天然ノンケと同棲しています。

Hiiho

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純愛 3

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「涼太さんと一緒にいれるから、俺、業者にも感謝してますよ」

 何言ってんだよ・・・
 タケルが言う事って、本当に返答に困る。

「何もしないんで、手だけ握っててくれませんか?」

 手だけ・・・なら・・・

 椅子に座り、ベッドの上に置かれたタケルの手を握ると、タケルの手がそっとオレの手を包み込む。

 こいつの手、めっちゃ熱いな。

「涼太さんの手、冷たいですね」

「オレ体温は高いんだけどな。何でだろ」

「涼太さんと手繋げて、体温上がっちゃってるんですかね、俺」

「アホな事言ってないで、ちょっと休めよ」

「ははは、わかりました。じゃあ少し寝ます」


 手を握ったまま、しばらくしてタケルの呼吸が規則正しくなる。

 もう眠ったかな。

ヴーヴーヴーヴー
 スマホが震えて画面を見ると、青からの着信だった。

 オレは病室を出るため、タケルから手を離そうとしたが、ぎゅっと握られて離せない。

「恋人からですか?」

「ごめん。起こしちゃったな。ちょっと外で話してくる」

 オレの手を握るタケルの手に力が入って、離してくれない。

「このまま、ここで出てください」

「え、でも・・・」

 タケルと手繋いだまま、青と話すのは・・・

「切れちゃいますよ。出てください」

 バイブが止まず、オレは仕方なくそのまま青の電話に出る。

「はい」

『涼太、着信なに?』

「あ・・・あのさ、今日帰れない」

『なんでだよ』

「え、と。オレの不注意で後輩に、頭怪我させちゃって、今病院なんだけど、一晩付き添うことにしたから」
 
『・・・後輩って、タケルってやつ?』

「・・・うん」

 オレの手を握るタケルの手が、さっきよりも熱い気がする。

『・・・病院てどこ?』

「会社の近くの大学病院」

 青と電話しながら、タケルと手を繋いでいる事が、酷く不誠実に思えて、いたたまれなくなる。

「ごめん。オレが悪いから」

『・・・』

「明日、仕事休みになったし、朝一で帰るから。帰ったら詳しく話す」

『・・・』

 なんで何も言わねーんだよ・・・

「じゃあ、切るから」

 オレは一方的に電話を切って、溜息をつく。

「怒られちゃいましたか?」

 タケルが気まずそうに聞く。

「あ・・・ううん。怒ってはいなかったと思う」

 怒ってはいなかったけど、無言だったのが気になるな。

「恋人の事、聞いてもいいですか?」

「え?あー、うん。なに?」

 なに聞かれるんだろ・・・
 どんな人かとか、どこが好きかとかなんだろーな、きっと。

「どんな・・・セックスしてるんですか?」

「あー、せっくす・・・え。え!?」

 は?いきなりそんな話!?

  思わず握られていた手を引くが、すぐにタケルに掴まれてしまう。

「逃げないでください。手を握る以上のことは絶対にしない。約束します」

 タケルに真っ直ぐ見つめられて、抵抗するのを諦め、椅子に座り直す。

「話すのが無理なら、イエスかノーで答えてください」

「わかった」

「涼太さんは、恋人に抱かれてるんですか?」

「う・・・うん」

 何聞いてんだよタケル。そして何答えてんだオレ!

「恋人とのキスは、セックスは、気持ちいいですか?」

「・・・それも答えなきゃだめ?」

「できれば、聞きたいです」

 こんなん聞いてどーすんだよ。

「き、もちいい、かな・・・」

 恥ずかしくなって顔が赤くなっているのが自分でもわかる。

「・・・そうですか。すみません変な事聞いて。俺、寝ます。手、ちゃんと繋いでてくださいね」

 そう言って、タケルが目を閉じる。

 なんだったんだ?

 タケルの質問の意図はわからないまま、オレはいつの間にか、タケルと手を繋いだままベッドにもたれて眠ってしまっていた。

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