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two aspects 2
しおりを挟む夕飯後はそれぞれに風呂に入り、同じベッドで横になる。
暑苦しいくらいにシウが抱きついて来て、俺は「暑い、寝苦しい」と言いながらも、枕代わりにされた腕でシウの肩を抱いて眠りに就く。それが日課。
・・・のはずなんだけど。
何故か今日は、隣にはシウの背中がある。そして、いつもは無い隙間が俺達の間にある。
え・・・・・・。俺、何かした? 夕飯の時に額じゃなく唇にキスしたから怒ってんのか?
でも最初に「く」って言ったのは、本当は「くち」もしくは「くちびる」にキスしてほしいってことだったんだろ?
照れを隠してたように見えたのは、俺の勘違いか?
一緒に風呂入りたそうにも見えなかったし・・・。
暫く考えてみても、シウがそっぽを向いている理由がわからない。
めんどくせぇな。
相手がシウじゃなければそう思っているところだ。こいつに対しては、めんどくさい、なんて思えないから困る。
「シウ。もう寝た?」
「・・・」
返事は無い。けれど上下しない肩に、シウが眠っているのではなく息を殺しているだけだとわかってしまう俺。
「なあ、よくわかんねんだけど、俺なんかしたっけ?」
背を向けたままのシウの肩を軽く揺するが、反応を返してくれない。
「なんでシカトしてんだよ」
背中から抱きしめ、いつもシウが俺にそうするように布団の中で足を絡める。
それでも、全身を強ばらせ息を押し殺したままのシウ。
後ろから横顔を覗き見るが、部屋が薄暗くてシウの表情がよく見えない。
手を伸ばし、シウの向こうにあるベッドサイドランプにかざすと、昼白色のライトに照らされたシウの顔が、薄ら赤味を帯びていた。
シウは布団を引き上げ、バッ と頭から被る。
「もお!このランプ明るすぎ!」
「暖色が嫌だって言ったのは おまえだろ」
「台本読むとき明るい方がいいじゃん!でも今はダメなの!」
ワガママかよ。
「消してよ万里」
布団の中に籠るシウが可愛い俺は、また少し意地悪をしてやりたくなる。
「わかった、消す。・・・・・・・・・わけねぇだろっ」
俺はランプを消すフリをしておいて、シウから布団を一気に剥ぎ取った。
「あっ!!」
驚いたシウは慌てて体を小さく丸める。
「なにすんだよ、布団返せ!」
シウは体を縮めながら俺を睨んでくる。
強気な口調とは不釣り合いな、潤んだ瞳と薄ら紅い頬。
「返して欲しかったら、いつもと違う態度の理由を言えよ」
「それは・・・・・・なんでもない。普通っ、いつもと一緒だよ!」
意地でも言わねぇつもりかよ。・・・腹立ってきた。
頑なな態度のシウの両手首を掴み、頭の横でベッドに縫い付ける。
「や・・・っ、万里やだっ」
覆いかぶさり強引に仰向けにすると、シウが抵抗している理由がすぐに理解できた。
パジャマの色が変わるくらいに濡れたシウの股間。
「おま・・・何? コレ」
「知らないっ、勝手に・・・こうなっちゃうんだもん!万里が不意打ちでキスなんかして来るから・・・っ」
不意打ちでキスって・・・。2時間も前の事だろ。
「あんな風にキスしてくれて、もしかしたら今日は万里から襲ってくれるかもって考えて、お風呂で準備してたらすごくドキドキしてきて・・・」
話しながら みるみる真っ赤になっていくシウの肌。
「万里がお風呂あがるまで我慢してたのに、ベッドに入ってきた途端勃っちゃって、こんなの見られたらまた からかわれるから嫌だったのに、後ろからハグされたらこんなに濡れちゃったんだもん!」
嘘だろ。ハグしただけでこんなに先走るヤツ見たことねーぞ。
どんだけ俺から襲われるの期待してたんだよ。
「どんな風に襲われたいんだよ。言ったらその通りにしてやるから。想像してたんだろ?」
耳元で囁くと、かかる俺の息の擽ったさにシウは首を竦め、二人の体に挟まれたシウの屹立した中心が ピク と小さく動く。
シウの反応全てに煽られ、いつの間にか下着の中で張り詰める自分の欲望。
シウも俺も、パブロフの犬だ。
「万里の、好きなようにしてほしい」
シウの言葉に、内蔵がふつふつと沸いてくるような感覚に陥る。
好きなように・・・
余すことなく吸い付いて自分の印をつけて、ヒクつく窄まりを舐め回したい。
嫌がるシウを後ろ手に縛り上げ、首輪で繋いで自由を奪ってしまいたい。
挿入したままで、白い双丘が真っ赤になるまで掌を叩きつけてやりたい。
浮かんでくるのはどれも、自分を見せる仕事をしているシウに対してできるような事じゃない。
美しいものを汚したいという自分の欲の異常さに嫌気がさす。
「俺・・・万里が優しくしてくれるの、嬉しいのに・・・。なんでかな、意地悪されると・・・時々すごく、いやらしい気持ちになる」
恥ずかしさを堪えるような、切ないようなシウの表情。
「仕事中に節制してるせいなのかな・・・。家に帰って、素の自分に戻ると・・・万里にめちゃくちゃにされてみたい、って思っちゃうんだ。・・・変だよね、ごめんなさい」
顔を紅潮させながら申し訳なさそうにする。
コイツは超能力者か何かなのだろうか。俺の心を読んでる?
あまりにも出来すぎた答え。
もしシウが無意識に言っているんだとしたら、ありもしない『運命』すら俺は信じてしまいそうになる。
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