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憂慮 1
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涼太が出張に行ってから3日。
はっきり言って仕事どころじゃない。ミスはしていないけど、指導医から「具合でも悪いのか?」と心配されてしまうほどソワソワして、涼太の事が気になって仕方なかった。
たかが4日間の出張で、電話するのもなんだか女々しい気がして、声を聞きたいのも我慢してんのに・・・。
涼太からの連絡も一切無しってどうなんだよ。
「山田、お疲れ」
「あ・・・宮野」
仕事を終えて、駐車場に停めてある車に乗り込もうとしていたところを、久しぶりに顔を見る宮野に呼び止められた。
「久しぶり。山田、いま救急なんでしょ?研修」
「ああ。お前どこ?」
「俺?産婦人科」
「・・・お前がいる産婦人科ってなんか嫌だな」
「ひっでぇな!ちゃんと仕事として割り切ってるし!それに俺、タケルくんと付き合っちゃってるし」
「え!?マジ!?なんだよその奇跡は」
マジか。空港で俺が涼太を連れてったせいで、タケル血迷っちゃったんだな・・・。かわいそうに。
「んで、今ふたり出張中じゃん?ヒマだし山田んちでも遊びに行こーかと思って待ってた。明日明後日休みだろ?」
タケルも一緒に行ってんのか。涼太そんなんひとことも言ってなかったじゃねーか。
・・・・・・なんか腹立つな。
「・・・まあ、俺も暇だし別にいいけど。涼太いねぇから、なんかメシ買って帰んねーと」
「いいね。中華テイクアウトして、ビールも買って行こう」
「・・・・・・・・・って感じで、俺さぁ、おもちゃで開発中なんだよね、アナル」
「知らねーよ!きったねぇ話すんな!食ったもん出るだろ!」
宮野のアナル開発なんかコレっぽっちも興味ねえっつーの!マジ、ゲロ出るわ。
タケルと宮野のセックス事情を聞かされて、気分が悪くなる。
「そういえばさ、明日21時くらいには帰るって、さっきタケルくんから連絡来てたんだよね。涼ちゃんにも会いたいし、このまま山田んち居ていい?」
はあ!?マジかよ・・・。
自分のスマホを見てみるが、やっぱり涼太からの連絡は無い。
帰る時間くらい連絡入れろよ。こいつらでさえ、ちゃんと連絡取り合ってんのに。
涼太が、そういう事に几帳面じゃないのは理解している。・・・でも、なんだろう、俺ってそんなに気にもされて無い存在なのか?物凄く虚しくなってくる。
俺は無意識にスマホを握りしめていた。
「・・・山田、もしかして涼ちゃんから連絡無いとか?」
「・・・涼太はそういう事、いちいち連絡してくるようなヤツじゃねぇし。俺からもしないから」
「ふーん・・・」
強がってる、と宮野に思われているに違いない。
「ちょっとスマホ貸せよ」
宮野は俺の手からスマホをパッと取り上げ、俺の親指でロックを解除し、勝手に操作し始める。
「てめー、勝手に触んな。何やってんだよ!」
「うるさいな~。カッコつけてるだけのヤツは黙ってろよ・・・・・・・・・あ、もしもし、涼・・・・・・・・・・・・」
こいつ!涼太に電話掛けたのかよ!
「宮野!返せ!」
慌ててスマホを奪い返し、自分の耳元に持っていく。
「涼太、悪い。宮野が勝手に・・・・・・って切れてんじゃねーか」
「なんか、知らない男が出たんだけど・・・涼ちゃん追い詰めてるとかなんとか言って切れちゃった」
「・・・は?」
宮野の言葉を聞いて俺の頭に浮かんだのは、佐々木にキスされていた涼太の姿だった。
すぐに電話を掛けたが、繋がらない。
なんで俺が目を離すと、すぐにあいつはこうなるんだよ!?
今すぐにでも涼太の元へ行きたい。
だけど、アルコールが入ってるし運転は無理だ。こうなったらタクシーで・・・
「山田、ちょっと落ち着きなって!」
「ああ!?誰がテンパってんだよ!?てめぇ抜かしてっとコロスぞ!」
行き場の無い不安と怒りを、宮野の胸ぐらを掴んでぶつけてしまう。
「落ち着けって!心配なのはわかるけど、タケルくんも一緒のはずだから・・・」
ピリリ・・・
不意にスマホが鳴り、俺は涼太からだと直感して速攻で電話に出る。
「涼太!?」
『安心しろ。なんかされそうになったら、タマ潰して下水に流してやるつもりだから』
「・・・はは。こえーな、お前」
3日ぶりの涼太の声。不気味なほど冷静過ぎる口調。
・・・これ、ブチギレてるな。こうなったらいくら佐々木でもさすがに手は出せないだろう。
安堵と涼太を恋しく想う気持ちが混ざり合って、心臓が痛い。
「・・・あんま心配させんなよ、マジで・・・」
なんでもない風を装いたいのに、涼太の声を聞いただけで、そんなちっぽけなプライドさえどうでもよくなる。
俺は涼太が大事で、唯一で、全てなんだ、と改めて突き付けられてしまう。
そんな俺に気付くはずも無い涼太は「明日な」と言って素っ気なく電話を切った。
ああ~、もっと声聞いてたかったな~。一瞬で明日の夜になんねぇかな・・・。
「あのさ、そろそろ離してくんない?」
「あ、悪い」
宮野を締め上げてたの、忘れてたわ。
服を掴んでいた右手を俺が離すと、宮野は呆れ顔をしながら皺が入った胸元を伸ばす。
「ほんと涼ちゃんの事になるとお前、狂人だね。犯罪者になんないようにしなよ?」
・・・返す言葉が無い。
「悪かったよ。つい・・・」
「じゃ、泊まっていい?」
そういえばそんな事、言ってたな・・・。くそ、邪魔くせぇけど・・・。
「好きにしろよ」
「やったー!じゃあ涼ちゃんのベッド借りよっかな」
「誰が貸すか!お前は床で寝てろ!」
はっきり言って仕事どころじゃない。ミスはしていないけど、指導医から「具合でも悪いのか?」と心配されてしまうほどソワソワして、涼太の事が気になって仕方なかった。
たかが4日間の出張で、電話するのもなんだか女々しい気がして、声を聞きたいのも我慢してんのに・・・。
涼太からの連絡も一切無しってどうなんだよ。
「山田、お疲れ」
「あ・・・宮野」
仕事を終えて、駐車場に停めてある車に乗り込もうとしていたところを、久しぶりに顔を見る宮野に呼び止められた。
「久しぶり。山田、いま救急なんでしょ?研修」
「ああ。お前どこ?」
「俺?産婦人科」
「・・・お前がいる産婦人科ってなんか嫌だな」
「ひっでぇな!ちゃんと仕事として割り切ってるし!それに俺、タケルくんと付き合っちゃってるし」
「え!?マジ!?なんだよその奇跡は」
マジか。空港で俺が涼太を連れてったせいで、タケル血迷っちゃったんだな・・・。かわいそうに。
「んで、今ふたり出張中じゃん?ヒマだし山田んちでも遊びに行こーかと思って待ってた。明日明後日休みだろ?」
タケルも一緒に行ってんのか。涼太そんなんひとことも言ってなかったじゃねーか。
・・・・・・なんか腹立つな。
「・・・まあ、俺も暇だし別にいいけど。涼太いねぇから、なんかメシ買って帰んねーと」
「いいね。中華テイクアウトして、ビールも買って行こう」
「・・・・・・・・・って感じで、俺さぁ、おもちゃで開発中なんだよね、アナル」
「知らねーよ!きったねぇ話すんな!食ったもん出るだろ!」
宮野のアナル開発なんかコレっぽっちも興味ねえっつーの!マジ、ゲロ出るわ。
タケルと宮野のセックス事情を聞かされて、気分が悪くなる。
「そういえばさ、明日21時くらいには帰るって、さっきタケルくんから連絡来てたんだよね。涼ちゃんにも会いたいし、このまま山田んち居ていい?」
はあ!?マジかよ・・・。
自分のスマホを見てみるが、やっぱり涼太からの連絡は無い。
帰る時間くらい連絡入れろよ。こいつらでさえ、ちゃんと連絡取り合ってんのに。
涼太が、そういう事に几帳面じゃないのは理解している。・・・でも、なんだろう、俺ってそんなに気にもされて無い存在なのか?物凄く虚しくなってくる。
俺は無意識にスマホを握りしめていた。
「・・・山田、もしかして涼ちゃんから連絡無いとか?」
「・・・涼太はそういう事、いちいち連絡してくるようなヤツじゃねぇし。俺からもしないから」
「ふーん・・・」
強がってる、と宮野に思われているに違いない。
「ちょっとスマホ貸せよ」
宮野は俺の手からスマホをパッと取り上げ、俺の親指でロックを解除し、勝手に操作し始める。
「てめー、勝手に触んな。何やってんだよ!」
「うるさいな~。カッコつけてるだけのヤツは黙ってろよ・・・・・・・・・あ、もしもし、涼・・・・・・・・・・・・」
こいつ!涼太に電話掛けたのかよ!
「宮野!返せ!」
慌ててスマホを奪い返し、自分の耳元に持っていく。
「涼太、悪い。宮野が勝手に・・・・・・って切れてんじゃねーか」
「なんか、知らない男が出たんだけど・・・涼ちゃん追い詰めてるとかなんとか言って切れちゃった」
「・・・は?」
宮野の言葉を聞いて俺の頭に浮かんだのは、佐々木にキスされていた涼太の姿だった。
すぐに電話を掛けたが、繋がらない。
なんで俺が目を離すと、すぐにあいつはこうなるんだよ!?
今すぐにでも涼太の元へ行きたい。
だけど、アルコールが入ってるし運転は無理だ。こうなったらタクシーで・・・
「山田、ちょっと落ち着きなって!」
「ああ!?誰がテンパってんだよ!?てめぇ抜かしてっとコロスぞ!」
行き場の無い不安と怒りを、宮野の胸ぐらを掴んでぶつけてしまう。
「落ち着けって!心配なのはわかるけど、タケルくんも一緒のはずだから・・・」
ピリリ・・・
不意にスマホが鳴り、俺は涼太からだと直感して速攻で電話に出る。
「涼太!?」
『安心しろ。なんかされそうになったら、タマ潰して下水に流してやるつもりだから』
「・・・はは。こえーな、お前」
3日ぶりの涼太の声。不気味なほど冷静過ぎる口調。
・・・これ、ブチギレてるな。こうなったらいくら佐々木でもさすがに手は出せないだろう。
安堵と涼太を恋しく想う気持ちが混ざり合って、心臓が痛い。
「・・・あんま心配させんなよ、マジで・・・」
なんでもない風を装いたいのに、涼太の声を聞いただけで、そんなちっぽけなプライドさえどうでもよくなる。
俺は涼太が大事で、唯一で、全てなんだ、と改めて突き付けられてしまう。
そんな俺に気付くはずも無い涼太は「明日な」と言って素っ気なく電話を切った。
ああ~、もっと声聞いてたかったな~。一瞬で明日の夜になんねぇかな・・・。
「あのさ、そろそろ離してくんない?」
「あ、悪い」
宮野を締め上げてたの、忘れてたわ。
服を掴んでいた右手を俺が離すと、宮野は呆れ顔をしながら皺が入った胸元を伸ばす。
「ほんと涼ちゃんの事になるとお前、狂人だね。犯罪者になんないようにしなよ?」
・・・返す言葉が無い。
「悪かったよ。つい・・・」
「じゃ、泊まっていい?」
そういえばそんな事、言ってたな・・・。くそ、邪魔くせぇけど・・・。
「好きにしろよ」
「やったー!じゃあ涼ちゃんのベッド借りよっかな」
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