マネジメント!

Hiiho

文字の大きさ
上 下
118 / 131

너를 관리! 3

しおりを挟む


「・・・り、万里っ!起きてってば!」

  ん・・・?

  シウに肩を激しく揺さぶられ、俺は目を覚ます。

「・・・シウ、どうした」

「なんか知らない人達が勝手に入って来てるんだよ!ねえ、泥棒じゃ無いよね!?」

  シウはカーテンの切れ目に顔を突っ込んで、二階にある寝室の窓から外を見る。

  隠れて見てるつもりか?向こうからはシウの顔が丸見えだぞ。

  と冷静に心の中でツッコミを入れてから、俺はカーテンを開ける。


  知らない人達?勝手に入って来てるって・・・

  窓から見下ろすと、沢山の花や食材を別荘の中に運び入れている配達員らしき人物が数名。泥棒ではなさそうだ。

「何やってんだ?つーか俺、昨夜鍵掛け忘れたっけ?」

「もお!ちゃんと確認してから寝ろよな、マンションと違ってオートロックじゃないんだぞ」

  はっ、これってまさか親父の仕業か?シウの誕生日祝いを盛大にしようって魂胆か。

「シウ、おまえ親父となんか話したか?」

  昨日聞けずじまいだった事をシウに聞いてみる。

「えっ?特に何も・・・。あっ、そう言えば、秘書さんから遊園地のチケット貰って・・・だから俺ここに来たいって昨日 万里に言ったんだ」

「・・・なるほど」

  シウが単純だという事と、俺がシウの我儘を聞くって事を、親父は分かってたってワケか。

  まあ、今回は親父もシウにサプライズしてやりたかっただけだろうし、悪い事じゃないから素直に騙されてやってもいいか。

「警戒しなくても良さそうだぞ。きっと親父からの誕生日プレゼントだ」

「えっ!? そうなの? やったぁ!」

  シウは不安そうな顔を一瞬で笑顔に変えて両手を高く上げる。

「じゃあ、シャワーして遊園地行く準備しなきゃだね!」

「ああ。先にシャワーしてろ。その間にコンビニ行って下着買ってくるから。服は 車に昨日のコレクションが数着あるしそれでいいだろ」



  階段を降りて一階へ行くと、リビングの飾り付けをしている業者に指示を出していた親父の秘書が俺たちに気付く。

「おはようございます。昨日はお疲れ様でした。お早いお着きだったんですね」

「はい。お陰様で・・・。誕生日の祝いにしては大掛かりですね」

  玄関からリビングまで、色とりどりの花やバルーンで飾り付けられ、庭では屋外用キッチンが準備されシェフまでいる。

「ええ。ゲストも招いていますし、河森家として恥ずかしくないようにと社長から言付かっていますので」

  河森家って・・・シウに金持ち自慢でもするつもりなのか親父は。つくづく何考えてるかわかんねえオッサンだな。

「着替えも準備してありますので、心配いりませんよ」

  にっこり笑って、バスルームの方に手を差し出す秘書。

  完璧過ぎかよ。こうじゃなきゃ親父の秘書なんか務まらないんだろうけど。


「一緒にシャワーして来いって意味かな?」

  シウがシアン色の瞳をキラキラと輝かせる。

「んなワケあるか!こんなに外に人がいんのに風呂場でイチャつく勇気さすがにねーわ!」

「だよねぇ。じゃあ俺 先入ってくるね」

  シウは残念そうに、トボトボとバスルームへ入っていく。



  下着を買いに行く手間が省けたのはいいが、こうも人が出入りしてるんじゃ落ち着かない。
  
  手持ち無沙汰な俺は庭へ出て外の空気を吸う事にした。


「坊、おめでとうなぁ」

「え・・・店長?なんで」

  声を掛けられて振り返ると、親父行きつけの焼肉屋の店長が庭にいたシェフだと気付く。

「なんでって、そりゃ・・・」

「ちょっとぉ!! あなたが『万里』!?」

  店長が言いかけた言葉を、甲高い女性の声で遮られてしまう。

  再び振り返ると、チマチョゴリを着た中年女性が物凄い形相で近付いて来る。

「えっ、俺?」

「そう!あなたが『万里』ね!?」

「そうですけど・・・。すみません、どなたか存じ上げませんが・・・」

「シウの母です!」

「ええっ!?」

  シウの母親だって!?

  そう言われれば何処と無く面影が重なるような重ならないような・・・。うーん、綺麗な夫人ではあるけどあまりシウに似てないな。

「失礼しました。日本でシウさんのマネージャーをさせて頂いております河森です」

  まさか恋人だなんて言えるはずがない。

「マネージャー、ですって?うちの大事なひとり息子をたぶらかしておいて、それ以上の挨拶はないの!? こんな失礼な・・・しかも、男なんかに、シウは・・・っ」

  シウの母親は少しぎこちない日本語で責め立ててくる。

  誑かす・・・男なんかに・・・。それは、俺達の関係を知っているということだ。


「すみません。シウからお聞きになっているとは知らずに、浅はかにも、隠し通すつもりでいました。申し訳ないです。
  こうなったのは全て俺の責任です。シウの事は真剣に愛しています。許して頂けるとは思っていませんが、どうか、いい加減な気持ちではないという事だけはわかってください」

  突然 現れたシウの母親に動揺しつつも、自分が今思う気持ちを正直に話すしかなく、他に為す術がない。

「わかって・・・っ、あげられたら、どんなに・・・」

  庭の芝生の上に座り込んで泣き出してしまうシウの母親。


  いつか、シウの家族にこんな風に辛い思いをさせてしまう日が来るのを俺は何度も想像して来た。どうしたら許してもらえるのかを頭の中で何度もシュミレーションして・・・。

  けれどいざその時が来て、何も出来ない自分を思い知って、涙が出そうなほど悔しくて情けない。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

処理中です...