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接近 2

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 のぞむにこーゆー事・・・って、そーいえばのぞむ、キスされそうになったとか言ってなかったっけ?

「タケルさ、こーゆー事、誰にでもやってんの?」

「どういう意味ですか?」

「え?イヤ、こーゆー事されて勘違いするヤツもいるんじゃないかなーと思っただけ」

 のぞむに聞いたって言えねーしな。

「涼太さんが気にする事じゃないです」

 ・・・それもそうか。

「それとも、勘違いして俺を好きになってくれるんですか?」

 ええ!?それは・・・

「それは、ない。タケルは、可愛い後輩だとしか思えない」

 それに、オレはやっぱり青が好きだから。

「酷いですね、涼太さん。俺の気持ちに応えてくれる気もないくせに」

「ごめん。オレ、余計な事言ったな・・・」

 タケルの両手で頬を包み込まれて、顔がまた近付く。

「なんとも思ってない奴には、このままキスします。でも、涼太さんは違う」

「ちょ、た、離し・・・」

「したいけど、できない。大事過ぎてできないんです。もし、涼太さんが許してくれたとしたら・・・」

 タケルの顔が苦しそうで、何だかこっちまで胸が苦しくなってくる。

「涼太さんがボロボロになるくらいに、酷いことしてしまいそうで、これ以上できないんです」

 タケルの言葉に、背筋がゾクッとする。

 あ・・・今わかった。タケルを遠ざけられない理由。

 こいつ、青に似てる。

 見た目は違うけど、なんだろ・・・何となく。
 
「涼太さん?」

「え?」

「そんな顔してると、我慢できなくなっちゃいます」

 タケルの手が離れる。

「もうのぞむさんもいないだろうし、帰りましょうか。すみません、引き止めてしまって」

「あ、うん」

 大通りに出るが、のぞむの姿は無いようだった。

 タケルが手を離さなかったら、オレ、あのまま流されてたかも・・・

 ってダメだろ!
 いくら、タケルが青に似てるからって!
 そもそも男だし!男ばっかいらねーし!




「今日は、久しぶりに涼太さんとふたりでいれて、嬉しかったです。これから俺、のぞむさん見かけたら全力回避します!お疲れ様でした」

「おつかれ。気をつけて帰れよ」

 のぞむ、かわいそーだな。・・・なんか、ごめん。

 駅でタケルと別れて、家に向かう。
 
 オレ、流されやすいのかな~。
 こんなんじゃ、また青、怒らせちゃうな。
 気をつけねーと。

「涼太」

「うわっ!」

 アパートの近くまで来て、暗い中、急に声をかけられてドキッとする。

「あああ、青。くく暗闇からいきなり声掛けんなよな!びっくりすんだろ!」

「涼太が遅いから。ビックリしたくねぇなら、心配させんじゃねーよ」

 心配、してくれてんだ。
 なんか、じーんとすんな、こういうの。

「ごめん。ありがとな、青」

 青の襟元をグッと引っ張って、キスする。

「ただいま」

「・・・涼太ぁぁぁ~!涼太からただいまのキスとか!やっべえ!」

「夜道でうっせぇ!近所迷惑だろ!」

 未だにオレからのキスひとつで、こんだけテンション上がるとか、おめでたいな、コイツ。



 オレは、タケルが手を出してこない事に、安心しすぎていたのかもしれない。

 まさか、オレの油断が、青との日常を壊す事になるなんて・・・

 
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