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幼なじみ
2良太郎サイド
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家に自分以外の誰かがいるって安心する。
「もうこんな時間だ。」
「ダラダラしてただけなのにあっという間だな。」
翔真君が家から持ってきた漫画を一緒に読んでいたら、いつの間にかあたりは暗くなっていた。
(もう少しこのままでいたいけど……)
僕の足の間に寝転びながら、寛いで漫画を読む翔真君。
これだけなのにすごく幸せだ。
「ご飯どうする?」
「食べてく。良太郎が迷惑じゃなかったら。」
即答する翔真君に嬉しくなるけど、少し心配になる。
昼間、弁当をバカにされたのもあるけど、ちゃんと美味しいものを作ってあげられるかな。
「時間かかるかもだから、先にお風呂入ってきたら?」
「後で良太郎とはいるからいい。」
「え、もうさすがに2人は狭いって。」
「大丈夫、大丈夫。」
僕の理性も危ないしと思うけど、頑固な翔真君にこれ以上言ってもムダかとご飯を作り始める。
「イッ、つ~」
不味いって言われたらどうしようと思いながら包丁を握っていたからか、指を切ってしまった。
「良太郎?大丈夫?」
翔真君が慌てて来たと思ったら、切れた指を躊躇なくパクリと食べた。
そして、口の中でべろりと舐めてきた。
「っっっ!!汚いからっ!」
慌てて指を引き抜いたけど、衛生的に大丈夫なの?と心配になる。
結果的にティッシュで抑えたものの、口の中のあたたかく柔らかい触感がいつまでもあるようだった。
「あー美味しかった。」
「良かった。そう言って貰えて嬉しい。」
出したご飯はシンプルに肉を焼いたものと、味噌汁とご飯、漬物くらいで、翔真君の普段のご飯よりだいぶ質素だと思う。
食べはじめる時はどんな反応されるか不安だったけど、美味しい美味しい言いながら完食してくれて嬉しかった。
(誰かに美味しいって食べてもらえるのっていいなぁ。)
じんわり心があたたかくなるみたいだ。
俺は全く料理できないからすごいとストレートに褒めてくれるから、つい、恥ずかしくなってしまう。
「片付けるね。翔真君はソファで楽にしてて。」
食べたものを片付けようと席を立つと、翔真君も席を立った。
「美味しいのいただいたんだから片付けくらい俺がやる。良太郎こそ座ってなよ。」
つくづくできた人間だと思ってしまう。
こんな人が僕なんかといる時点でおかしいよな。
……でもまぁ主従関係とかならありかもなぁ。
座ってなと言われても、座っていられないと思い、僕はお風呂の準備をすることにした。
いつもはシャワーで済ますけど、翔真君は湯船に浸かりたいかもと、バスタブを洗いお湯をためる。
(一緒にって……絶対狭いよな。)
たまっていくお湯を見ながら思った。
お風呂にお湯がたまるまで、学校で話題に上がるテレビを2人でみた。
これ面白くて好きなんだと話すと、俺もと笑いながら言う翔真君。
普段自分の気持ちを話すことなんてないけど、翔真君とだと自然と自分の気持ちを話したくなる。
(自分を知って欲しいのかな……)
『お風呂の準備が出来ました。』
「あ、翔真君がお先にどうぞ。」
さすがに一緒には入れないと思い、サラッと一人で入ることをすすめたけど、早く良太郎も準備してと風呂場へ連れていかれた。
たまにこう……強引なところがあるんだよなぁ。
服を脱いだ翔真君はさすがの体型で、帰宅部の僕と比べるのも申し訳ないほどいい身体をしていた。
(これはまた……劣等感しかうまれない……)
お互い身体などを洗っている時は良かったけど、いざ2人でお互い向き合ってバスタブに浸かると、やっぱり狭い。
足をどこに置いたらいいんだと2人で笑いながら試行錯誤していた。
「これがいいよ。」
翔真君が提案してきた体制になったものの。
これはすこぶる恥ずかしい。
同じ方向を見ているのだけれども、すぐ後ろから抱きしめられる形になっている。
(こここ、これは……ダメでしょう。)
なるべく肌に触れないようにと前のめりになっているのに、肩まで浸かりなよと翔真君の方へ引き寄せられる。
肌と肌が触れ合ってなんともドキドキしてしまう。
この鼓動のはやさが翔真君にもバレてしまいそうで怖い。
「はぁ。気持ちいい。」
スリスリと首に擦り寄る翔真君に、反応しない訳がなく……
(だめだ……たっちゃうっ!)
「ごめん!のぼせた!あがる!」
ざばぁっと勢いよくバスタブからでる。
こんな恋人みたいなことをして翔真君はなんとも思わないのだろうか?
(僕は……友達で反応するなんて最低だ……)
自分ばかりしっかりと反応しちゃている。
それがまた虚しさを煽る。
「泊まりたい。」
お風呂からあがってきた翔真君は、髪をタオルでガシガシ乾かしながら言った。
「え?おばさん大丈夫?」
「最初から泊まるって言ってるから。」
「え、あ、そうなの。でも布団……」
しまいっぱなしで、カビ臭いかもしれない。
僕はソファかなぁなんて呟いていると、一緒の布団でいいと言われた。
自分の使い古された布団……
それはそれでイヤだと思うのだけど。
「もうこんな時間だ。」
「ダラダラしてただけなのにあっという間だな。」
翔真君が家から持ってきた漫画を一緒に読んでいたら、いつの間にかあたりは暗くなっていた。
(もう少しこのままでいたいけど……)
僕の足の間に寝転びながら、寛いで漫画を読む翔真君。
これだけなのにすごく幸せだ。
「ご飯どうする?」
「食べてく。良太郎が迷惑じゃなかったら。」
即答する翔真君に嬉しくなるけど、少し心配になる。
昼間、弁当をバカにされたのもあるけど、ちゃんと美味しいものを作ってあげられるかな。
「時間かかるかもだから、先にお風呂入ってきたら?」
「後で良太郎とはいるからいい。」
「え、もうさすがに2人は狭いって。」
「大丈夫、大丈夫。」
僕の理性も危ないしと思うけど、頑固な翔真君にこれ以上言ってもムダかとご飯を作り始める。
「イッ、つ~」
不味いって言われたらどうしようと思いながら包丁を握っていたからか、指を切ってしまった。
「良太郎?大丈夫?」
翔真君が慌てて来たと思ったら、切れた指を躊躇なくパクリと食べた。
そして、口の中でべろりと舐めてきた。
「っっっ!!汚いからっ!」
慌てて指を引き抜いたけど、衛生的に大丈夫なの?と心配になる。
結果的にティッシュで抑えたものの、口の中のあたたかく柔らかい触感がいつまでもあるようだった。
「あー美味しかった。」
「良かった。そう言って貰えて嬉しい。」
出したご飯はシンプルに肉を焼いたものと、味噌汁とご飯、漬物くらいで、翔真君の普段のご飯よりだいぶ質素だと思う。
食べはじめる時はどんな反応されるか不安だったけど、美味しい美味しい言いながら完食してくれて嬉しかった。
(誰かに美味しいって食べてもらえるのっていいなぁ。)
じんわり心があたたかくなるみたいだ。
俺は全く料理できないからすごいとストレートに褒めてくれるから、つい、恥ずかしくなってしまう。
「片付けるね。翔真君はソファで楽にしてて。」
食べたものを片付けようと席を立つと、翔真君も席を立った。
「美味しいのいただいたんだから片付けくらい俺がやる。良太郎こそ座ってなよ。」
つくづくできた人間だと思ってしまう。
こんな人が僕なんかといる時点でおかしいよな。
……でもまぁ主従関係とかならありかもなぁ。
座ってなと言われても、座っていられないと思い、僕はお風呂の準備をすることにした。
いつもはシャワーで済ますけど、翔真君は湯船に浸かりたいかもと、バスタブを洗いお湯をためる。
(一緒にって……絶対狭いよな。)
たまっていくお湯を見ながら思った。
お風呂にお湯がたまるまで、学校で話題に上がるテレビを2人でみた。
これ面白くて好きなんだと話すと、俺もと笑いながら言う翔真君。
普段自分の気持ちを話すことなんてないけど、翔真君とだと自然と自分の気持ちを話したくなる。
(自分を知って欲しいのかな……)
『お風呂の準備が出来ました。』
「あ、翔真君がお先にどうぞ。」
さすがに一緒には入れないと思い、サラッと一人で入ることをすすめたけど、早く良太郎も準備してと風呂場へ連れていかれた。
たまにこう……強引なところがあるんだよなぁ。
服を脱いだ翔真君はさすがの体型で、帰宅部の僕と比べるのも申し訳ないほどいい身体をしていた。
(これはまた……劣等感しかうまれない……)
お互い身体などを洗っている時は良かったけど、いざ2人でお互い向き合ってバスタブに浸かると、やっぱり狭い。
足をどこに置いたらいいんだと2人で笑いながら試行錯誤していた。
「これがいいよ。」
翔真君が提案してきた体制になったものの。
これはすこぶる恥ずかしい。
同じ方向を見ているのだけれども、すぐ後ろから抱きしめられる形になっている。
(こここ、これは……ダメでしょう。)
なるべく肌に触れないようにと前のめりになっているのに、肩まで浸かりなよと翔真君の方へ引き寄せられる。
肌と肌が触れ合ってなんともドキドキしてしまう。
この鼓動のはやさが翔真君にもバレてしまいそうで怖い。
「はぁ。気持ちいい。」
スリスリと首に擦り寄る翔真君に、反応しない訳がなく……
(だめだ……たっちゃうっ!)
「ごめん!のぼせた!あがる!」
ざばぁっと勢いよくバスタブからでる。
こんな恋人みたいなことをして翔真君はなんとも思わないのだろうか?
(僕は……友達で反応するなんて最低だ……)
自分ばかりしっかりと反応しちゃている。
それがまた虚しさを煽る。
「泊まりたい。」
お風呂からあがってきた翔真君は、髪をタオルでガシガシ乾かしながら言った。
「え?おばさん大丈夫?」
「最初から泊まるって言ってるから。」
「え、あ、そうなの。でも布団……」
しまいっぱなしで、カビ臭いかもしれない。
僕はソファかなぁなんて呟いていると、一緒の布団でいいと言われた。
自分の使い古された布団……
それはそれでイヤだと思うのだけど。
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