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もう一度 2

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「触っていいって言えよ」

 俺の言葉に何も返さない涼太。
 涼太の肩に手を伸ばすと、ビクッと体を強ばらせるのがわかった。

 ・・・涼太のこの反応、懐かしいな。
 やべぇ、めちゃくちゃカワイイ。
 肩に触れた手に力が籠る。

「触んな」

 俯きながら涼太が小さく呟く。

「なんで?俺の事、会わない間に嫌いになった?」

 二年前に、酷い事を言った自覚はある。涼太から自分が離れるために、ああ言うしか無かった。本心じゃない。だけど、涼太を傷付けたのは事実で・・・

「・・・誰かと一緒に住んでんだろ?」

 ・・・は?

「二年も経ってんだ。そうなるのはおかしい事じゃねぇ」

 イヤ、待て涼太。

「だけど、そんな相手がいるのに、昔の相手に触んのはおかしい事だろ」

 ちょっと・・・何をどう考えたらそんな答えに辿り着くんだよ。

「俺は、一生涼太だけだって言っただろ」

 涼太が二つ並んだドアの方を見る。

「じゃあなんで、一人暮らしなのにこんな部屋住んでんだよ、誰かいるのは想像ついてんだよ!」

 ・・・はあ。

「来い」

 涼太の腕を引き並んだドアの前に連れていく。

「こっちが俺の部屋」

 左側のドアを開けて涼太に説明する。

「こっちの部屋開けてみろ」

 俺がそう言うと、右側のドアを躊躇いながらも涼太が開ける。

「やっぱ、誰かいんじゃん・・・」

 部屋に置かれたベッドとチェストを見て涼太が言う。

「よく見ろって!見覚えあんだろ!」

「・・・あ、これ、オレ、の・・・?」

 ようやく自分が使っていたベッドとチェストだと認識した涼太が、部屋に一歩踏み入れる。

「俺が、涼太を忘れて他の誰かと一緒になってるって考えてたわけだ」

 涼太の背後から腕を回し、肩を引き寄せ抱きしめる。

「リビングのソファだって、前から使ってたやつなんですけど。気付かなかったのかよ」

「全然」

 二年経っても、涼太は成長してねーな・・・。
 余計な勘繰りするようになっただけじゃねーか・・・。ったく。
 
「俺はずっと涼太だけだ。・・・お前は?」

 ・・・まさか、タケルに手出されてたんじゃねぇだろうな・・・。だったら絶対許さねぇからな。

「・・・・・・・・・・・・」

 涼太が気まずそうに沈黙を続ける。

「タケルと、そういう仲になったとか?」

「は?タケル?んなわけねえだろ。まあ正直揺れた事もあるけど、タケルとは無い」

 とは!?・・・ってことは他にいたって事かよ!

「女と・・・付き合ってた」

 は!?涼太が、おおおおお女と付き合ってた!?

「・・・五人くらいと付き合って・・・」

 ごごごご五人も!?

「結局振られたけど」

 オイオイオイオイ!嘘だろ!
 驚きすぎて、言葉が出てこない。

「・・・青?」

「涼太・・・ど、童貞は・・・」

 やっとで出てきた言葉が、童貞、とは。自分でも情けない。でもそこが一番気になる!

「・・・」

 なんで答えないんだ?
 まさかとは思うけど、五人も付き合ってたら、もう・・・

「涼太・・・」

「・・・悪いかよ」

「え?」

「どーせオレは、どんなに女と付き合えても、未だに童貞だよ!文句あんのか!」

 ・・・・・・文句、あるわけねえだろ。
 俺は、涼太を抱きしめる腕に力を込める。

「・・・よかった」

「なにが良かったんだよ。オレは、24になってもまだ童貞なんだぞ!恥ずかしくて誰にも言えねーよ!」

「涼太、安心しろ。そんなことより、もっと誰にも言えない恥ずかしい事、今からするんだから」

 後ろから抱きしめたまま、涼太の首筋に指を滑らせる。

「っ!やめろよ。くすぐってーだろ!」

「・・・くすぐったいだけか?」

  指をもう一度滑らせると、涼太の肌が熱を帯びたのを感じた。
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