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夕方になると、大広間の座敷にみんなが集まり、夕食兼宴会となる。

「今日はとことん飲んでくれ!」

偉い人の挨拶が終わり、夜の宴がはじまった。ある程度配膳されたご飯を食べると、お酒を注ぎに回るものが出始め、さらにザワザワ騒がしくなる。そんな中、望月、佐々木、瀬戸、葉山は一緒に輪になって飲んでいた。
「瀬戸ってホントワンコだよなー。よく俺たちの場所が分かったね。」
「確かに探してましたけど、あれは偶然ですって。」
「でも瀬戸くんいなかったら見つからなかったかも。」
「葉山ちゃんまで!」
いつも通り楽しく、お酒が進む。そんな中佐々木をみると、ふわふわ楽しそうにしている。
(あ、佐々木さんの浴衣の胸元がはだけてる~っ!え、ちょっ、乳首見えてない?大丈夫?)
ふんふんと興奮する瀬戸は、それ以上にはだけているのだが。
そんなところに、ふらっと加藤があらわれた。
「お疲れ様です。」
にこやかに望月が挨拶するが、完璧な作り笑いだ。この作り笑い、最初は普通の笑顔と違いがあまりわからなかったが、最近見分けがつくようになった瀬戸と葉山。
「お前ら、昼間はどこいってたんだ?」
「あー、近くの観光名所ですよ、行かれました?」
ドスッと佐々木と望月の間に座る加藤。長く居座る気か座ってしまった。最悪だと心の中で思う、その場にいた一同。
「俺も行ったよ。佐々木と望月、お前ら手ぇつないでなかったか?」
あの時だとハッとし、めんどくさい奴に見られていたのかと、佐々木はバツが悪そうに俯いてしまった。
「男同士で……しかもいい年こいて気持ち悪いよなぁ、瀬戸。」
「えっ。」
急に話を振られ慌てる瀬戸。どうフォローしたもんかと考える間もなく、加藤は続ける。
「ちぃたん、イケメン狙ってるんだろうけど、こいつらはおホモだちだから無理だぞ~?ははは!」
望月と佐々木を指さし笑う加藤。流石に葉山も苦笑いすらできなかった。
「ん?おい、佐々木、お前乳首見えてんぞ~誘ってんのか?」
佐々木がえ?っと思う間もなく、加藤の手が伸びてきて、強く乳首をつままれた。
「んんっ!」
思わずビクッとし、変な声がでてしまった。真っ赤になりながら浴衣の前をなおす佐々木。
「あはは、感じたのか?気持ちわりぃなぁ!」
「いい加減にしてください。酔っていても言っていいことと悪いことはありますよ。男相手でもセクハラは成立しますからね。」
こんな場所でセクハラをはじめる加藤に、さすがに我慢ならず、望月は見た事のない形相で加藤を睨んでいる。佐々木が目の前でセクハラされたからか、かなり怒っている様子だ。
「すみませんねぇ、望月社長。あ!の、息子さんか。ね!」
「それは今関係ないです。」
加藤は立ち上がると、望月の肩をゴマをするように揉み、宴会場をでていった。
そして残された一同は困惑する。社長と同じ苗字だとは思っていたが、さすがに社長の息子とは思っておらず。佐々木さえその事実を知らなかったのだ。
「雰囲気壊してごめんなぁ。」
はははと苦笑いする望月に、瀬戸と葉山は社長の息子と知ってしまったからか、どことなくぎこちなくなってしまう。
「望月さんありがとうございます。」
佐々木がお礼を言うと、いいえと優しい笑顔で返す望月は、以前お世話になった人達にお酒を注ぎに回りにいってくると、その場を後にした。

しばらく宴会が続いたあと、望月はふと気づいた。
(佐々木がいない……)
すぐさま瀬戸に確認すると、風呂に行くと言っていたようだ。あんなに酔ってたのに大丈夫なのかと心配になり、望月も風呂場へと向かった。
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