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しおりを挟む「ノエルちゃん待ってよ。」
スタスタ歩く僕の手を掴み、自分の方へ引き寄せ抱きしめるアーク様。
「なっ!」
「嫌な思いさせちゃったね、ごめん。」
頭を撫でてくれるけど、これって子供扱いされてるよね……。
「僕は……別に。女性ではないので貴方を満足させることは出来ません。ちゃん付けもやめてください。」
「ノエル……」
僕は……
未だにあの時のことを未練に思っているのかな。
「……最後、1軒だけ付き合ってよ。」
王子だからって黙って言うことを聞くと思って……
最後。
これに付き合ったらキッパリ言うんだ。
貴方に守られなくても大丈夫ですって。
「ここは?」
「カフェだよ。来たことある?」
「いえ、ないです。」
「ここのパフェすごく美味しいんだ。ノエルに食べさせたくて。前さ、甘いもの好きって言ってたでしょ?」
そんなこと言ったかな?
でも、甘いものが好きなのは確かだ。
教会じゃあまり食べれないから……
でもなんだろう……ここのカフェオシャレすぎて入りづらい……僕こんなボロボロの服で来ちゃったし。
躊躇う僕に、アーク様は手をひいてくれた。
「パフェ1つとコーヒー1つお願いね。」
何気なくメニューをみると、信じられない値段にびっくりした。
こ、こんなにお小遣い持ってきてない……
「お待たせ致しました。」
置かれたパフェをみて、思わずわぁっと声がもれた。甘い匂いがして、とても美味しそう。
「どうぞ♡」
「…………あの、僕、今日はもうお金がなくて……」
目を丸くするアーク様。
こんな金もないのかとか思われてるのかな……
僕とアーク様じゃ身分が違いすぎる。
恥ずかしい……
こんな高いお店にホイホイついてきて……
「じゃぁ……俺が食べるか。」
いただきますと、アーク様はパクっと1口食べると……
「あー……俺お腹いっぱいで全部は無理かも。ノエル、一緒に食べてくれる?」
僕に気を使ってくれてるの?
はい、とスプーンを差し出され、その上に乗ったクリームを食べる。
「……美味しい」
「俺はノエルが美味しそうに食べてる姿を見るだけで幸せ。」
いちいち恥ずかしいことを平然と……
慣れてるなぁ。
僕なんて……
「今日はありがとうございました。」
「こちらこそありがとう。すごく楽しかった!ノエルは?」
僕も……楽しかった。
時間もあっという間にすぎちゃったし。
でも、言っていいのかな?
「またデート誘っていい?」
夕焼けを背に笑うアーク様はとても美しかった。
「……はい。僕も……楽しかったです。また……お出かけしたいです。」
思わず本音が零れた。
チュッ。
「あっごめん、我慢出来なかった!」
突然キスをされ、かたまってしまった。
「本当はノエルが俺の事好きって言ってくれるまで我慢するつもりだったんだけど……」
じゃぁまた!と、逃げるように帰っていくアーク様。
まさか……
『ノエルちゃん、俺のこと苦手でしょ?セックスってね、好き同士でするともっと気持ちいいんだよ。ノエルちゃんも好きな子出来たらその子と楽しみな?』
あれは、僕が嫌がったから止めたの?
「アーク様……」
この人はダメだと分かっているのに、惹かれていくのがわかった。
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