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青と瀬戸 2

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 涼太は今、特休という名の一週間の冬休み中。
 俺も大学は春休みに入っているが、家庭教師のバイトがあるため、一緒に出かけることもほとんど無く家で過ごしていた。

「つまんねーな。もう三日も家でゴロゴロしてたら飽きちゃったな~」

 ソファに寝転がってテレビを見ながら涼太が言う。

「カズと優也にでも遊んでもらうか?」

 俺がそう言うと、深い溜息を吐く涼太。

「知ってっか?カズ、彼女できたんだよ」

「ま、まじで!?って事は、童貞じゃなくなったって事かよ・・・」

 ああ~。涼太の童貞仲間が消えた・・・。

「青のバイトが無かったら、スノボ行きたかったのにな~。体動かしてぇな~」

 涼太がつまらなさそうに、クッションを抱えてゴロゴロ転がる。

「スノボより体動かすことしてんだろ、毎日」

 涼太に覆いかぶさった俺は、キスしようと顔を近付ける。
 
「セックスも飽きた」

 な、なにぃ~~~!飽きた、だと~~~!

「どけ。重い。もうバイトの時間だろ」

「ほんっとかわいくねえ!」

 無理矢理涼太にキスをしてから、俺はバイトに向かった。





 この時期は、受験目前のためバイトの時間が長い。
 すっかり帰りが遅くなってしまった俺は、アパートの部屋の前まで来て、中から賑やかな声がするのに気付く。

 玄関のドアを開けると、男物の靴が3足。
 誰だ?

「あ、青帰ってきた。おかえりー」

「ただいま」

「山田おかえり~」

「お邪魔してます」

 リビングにいたのは、涼太と宮野とタケルと・・・瀬戸。
 宮野とタケルはわかるにしても、なぜ瀬戸!

「お前ら、酒飲んでんの?」

 テーブルの上に、アルコール飲料の缶とつまみが並んでいる。

「俺は飲んでないですよ。この3人だけです」

 未成年のタケルはペットボトルのコーラを指さしながら言う。

「青もなんか飲む?おまえまだ未成年だから、ジュースな!」

 涼太、もうだいぶ酔っ払ってんな。
 目をトロンとさせた涼太が、冷蔵庫からペットボトルのジュースを数本持ってくる。

「瀬戸がこの前、飯代払ってなかったからっつって、タケルと一緒に来たんだよ」

「俺は途中でタケルくん達に出会って、じゃあ酒でも買っていこっかってなって、この状態」

「「なー」」

 涼太と宮野が、肩を組んで声を揃える。

「離れろ」

 俺は、宮野から涼太を引き剥がして、ソファに座る二人の間に割り込む。

「もー、山田ほんと嫉妬深い!ちょっとくらいいいじゃん。そんなんじゃ、涼ちゃんがかわいそう!」

「そーだ。のぞむもっと言ってやれ」

 ダメだ、こいつら。完全に酔ってるわ。



 しばらく五人で他愛もない話をして、最初に瀬戸が潰れ、いつのまにか涼太もソファにもたれて寝入ってしまった。

「あー、ふたりもうアウトだね。俺達もそろそろ帰ろっか?」

「そうですね、もう2時ですよ」

 宮野とタケルがジャケットを羽織り始める。

「オイ、瀬戸を置いてくなよ」

 置いていかれても困るんだよ!

「無理でしょ。だって瀬戸くん、でかいもん。運べないよ。電車も終わってるし。起きたら自分で帰るよ、きっと。じゃあね、山田」

「お邪魔しました」

 瀬戸を放置して、宮野とタケルは部屋を出ていく。
 ふざけんな。なんで寄りによって瀬戸を置いてくんだよ!

 床に敷いてあるラグの上に寝転がる瀬戸を見て、溜息しか出ない俺。

「はあ」

  部屋の明かりを落としソファに座ると、涼太が寝ぼけて、体を寄せてくる。

「寒い・・・。毛布・・・」

 そんな涼太の様子を見て、俺は欲望のスイッチが入る。

「涼太、起きろ。暖かくしてやるから」

「んー。・・・あれ、のぞむたちは?」

「帰ったよ」

「そーなんだ・・・。じゃあ、おかえりのキスしねーと・・・」

 涼太は酒が入っているせいか、いつになく大胆になって、俺の膝に乗りキスしてくる。

 部屋が薄暗かったせいか、床に転がる瀬戸に気付いていない様子の涼太。

「青、しよ」

「飽きたんじゃねーのかよ」

「したい」

 酒の力、恐るべし!涼太がエロい!最高かよ!

「じゃあベッド行くぞ」

「やだ。ここでする」

 でもすぐそこで瀬戸が寝てんだけど・・・。
 頬を擦り寄せて甘えてくる涼太。
 瀬戸の方をチラッと見ると、眠りが深いのか、ピクリとも動かない。

 ・・・ま、いっか。起きねーだろ。
 こんな風になってる涼太、滅多に見れないしな。



 俺は涼太に気を取られて気づいていなかった。
 瀬戸は動かなかったんじゃない。動けなかったんだと。
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