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悪意 2

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『今日、会社飲み会』

 涼太からのメッセージ、こいつのメッセージ、ほんと可愛くもクソもないな。

『遅くなったらお仕置きするからな』

 ・・・
 既読スルーかよ!

 まあ、涼太らしいっちゃらしいか・・・
 こういうとこもカワイイとゆーか。

「なにひとりでニヤケてんの、だいぶキモいよ山田」

「宮野、俺に絡むなっつってんだろ。しつこい」
 
「えー、いいじゃん。友達なんだから」

 いつお前と友達になったんだよ!

「そーいえばさ、涼ちゃん最近、帰り男と一緒なの見かけるんだけど、ふたり、もしかして別れたとか?」

「んなわけねーだろ。ラブラブだっつーの」

「そーなの?でも、涼ちゃんとそのこ、すげー仲良さそうなんだけど」

 あれか、例の後輩だな・・・

「かわいがってる後輩がいるらしーから、仕事の帰りならそいつだろ」

「あ、そー。涼ちゃんはそう思ってても向こうはどーかな?」

「お前みたいなのがそう簡単に現れるかよ」

 俺も涼太の事、束縛し過ぎも良くねえしな。
 気にならないって言ったら嘘だけど・・・

「ふーん。でも俺、こーゆー勘は結構当たるんだけどな」

「おまえの勘なんか信用できねーだろ。つーか、涼太の職場の近くでバイトまでして、おまえの方が危ねえやつなんだよ!」

 後輩くんより、こいつのが一万倍やべーわ。マジ。




22時半

「小林くーん、飲んでる?飲んでんの?あさみのお酒飲めないとか、許さないんだから!」

 あさみさん、もう出来上がっちゃってるし。一時間でここまで酔えるか?ふつー。
 はあ、オレまたドス黒に絡まれんのかよ~。

「飲んでます。そしてあさみさんの酒じゃありません。居酒屋の酒です」

「もー、なによ。ちょーっと自分が幸せだからって。ラブラブだからって!いつもありがとうね!あさみの家宝にしてるからね!」

 やめろ。家宝とか。全部燃やしてくれよ・・・

「涼太さん、ラブラブなんですか?付き合ってる人いるんですか?」

「あーうん、一応」

 タケルに聞かれて、何だか照れくさくなる。
 青と付き合ってるってことでいいんだよな?

「涼太さんの彼女ならかわいいんでしょうね、きっと」

 彼女・・・。まあ普通そう考えるよな。

「彼女、どんな人なんですか?」

 え、どんなって・・・男ですって言えないよな。

「あー、かわいくはない。強引だし、嫉妬深いし」

「愛されてるんですね、涼太さん。好きじゃなかったら嫉妬なんかしないですよ」

 愛されてる?オレが、青に・・・?
 ふと、ヤってる時の青の顔を思い出し、恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。

「あ、彼女さんの事思い出してます?顔真っ赤ですよ?」

「ちがっ、これは・・・ちょっと酒飲んじゃったからっ」

「涼太さん、マジかわいい」

「おいタケル、からかうんじゃねえ!」

 もー、青のせいだ!くっそ~、先輩としての威厳が・・・




 あー、涼太が飲み会で遅くなると思って、バイトの後に本屋寄ってたらもう24時じゃん。
 
「青くん」

「・・・加藤、びっくりした。こんな夜中に何してんだよ」

 夜道でいきなり声を掛けられて、ずっと避けていた加藤と話してしまう。

「青くんの事待ってた。私、どうしても諦められなくて・・・」

 待ってたとか怖いわ!こんな夜中に。

「悪いけど、涼太以外は考えらんねーから。じゃあ・・・」

 歩き出す俺についてくる加藤。
 こええ~。ホラーだよ、コレ。

 さっさと部屋入って鍵かけよう!

 結局、加藤は部屋の前までついてくる。
 なんなのこいつ、ほんと怖い!

「あのさ、なんなの?これ以上付きまとうなら警察呼ぶよ」

「・・・ごめんなさい。もう帰るから」

「ほんとこういうの、やめてくれよ」

 下を向いてしょぼんとしている加藤を尻目に、部屋に入って鍵を閉める。

 ドアの内側から様子を伺っていると、加藤のヒールの音が遠ざかる。

 ほっ、帰ったか・・・。なにあいつ、ほんとホラー過ぎ!女こえぇぇぇぇ!




ーー青がドアを閉めたあと、さやは、あらかじめブラウスから取り外したボタンをドアの前に落として、アパートの階段まで歩いていく。

ーータケルからのメッセージを確認して、コートを脱いで手に掛けた。

「もうそろそろかなー?」
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