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28アークvsノエル
しおりを挟む「ん……」
朝だ。
アーク様と暮らし始めて毎日充実している。
好きな人と一緒に居られるということはどれだけ幸せなことか。
そう、
幸せなはずなのに。
「う……おぇっ……」
よく吐くようになってしまった。
最近どこか気持ち悪い。
何をしてもスッキリしないし、ずーっと胃がおかしい。
自分が自分じゃないみたいだ。
「ノエルおはよう。」
「アーク様、おはようございます。」
最近ずっと気持ち悪くて1日のほとんどをベッドですごしている。
アーク様には心配かけないように振る舞いたいが、そこまで気がまわらない。
如何せん気持ち悪い。
「今日も体調悪そうだな……大丈夫か?」
「はい、大丈、夫……です。」
吐きそうになるのを我慢しながら話をする。
「いや、ダメだな。横になって。ちょっとさすがに医者に見てもらおう。」
確かにこのまま死んでしまうかもしれない。
最近ご飯もろくに食べれていないし、体重も減っている。
このまま衰弱死……
そんな怖いことが頭をよぎる。
「妊娠してますね。」
「は?」
「え?」
アーク様が連れてきたお医者様に言われ唖然とした。
「悪阻です。無理せず休んでください。」
ふ、不治の病じゃなくて良かった……
じゃなくて。
「ノエルが妊娠?」
アーク様を見ると、フルフルと震えていた。
笑みを隠しきれていない。
「ここ何ヶ月かは魔物に襲われてないし、俺としかセックスしてない。つまり俺の子。」
「アーク様……」
「ノエル!ありがとう!俺の子妊娠してくれて……嬉しい。」
ぎゅぅっと強く抱きしめられる。
「僕も……嬉しいです。こんな幸せがあっていいんですかね……」
僕も強く抱きしめ返す。
「本当だな!幸せすぎる!」
「……という訳で……アーク様と結婚いたします。……魔物の子を妊娠しないようにするための行為だったので結婚までしなくていいと思ったのですが、アーク様がプロポーズしてくださいまして……」
「ノエル……おめでとうございます。」
「おめでとう。アークなら心配ないだろ。あの兄弟の中で1番まともだ。」
「ははは……」
クリス様とジェイド様が祝福してくれる。
「アークもおめでとうございます。ノエルを大切にしてくださいね。」
「もちろんです!何があってもノエルは俺が守ります!」
「アーク様……」
恥ずかしいけど、すごく嬉しい。
僕も、アーク様のために、アーク様とともに生きていくんだ……
「それにしても、魔物の子を孕むリスクが無いのは安心ですね。ジェイドは私が孕ませるとして……」
(わぁサラッと言った……)
「イザヤとルークも人の子を孕めればいいのですが……」
「俺の兄弟は紹介出来そうにないです。あ!兵士の中に誰か良い奴……」
確かに、イザヤさんもルークさんもいい人がいればと思うけど、
ルークさんは……
「クリス、ルークは……」
「…………わかりますが、そうこう言ってられないと思います。ノエルが妊娠したとなると、枠が1つ減ったようなものですから、魔物たちも今よりもっと……」
活発になる。
でも、好きじゃない人の子を孕むって……
それはそれで辛いのでは?
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