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嵐を呼ぶ女 2

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「このハンバーグ、絶品ね!使っているお肉がすばらしい!」

「・・・オレのなのに・・・クソみおり・・・覚えとけよ・・・」

 俺が買ってきたハンバーグを美織さんに奪われ、ソファの隅っこでクッションを抱え拗ねている涼太。
 美織さん、グッジョブ!拗ねる涼太、かわいすぎて死ねるわ、マジで!

「私、覚えとけないから、今相手してやってもいいけど?」

「・・・すいません」

「あんた達は、お母さんから預かってきたキッシュあるでしょ。それ食べなさい」

 皿に取り分けたキッシュを涼太に差し出すと、涼太は不服そうに食べ始める。

「うめーよ、キッシュ。うまいけど!オレはハンバーグが食べたかったんだよ!」

「ほんと、社会人になっても子供なんだから。仕方ないな。夕飯、ハンバーグ食べに連れてってあげる」

「マジで?」

 涼太が目をキラッキラに輝かせる。

 さすが、姉。涼太を完全にコントロールしてるな。

「てか!ねーちゃん!夕飯の時間までいる気かよ!早く帰れよ!」

 ほんとに、早く帰ってください。俺は美織さんに色々バレそうでこわいです・・・

「涼くん、なに?私にいられたら何か困ることでもあるの?ねえ、青?」

「ははは・・・」

 なぜ、俺に振る・・・絶対なんか勘づいてるよ、この人!

「ねーちゃん、オレが今日休みって知っててここ来たの?」

「知らずにお店の方に行った。そしたらお休みって聞いたからこっちに来たの」

「店に行ったのかよ!」

「なぜか大注目された」

 そうでしょーよ。スタッフの小林くんとそっくりな女性が尋ねてきたら、さぞかしびっくりするでしょーよ。

「なにやってんだよ!恥ずかしーだろ!」

「は?あんたは、若くして優秀な外科医になったこの美人な姉さんが恥ずかしいって言うの?ブッ殺すわよ」

「・・・すいません、デキの悪い弟で・・・」

 涼太の家は、代々医者の家系で父親も姉も外科医。なぜか、涼太と母親だけちょっと残念・・・
 涼太はおばちゃんに似たんだな・・・
 
「デキが悪い子の方がかわいいって言うでしょ。お父さんもお母さんも涼太の事かわいくて仕方ないんだから」

「もー!わかったよ!ちゃんと連絡入れればいいんだろ!ったく、子供じゃねーんだから、ほっとけよな」

 美織さんの飴ムチが上手すぎる・・・!

 それにしても過保護すぎるな、この家族。でも、涼太じゃわかる気がする。俺も含めて、悪い虫が付きすぎだもんな・・・

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