マネジメント!

Hiiho

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バディ 1

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  シウは事務所が用意したマンションに住む事になった。
  芸能界への復帰を1年後に決め、ダンスレッスンやボイストレーニング、体作り、役者としてもデビューさせる為に日本語の勉強、滑舌、演技、殺陣等のトレーニングもスケジュールに組み込んだ。

  前の事務所では世界各地でアーティストとして活動していたシウも、ウチでは国内のみの活動となる。おそらく物足りなさを感じるだろう。


  レッスンを始めて1ヶ月。今のところは文句も言わず 何でもソツなくこなして、若くても流石は一流だと感心するばかりだった。

  しかし・・・

「何だこの惨状は・・・!」

  彼のマンションの部屋に一歩踏み入れて、俺は驚愕する。

「これがふつう。男なんてこんなもんでしょ」

  玄関は靴だらけで足の踏み場もない。シューズクローゼットは開きっぱなしで、中はカラ。

「なんで片付けられないんだよ。脱いだらスプレーしてすぐここに入れればいいだろ」

「めんどうい」

「それを言うなら『面倒臭い』だろ」

「それな」

  涼しい顔をして、脱いだジャケットと靴下を廊下に放置してリビングに入っていくシウ。
  廊下には今さっき脱いだもの以外の衣服やタオルも散乱している。

  そう、彼には、生活能力というものが殆ど無い。


  俺は玄関に散らばっている彼の靴全てに消臭スプレーを吹き掛け、シューズクローゼットにしまう。
  廊下に放置された衣類を拾って洗濯表示タグを確認して分類し、洗濯機へ放り込む。

  シウがいるリビングへ入ると、デリバリーした食べ物のパッケージや使い捨ての器、空のペットボトル、読み捨ててある雑誌、またも脱ぎ散らかしてある衣類・・・。

  1ヶ月ぶりのオフ日に、ちょこっと様子を見に来ただけだったのに・・・最悪だ。


  ゴミをまとめ、全ての部屋を掃除し終えて腕時計を見ると、既に午後6時過ぎ。
  オフに一日中 何やってんだ俺は・・・。

「疲れた・・・」

  シウの隣に座りソファにもたれ掛かると、ずっとその場から動かなかったシウがようやく立ち上がり、寝室を覗いた後にスマホを操作し始めた。

「何してる?」

「ん?部屋キレイになったから、おんな」

「女?」

「そー。マネがいなきゃ外も出れない。だからここに呼ぶ」

  はあ!?俺が一日かけて掃除した部屋に、女を呼ぶだと!?

「事務所の方針で25歳までは恋愛禁止だ。お前まだ18だろ」

「バレなきゃいい。相手はオバサンだし。誘って来たの向こうだし」

  バレなきゃ、って・・・俺は事務所の人間だぞ。思いっきりバレてんじゃねーか。

「相手は誰だ?」

「なんていったかな?ゆうき・・・まりえ?」

  結城まりえ!?
  ウチの女優じゃねーか!30手前だから確かにシウよりはオバサンだけど、彼女は清純派でやってきたはずだろ。いくらイケメンだからって復帰前の商品に手を出そうなんて、事務所としても危険すぎる。

  シウからスマホを取り上げ、まりえの連絡先を削除する。

「なにすんだよ」

  俺は自分のスマホからまりえのマネージャーに電話をかける。

「お疲れ様。まりえ、気を付けてくださいよ。シウにお手付きするところでした。復帰前のガキに手出したなんてスッパ抜かれたら即アウトですからね」



  電話を切ると、傍で聞いていたシウが大きな溜息を吐いた。

「俺はガキじゃない」

「何だ?そんなに溜まってんのか?」

「当然でしょ。マンションとスタジオと事務所しか行けない。移動はマネが一緒だし。俺、18だよ?いろいろ溜まって無い方がオカシイ」

「ガキじゃないなら自分で処理できるだろ?」

「シロ(嫌だ)。worldwideな俺がなんでjack offなんか」

  所々ハングルと英語織り交ぜてワールドワイドになるんじゃねぇ!
  ムカつくわ!

「じゃあ脱げよ」

「ムゥオ(何)?」

「ジャックオフできないなら俺がしてやる」

「冗談でしょ」

  俺は、自慰ができないと言うシウのベルトを外してボトムを下げる。

「やめろよ!」

  シウは俺が下げたボトムを慌てて引き上げようとする。

「世界のシウ様、まさか男に触られるのが恥ずかしいのか?意外とwimpだな」

「・・・はっ、そんなわけない」

「だよなぁ。シウくらいの美貌なら男もほっとかないだろうし、そっちの経験も当然あるよな?」

「そっち?・・・当然」

  父親が日本人でも韓国育ちのシウは理解出来ていない日本語も多々ある。
  俺が言った言葉の意味がわからなかったのか、ただ強がっているだけなのか、それとも本当に経験済みなのか・・・。

「早くしろよ、クソマネージャー」
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