなきゃだな!つかもうそろそろ昼じゃん。交代来たらコンビニ行こうぜ。カワイソーなイチクンにあっつあつの弁当奢ってやる」
「このクソ暑いのに・・・全然かわいそうなんて思ってねーじゃん」
「ははっ、思ってる思ってる」
架以外の交友の中で、市太は つばさに一番親しみを感じていた。強引で遠慮が無くて、それでいてさり気なく気遣ってくれる。顔がいいだけに多少わがままでも許せてしまうところも何だか架と似ている、と感じてしまうからだ。
「そういえばさっき、お客さんからクラブのイベントチケット貰ったんだよね。バイト終わったら遊びに行こーぜ」
市太の肩に腕を乗せ、つばさはニッと口の端を上げる。
「いいすけど・・・。乱交とかやめてよ、つばさくん。俺、男のおっ勃ったモンとか見たくないからね?」
「わーかってるって!イチの前ではヤんねーから心配すんな!」
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