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当て馬の本気 1
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はあ。昨日は酷い目にあった。
散々謝らされた後、青の気の済むまで何度も・・・
あいつの精力って尽きることあんのかな・・・?
「涼太、おはよ!」
エレベーターを待っているオレの背後からぎゅうっと雄大さんが抱きついてくる。
オレはスっとしゃがんで、巻き付く腕からすり抜け雄大さんを軽く睨んだ。
「オハヨウゴザイマス」
「なんだよ。キスした仲じゃん。そんな豆柴みたいな顔して警戒すんなよ」
「誰が豆柴ですか。雄大さんのせいでどエライ思いしたんすよ!」
極力近付かないようにしねーと・・・。
「どえらい思い?イイ思いの間違いだろ?豆柴ちゃんは狂犬にでも噛まれたのか?噛み跡ついてるぞ」
雄大さんが伸ばした指が首筋に触れて、ビクッと構えてしまう。
「カワイイ反応するなよ。またキスしたくなっちゃうじゃん」
「ふざけないでくださいよ!」
ああ~もう!こうやって雄大さんのペースになるんだよな、くっそ~!
「涼太が俺を騙そうとしたんだろ、自業自得だよ」
・・・それを言われると何も言えなくなる。
「すみませんでした!」
「・・・ということで、来期のSSのテーマはこれを推していこうと思います。デザイン部と縫製部に来週には企画書まわしたいので、各部門の担当は即案まとめて、今週中に部長に提出してください」
企画会議で指揮を執る雄大さん。仕事中はほんとに真面目で頼れるいい上司なんだけどな。
「涼太、メンズボトムスのカラー展開、全部任せちゃっていい?」
「はい。トップスのカラー案まとまってるんで、すぐ取り掛かります。ディテールはデザイン部に投げていいんですよね?」
「いいよ。じゃあ頼むな。・・・あ、前田さーん、キッズの・・・」
雄大さんは去り際に、オレの頬を指の背で軽く撫でて行く。
は?なにアレ・・・。男女でやってたら、かなり恥ずかしいヤツだよな・・・。
は!もしかして、オレがちゃんと仕事できねーと思って、子供扱いか?
舐めんなよ~!
「ねえ、涼太くん」
仕事に闘志を燃やすオレに、同じ企画部の先輩中川さんが声を掛けてくる。
「涼太くんて、もしかして佐々木さんとデキてる?」
「はぁ!?なんすかそれ!」
「みんな噂してるよ~?あの佐々木さんが最近は彼女も作んないで涼太くんばっか構ってる、って」
オレじゃねーよ。オレのねーちゃんに片想いしてたからだよ!
・・・って、雄大さんの名誉の為にも言わない方がいいな。
「それにさ、佐々木さん、涼太くんにだけ名前で呼ばせてるんだよ?なんか意味深だよね~って、同じフロアの女子会で盛り上がっちゃって」
「誤解ですよ。オレの事からかって面白がってるだけですから。つーか、絶対無いんで否定しといてください」
「そーなんだ。涼太くんは彼女いるの?」
出た!その質問!それって何なの?社交辞令ってやつなのか?
「彼女は、いないですけど・・・」
彼氏はいるんだよな。
「そーなんだぁ・・・彼女いないんだぁ?」
小柄な中川さんは、ニコニコしながらオレを見上げてくる。
・・・なんだよ、その裏のありそうな笑顔は。
「そういえば、涼太くんの歓迎会まだだったよね?部長から幹事頼まれてるんだよね、私。行きたいお店とかある?」
「イヤ、特には」
「そ?じゃあ、勝手に決めちゃうね。メンズ企画書頑張ってね!」
「はい。ありがとうございます」
なんだろう。嫌な予感がしなくもないこの感じは。
この時のオレの微かな予感は、見事に的中することになる。
散々謝らされた後、青の気の済むまで何度も・・・
あいつの精力って尽きることあんのかな・・・?
「涼太、おはよ!」
エレベーターを待っているオレの背後からぎゅうっと雄大さんが抱きついてくる。
オレはスっとしゃがんで、巻き付く腕からすり抜け雄大さんを軽く睨んだ。
「オハヨウゴザイマス」
「なんだよ。キスした仲じゃん。そんな豆柴みたいな顔して警戒すんなよ」
「誰が豆柴ですか。雄大さんのせいでどエライ思いしたんすよ!」
極力近付かないようにしねーと・・・。
「どえらい思い?イイ思いの間違いだろ?豆柴ちゃんは狂犬にでも噛まれたのか?噛み跡ついてるぞ」
雄大さんが伸ばした指が首筋に触れて、ビクッと構えてしまう。
「カワイイ反応するなよ。またキスしたくなっちゃうじゃん」
「ふざけないでくださいよ!」
ああ~もう!こうやって雄大さんのペースになるんだよな、くっそ~!
「涼太が俺を騙そうとしたんだろ、自業自得だよ」
・・・それを言われると何も言えなくなる。
「すみませんでした!」
「・・・ということで、来期のSSのテーマはこれを推していこうと思います。デザイン部と縫製部に来週には企画書まわしたいので、各部門の担当は即案まとめて、今週中に部長に提出してください」
企画会議で指揮を執る雄大さん。仕事中はほんとに真面目で頼れるいい上司なんだけどな。
「涼太、メンズボトムスのカラー展開、全部任せちゃっていい?」
「はい。トップスのカラー案まとまってるんで、すぐ取り掛かります。ディテールはデザイン部に投げていいんですよね?」
「いいよ。じゃあ頼むな。・・・あ、前田さーん、キッズの・・・」
雄大さんは去り際に、オレの頬を指の背で軽く撫でて行く。
は?なにアレ・・・。男女でやってたら、かなり恥ずかしいヤツだよな・・・。
は!もしかして、オレがちゃんと仕事できねーと思って、子供扱いか?
舐めんなよ~!
「ねえ、涼太くん」
仕事に闘志を燃やすオレに、同じ企画部の先輩中川さんが声を掛けてくる。
「涼太くんて、もしかして佐々木さんとデキてる?」
「はぁ!?なんすかそれ!」
「みんな噂してるよ~?あの佐々木さんが最近は彼女も作んないで涼太くんばっか構ってる、って」
オレじゃねーよ。オレのねーちゃんに片想いしてたからだよ!
・・・って、雄大さんの名誉の為にも言わない方がいいな。
「それにさ、佐々木さん、涼太くんにだけ名前で呼ばせてるんだよ?なんか意味深だよね~って、同じフロアの女子会で盛り上がっちゃって」
「誤解ですよ。オレの事からかって面白がってるだけですから。つーか、絶対無いんで否定しといてください」
「そーなんだ。涼太くんは彼女いるの?」
出た!その質問!それって何なの?社交辞令ってやつなのか?
「彼女は、いないですけど・・・」
彼氏はいるんだよな。
「そーなんだぁ・・・彼女いないんだぁ?」
小柄な中川さんは、ニコニコしながらオレを見上げてくる。
・・・なんだよ、その裏のありそうな笑顔は。
「そういえば、涼太くんの歓迎会まだだったよね?部長から幹事頼まれてるんだよね、私。行きたいお店とかある?」
「イヤ、特には」
「そ?じゃあ、勝手に決めちゃうね。メンズ企画書頑張ってね!」
「はい。ありがとうございます」
なんだろう。嫌な予感がしなくもないこの感じは。
この時のオレの微かな予感は、見事に的中することになる。
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