同級生

sora

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幼なじみ

1翔真サイド

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俺は小学生の頃、上級生に目をつけられたせいで、よく虐められていた。
公園に呼び出されては数人に囲まれ殴る蹴るの暴力を受けていた。
ただ、そのままやられるわけじゃなく、もちろんやり返す。

けど、人数が人数だけに一方的にやられる方がほとんどだった。

「翔真君!大丈夫?」

「良太郎君……」

毎回やられると分かっていても、良太郎はいつも助けてくれた。

よく2人で怪我だらけで帰って怒られてたっけな。

自分も目をつけられたくないと、同級生は俺を無視したけど、良太郎だけはそんなくだらないことしなかった。

良太郎はいつも笑顔で俺に話しかけてくれて、俺の手を引いてくれて、


俺だけの太陽だった。










(今日も良太郎は可愛いな。)

俺は、小学校の頃からずっと良太郎が好きだ。

「太郎くん、ごめん。私今日日直なんだけど、ちょっと用事があって……黒板消しといてくれる?」

良太郎は人がいい。

だからいつも良いように利用されている。
いつも裏で悪口を言ってるようなやつの言う事なんか無視してもいいようなものなのに。
文句ひとつ言わないで黒板を消す姿にさえ可愛いと思ってしまう。
 
だってほら、上の方が届かなくてプルプルと背伸びをしてる。

「上は俺がやるよ。」
あえて真後ろから黒板消しを手伝うと、上目遣いの瞳が揺れた気がした。
少し恥ずかしそうにありがとうと言う良太郎をそのまま抱きしめたいと思ったが、ここは教室。

我慢だ。

「えー翔真君、日直じゃないのに黒板消しやらなくて大丈夫だよー?」
「手、汚れちゃう~」
女子がごちゃごちゃ言ってくるけど、軽く大丈夫だからと答える。

「良太郎、今日日直じゃないじゃん。」
「頼まれたんだ、用事があるって言ってたから。」
「そんなの嘘だよ。さっきアイツ彼氏といたよ。」
「わかってるよ。」
「イヤだってちゃんと言わないと。」

嫌がらせを受けていない俺の方が怒ってる。


良太郎の母親は、俺たちが小学5、6年の時あたりに亡くなった。
それ以来父親と2人暮らしみたいだけど、寂しそうにしている事が増えた。


今まで守られてきたけど、
次第に守ってあげたいと思うようになっていた。










(あれ……良太郎いない。)
購買部からパンを買って教室に戻ると、良太郎の姿が見えなかった。
きっとまたあそこだろうと思った場所に行くと、ただひたすらパクパクとお弁当を食べている良太郎がいた。
こんな所にと思うと同時に、2人きりになれる事が嬉しい。
「いた。一緒に食べようと思ったのに居なかったから……」
隣に座り、買ってきたパンを食べる。
何を考えているのか、無言の良太郎。
「今日良太郎んち行っていい?」
「今日?うんいいよ、ウチはいつでも遊びに来て大丈夫だよ。」
本当は毎日でも行きたいけど、部活がある日は遅くなって行けない。
母親に冗談で良太郎の家に行きたいから部活を辞めると言ったら、しこたま怒られた。

(良太郎んち久しぶりだ……楽しみだな。)



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