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38魔王vs側近ウルフ
しおりを挟む「ウルフ~」
「はっ!魔王様。」
俺は魔王様の側近をさせて頂いているオオカミ族のウルフ。
いつからだったか、もう長い間仕えている。
「どのような御用ですか?」
「用がないと呼んではダメか?」
「いえ、そういう訳では……」
おいでおいでと呼ばれ、魔王様の元で跪く。
正直、気まぐれで対応に困る。
しかし、カリスマ性が高く心惹かれてしまうのも事実。
私の長い銀色の髪を口元へ運ぶ仕草さえお美しい。
「はぁ。このモフモフ最高。」
「んッ」
頭に生えている銀色の耳をこしょこしょと撫でられる。
気持ちよくて思わず目を細めてしまう。
「あ、有り難き幸せ。」
「腹だして。」
「??腹は人間と同じですが……」
「いいから出せって言ってんだろ!」
「も、申し訳ございません。」
モフモフしたいだけかと思ったけど違うのか?
ペロリと自分で服を捲り上げると、魔王様はすかさず撫でてくる。
あたたかい手だ……
しかし俺は……
腹がくすぐったくて苦手なのだが。
「ふっ、……ん、ふはっ、くっ……」
「ははぁ。我慢する顔最高。」
「うぅ……」
「腹だけでイける?」
「いや、ふぅ、ッ流石にそこまでは……」
ムリに決まっている。
「ふーん。女抱けないようにケツは開発済だから、次は腹か!それとも乳首か?」
魔王様の言う通り、恥ずかしながらケツを掘られるのが好きだ。
いや、でもそれは魔王様限定だけど。
「あ、魔王様、そんな……事しなくても、俺は、魔王様一筋ですっ、うぅっ♡」
右足に抱きつくと、そのまま少し勃起したモノを踏まれた。
それすら気持ちいいなんて、どうかしてる。
「そんなの当たり前だろ。」
怒ってらっしゃる?
「あっ、うぁ……足ッ、グリグリぃ……」
「踏まれて勃起してんのか?情けないヤツ。」
確かに情けない。
いつからこんな身体につくりかわってしまったのか。
「オオカミ族最後の生き残りなんだろ?誇りはないのか?」
一人で生きていた俺を助けてくれたのは魔王様で……
あれ?
魔王様と出会う、その前は何をしていたんだっけ?
『オオカミだからお前の名前はうるふだ!』
「それにオオカミだからってウルフって名前も安直だよなぁ。」
この名前は誰がつけた名前だ?
『うるふ、僕はうるふが大好きだよ。例えお前が魔物でも……』
なんだ?
この少年は?
『イヤだ!いやっ!ウルフ!!』
大人たちに無理やり連れていかれている少年は泣いていた。
この記憶はなんだろう。
「魔王様、俺には魔王様だけです……」
このセリフは魔王様にむけてではない。
自分に言い聞かせてるんだ。
親が死んでから俺はずっと1人だったんだ。
だけどなんだろう?
記憶の隅にいるこの少年は。
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