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友達

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 ん・・・

 あれ、オレ、寝ちゃったのか・・・
 青、毛布かけてくれたんだ。 

 青がかけてくれた毛布から出ると、オレは青の寝室のドアをノックした。 

 まだ寝てんのかな。

 昨夜の出来事をふと思い返す。あれが、セックスってやつなのか・・・オレの口にもケツにも結局入れてねえけど、青の口には、オレの入っちゃったもんな。 
 あれが、男同志のセックス・・・
 
オレしか、イってねえよな・・・?青はどうしたんだろう。そもそもオレしか気持ちよくなってねぇじゃん!

 昨日やってた事って、青にはなんのメリットもない事じゃん。オレにセックス教えるために、男の体舐めまわして、しかも、あんなとこまで咥えて・・・あいつ、めっちゃいいやつじゃん!

 あいつが体張って教えてくれたこと、絶対ムダにしねえ!ありがとな、青!

 なんか、体ベタベタすんな、風呂入ろ。

 頭からシャワーを浴びて、何気なく鏡を見た。

「なんだよこれ!!!」
 



 ・・・なんだ?なんかうるせえな・・・

 俺はまだ眠い目をなんとか開けて、寝室を出た。なにやらバスルームで涼太が騒いでいるようだ。
 
「涼太?なにひとりで騒いでんだよ」

 ドア越しに声をかける。

「あああああああ青!なんだよ、この大量の内出血は!オレの体がぁぁぁぁぁ!」 

「キスマークと言え、色気がねえ」

「んなこと言ってる場合か!こんなにつけて、ほんっとバカなんじゃねえの!?」

「また、バカ扱いか、おしおきが足りなかったか?」

「う・・・」

 ったく、青くんJrを放置して寝やがったくせに、朝から元気いっぱいだな、こいつ。

「・・・青、なんで?」

「何が?」

「なんで男のオレにセックスなんか教えてくれたの?青になんの得もねぇじゃん」

 得?得なんてありまくりだよ。おまえに対して下心しかねえんだから。

「それ・・・は、友達が悩んでるってわかったら、力になりたい、って思うのは当たり前だろ」

「そっか・・・なんかごめん、汚ねえとこまで舐めさせちゃったし・・・」 

「汚くなんかねえって!俺はむしろ、っ」

「むしろ、なんだよ?」

「っ、とにかく!涼太は汚くなんてないから安心しろって事だよ!風邪ひくから、長風呂すんなよ!」

 そう言って、脱衣所を後にしてリビングのソファに倒れ込む。
 ソファから微かに涼太のシャンプーの香りがして、昨日の乱れた涼太の姿が俺の頭の中を支配する。
  
 何が、友達、だよ。
 嘘くせぇ言葉だな、その一言を言えば、涼太が全てを受け入れてくれるとでも思ってんのか、俺は。

 俺にあんな事されてもまだ、俺の事「友達」だって思えんのかよ、あいつは。

 ほんと、どうしようもねえな。

 

「青」
 
 シャワーを終えた涼太がソファに横たわる俺を見下ろす。

「なんだよ」

「あのさ、おまえ昨日、その・・・」

「昨日、なんだよ」

「勃ってたよな?」

「・・・それがなんだよ」

「オレだけイッちゃったから」

 そう言うと、涼太が俺の体に覆いかぶさるように自分の体を重ねてくる。
 涼太の突然の行動に、俺の心臓の音が激しく乱れる。

「ちょ、涼太くん?どうしちゃったの?」

「・・・今度はオレがやる」

 涼太の唇が、俺の唇の右半分に重なる。

 な、な、な、なんだ、急に!
 ほんと、こいつ、何考えてんだ?マジで読めねえ~・・・

 「オレ、キスしたの、おまえが初めてだし、下手クソだよな?ごめん」

 涼太が顔を真っ赤にして、フイっと俺から視線を外す。
その仕草に、全身の血が一瞬で沸き上がる。

「そんな下手なキス、教えてねぇ」

 涼太の頭を片手で引き寄せて噛み付くようなキスをするが、涼太の制止が入る。

「っ、ちょっと待て!今日は、オレがするから!」

 え?涼太が?俺に?ヤバイ、興奮する・・・

「じゃあ、本番だと思ってやってみろよ」

 涼太は俺の顔をガシッと両手で掴み、グッと唇を押し付けてくる。
 マジでヘッタクソだな・・・

 舌を入れることはせず、涼太の唇は俺の首筋に降りてきて、小さな唇が喉仏のあたりを這う。
 う、これはちょっとクるな・・・

 間隔をあけずに涼太は俺のスウェットを捲りあげ、乳首を舐め始める。
 おい、下手すぎんだろ・・・
 こんなんじゃ、女なんか抱けねえよ、涼太。
 しかし、その拙い舌使いが逆に俺を興奮させた。

 脇腹まで降りた涼太の唇が、俺の肌に吸い付いたのがわかった。

「あれ?なんで跡、つかねえの?」
 
 涼太くん、攻めの才能無さすぎです・・・

「もういいから、早く舐めろよ」

俺は涼太の頭を捕まえて、その整った顔を自分の股間に押し付けた。

 涼太が少し震えた手で俺のパンツを下ろし、ゴク、と喉を鳴らす。
 戸惑いながら、かたく膨張した俺の一部を握ると、小さな口をめいっぱい開け頬張ろうとするが、半分を口に含んだところで少しえづいて涙を瞳に溜める。

「やっぱいい。ムリすんな、そもそも女はそんなもんついてねえし、それは覚えなくても問題ねえから」

 俺は、涼太に対して罪悪感でいっぱいになり、この状況から解放してやりたくなった。

「いやだ、最後まで、やる」

 頼むからこれ以上、俺を煽らないでくれ。
 頼むから、これ以上俺の罪を深くしないでくれ・・・
 友達、という逃げ道をまだ失いたくない。

 咥えることが厳しいと思ったのか、反り立つそれの根元から上に向かって何度も涼太が舌を滑らせる。

 涼太が俺のものに必死ですがりついている・・・
 それだけで、俺は堪らず、ありえないスピードで果ててしまった。

「おい」

「・・・ん?」

 絶頂に達した余韻を遮るような、涼太のドスのきいた低い声に閉じていた瞼をうっすら持ち上げる。

「てめえコラ、何してくれてんだよ、クソが」

「あ・・・」

 無表情の中に怒りを宿した鋭い目で俺を見る涼太の顔は・・・俺から吐き出された液体にまみれて、髪までベタベタになっていた・・・

 やべぇ、詰んだ。

「・・・ごめん、テヘッ♡」

「・・・コロス」

 この後、ポーカーフェイスでブチ切れた涼太に半殺しにされたのは・・・言うまでもない。
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