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パートナー 1
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早朝、珍しく掛かってきた妻 櫻子からの電話。
俺にしがみついて眠っているシウを起こさないように、そっと絡んでいる手足を除けてソファから立ち上がり、リビングを出る。
シウが潮吹きでベタベタに汚して寝室のマットレスを駄目にしてしまったため、ここ数日はソファに男ふたりでぎゅうぎゅうにくっついて寝ている状態だった。
リビングのドアをそっと閉め、スマホを耳に当てる。
「はい」
『おはようございます。明日、会場には直接行けばいいですか?それとも、万里さんと一緒に?』
「明日?」
会場?何のことだ?
『ええ。FORESTの創立30周年記念パーティですよね?お義父さまにはそう聞いてますけど・・・』
パーティ・・・そういえば少し前に親父がなんか言ってたな。すっかり忘れてた。
「あー、悪い。スケジュール見てまた後で連絡する」
櫻子との電話を切ってすぐにスケジュールを確認する。
パーティは確か18時からだったか・・・。
1ヶ月後のシウのライブのリハーサルが20時まで入ってるな。
仕方ない。手が空いてる他のマネージャーに、シウの送迎を頼んでおくか。
「ばんり・・・?」
物音に気付いてシウが目を覚まし、まだ開き切っていない目をキョロキョロと動かし隣にいたはずの俺を探している。
くっっっっっっそかわいい!
朝から盛ってしまいそうになるのを堪え、まだソファに横たわるシウの傍へ行き、床に腰を下ろす。
「ごめんな。起こしたか?」
「んー・・・起きない・・・寝る・・・」
俺が居たことに安心したのか、再びすうすうと寝息を立てるシウ。
注文した防水のマットレスが届くのは明後日。
大きめのソファでも、男ふたりでは やはり狭い。
ソファじゃ十分に休めないだろうに、「ベッドより密着できる」と嬉しそうに言っていたこいつが健気過ぎて・・・
無防備な寝顔にムラムラと湧いてくる邪心。
ダメだダメだ。自分が潮を吹いたとも知らず、放尿したと思い込んでいる「漏らしすぎ事件」でセックスが怖いと言い出したシウを無理矢理抱くなんてできないだろ。
シウに負担をかけたくなくて週一と決めていたものの、本当は毎日でも抱きたくて仕方ない。
こいつが見られる仕事をしている以上、痕を残すこともできないし。
この前のグラビア撮影の時の俺はどうかしてた。佐伯に触られたと思えばみっともなく嫉妬して、俺のものだと独占欲を剥き出しにして・・・馬鹿としか言いようがない。
『商品』だとあれだけ言っておきながら。マネージャーがタレントの首を締めてどうする!
あんな事、もう二度と無いように心掛けねーと!
俺は相当浮かれているのかもしれない。いや、かなり調子に乗っている自覚はある。
シウに愛されている、と痛いほどわかるから。
触り心地の良い滑らかな白い頬を指の背で撫でると、それを追って擦り寄ってくる柔らかい唇の感触と その隙間から漏れる息が指の節を擽る。
可愛い、可愛い。憎らしいほど愛しくて堪らない。気が狂いそうなほどシウが好きだ。
ああ~、俺は なんて幸せ者なんだぁぁ!!
パーティ当日の朝
「今日はリハの後、倉持が迎えに来るから。スーツも倉持が持ってくる。着替えてそのままホテルに来い」
「え?くらもち?誰?」
「あー、最近入社したヤツだ。メガネかけてる」
「くらもちの情報それだけ?てゆーかなんで万里じゃないんだよ」
ブーっと頬を膨らませてシウが拗ねる。
「創立パーティなんて名目だけで、役員達が自分の顔を売るために開くだけだ。牽制のつもりで俺は親父に呼ばれてる。おまえは仕事が終わってから顔を出す程度でいい」
「そうなんだ。万里は今日は息子としてのお仕事か。・・・わかった」
いやに聞き分けのいいシウ。
「もっと駄々捏ねるかと思ったけど?」
「なんで?万里のパパだったら、将来俺のパパになるかもしれないだろ?だから俺も社長のこと大事にするよ」
「マジか・・・」
シウがそこまで考えてるなんて思ってもみなかった。
しかも、自分を利用した相手をそんな風に思えるなんて、どんだけお人好しなんだコイツ。
「万里が思ってるよりずっと、俺は万里が大好きなんだからな!社長とした約束だって、めちゃくちゃ本気なんだからな!」
玄関を出る直前に、シウはぎゅっと俺の手を握ってくる。
「だから、だから・・・」
何かを言いたそうに俯く。
「なんだよ」
「もお!わかれよ鈍感!・・・き、す・・・ばんりから・・・」
顔を真っ赤にして、後半ほぼ聞き取れないくらいくらいの小声。
セックスしたいだの好きだの躊躇いなく言うくせに。キスで急に恥ずかしがったりして意味わかんねぇ。
だけど、そんな所もシウの魅力だ、と思うのはきっとどうしようもなく惚れているせいだ。
腰を屈めて、俯いたままのシウを見上げるように下から口付けると、ぴく、と反応する唇。
「こんなキスくらいで感じてんの?」
「っ、・・・だって、いつも俺からばっかじゃん。万里からしてくれたんだから、嬉しいに決まってる」
「催促したのはお前だけどな」
「それでも、嬉しいから」
眉尻を下げて、シアンの瞳を揺らす様は誘っているようにしか見えない。無自覚エロはやっぱり健在だ。
「もう行くぞ」
じゃないと、玄関だということも忘れて押し倒してしまいそうだ。
俺はシウの手を握り返し、ドアを開ける。
「繋いでてもいいの?」
「駐車場までな」
「うん!」
シウは子供のように純粋に笑う。
これが本当に成人した男なのかと疑ってしまうくらいに、憎たらしいほど可愛すぎる。と思う俺はもう、ある種の病気なんじゃないだろうか。
俺にしがみついて眠っているシウを起こさないように、そっと絡んでいる手足を除けてソファから立ち上がり、リビングを出る。
シウが潮吹きでベタベタに汚して寝室のマットレスを駄目にしてしまったため、ここ数日はソファに男ふたりでぎゅうぎゅうにくっついて寝ている状態だった。
リビングのドアをそっと閉め、スマホを耳に当てる。
「はい」
『おはようございます。明日、会場には直接行けばいいですか?それとも、万里さんと一緒に?』
「明日?」
会場?何のことだ?
『ええ。FORESTの創立30周年記念パーティですよね?お義父さまにはそう聞いてますけど・・・』
パーティ・・・そういえば少し前に親父がなんか言ってたな。すっかり忘れてた。
「あー、悪い。スケジュール見てまた後で連絡する」
櫻子との電話を切ってすぐにスケジュールを確認する。
パーティは確か18時からだったか・・・。
1ヶ月後のシウのライブのリハーサルが20時まで入ってるな。
仕方ない。手が空いてる他のマネージャーに、シウの送迎を頼んでおくか。
「ばんり・・・?」
物音に気付いてシウが目を覚まし、まだ開き切っていない目をキョロキョロと動かし隣にいたはずの俺を探している。
くっっっっっっそかわいい!
朝から盛ってしまいそうになるのを堪え、まだソファに横たわるシウの傍へ行き、床に腰を下ろす。
「ごめんな。起こしたか?」
「んー・・・起きない・・・寝る・・・」
俺が居たことに安心したのか、再びすうすうと寝息を立てるシウ。
注文した防水のマットレスが届くのは明後日。
大きめのソファでも、男ふたりでは やはり狭い。
ソファじゃ十分に休めないだろうに、「ベッドより密着できる」と嬉しそうに言っていたこいつが健気過ぎて・・・
無防備な寝顔にムラムラと湧いてくる邪心。
ダメだダメだ。自分が潮を吹いたとも知らず、放尿したと思い込んでいる「漏らしすぎ事件」でセックスが怖いと言い出したシウを無理矢理抱くなんてできないだろ。
シウに負担をかけたくなくて週一と決めていたものの、本当は毎日でも抱きたくて仕方ない。
こいつが見られる仕事をしている以上、痕を残すこともできないし。
この前のグラビア撮影の時の俺はどうかしてた。佐伯に触られたと思えばみっともなく嫉妬して、俺のものだと独占欲を剥き出しにして・・・馬鹿としか言いようがない。
『商品』だとあれだけ言っておきながら。マネージャーがタレントの首を締めてどうする!
あんな事、もう二度と無いように心掛けねーと!
俺は相当浮かれているのかもしれない。いや、かなり調子に乗っている自覚はある。
シウに愛されている、と痛いほどわかるから。
触り心地の良い滑らかな白い頬を指の背で撫でると、それを追って擦り寄ってくる柔らかい唇の感触と その隙間から漏れる息が指の節を擽る。
可愛い、可愛い。憎らしいほど愛しくて堪らない。気が狂いそうなほどシウが好きだ。
ああ~、俺は なんて幸せ者なんだぁぁ!!
パーティ当日の朝
「今日はリハの後、倉持が迎えに来るから。スーツも倉持が持ってくる。着替えてそのままホテルに来い」
「え?くらもち?誰?」
「あー、最近入社したヤツだ。メガネかけてる」
「くらもちの情報それだけ?てゆーかなんで万里じゃないんだよ」
ブーっと頬を膨らませてシウが拗ねる。
「創立パーティなんて名目だけで、役員達が自分の顔を売るために開くだけだ。牽制のつもりで俺は親父に呼ばれてる。おまえは仕事が終わってから顔を出す程度でいい」
「そうなんだ。万里は今日は息子としてのお仕事か。・・・わかった」
いやに聞き分けのいいシウ。
「もっと駄々捏ねるかと思ったけど?」
「なんで?万里のパパだったら、将来俺のパパになるかもしれないだろ?だから俺も社長のこと大事にするよ」
「マジか・・・」
シウがそこまで考えてるなんて思ってもみなかった。
しかも、自分を利用した相手をそんな風に思えるなんて、どんだけお人好しなんだコイツ。
「万里が思ってるよりずっと、俺は万里が大好きなんだからな!社長とした約束だって、めちゃくちゃ本気なんだからな!」
玄関を出る直前に、シウはぎゅっと俺の手を握ってくる。
「だから、だから・・・」
何かを言いたそうに俯く。
「なんだよ」
「もお!わかれよ鈍感!・・・き、す・・・ばんりから・・・」
顔を真っ赤にして、後半ほぼ聞き取れないくらいくらいの小声。
セックスしたいだの好きだの躊躇いなく言うくせに。キスで急に恥ずかしがったりして意味わかんねぇ。
だけど、そんな所もシウの魅力だ、と思うのはきっとどうしようもなく惚れているせいだ。
腰を屈めて、俯いたままのシウを見上げるように下から口付けると、ぴく、と反応する唇。
「こんなキスくらいで感じてんの?」
「っ、・・・だって、いつも俺からばっかじゃん。万里からしてくれたんだから、嬉しいに決まってる」
「催促したのはお前だけどな」
「それでも、嬉しいから」
眉尻を下げて、シアンの瞳を揺らす様は誘っているようにしか見えない。無自覚エロはやっぱり健在だ。
「もう行くぞ」
じゃないと、玄関だということも忘れて押し倒してしまいそうだ。
俺はシウの手を握り返し、ドアを開ける。
「繋いでてもいいの?」
「駐車場までな」
「うん!」
シウは子供のように純粋に笑う。
これが本当に成人した男なのかと疑ってしまうくらいに、憎たらしいほど可愛すぎる。と思う俺はもう、ある種の病気なんじゃないだろうか。
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