16 / 32
15
しおりを挟む
夕方になると、大広間の座敷にみんなが集まり、夕食兼宴会となる。
「今日はとことん飲んでくれ!」
偉い人の挨拶が終わり、夜の宴がはじまった。ある程度配膳されたご飯を食べると、お酒を注ぎに回るものが出始め、さらにザワザワ騒がしくなる。そんな中、望月、佐々木、瀬戸、葉山は一緒に輪になって飲んでいた。
「瀬戸ってホントワンコだよなー。よく俺たちの場所が分かったね。」
「確かに探してましたけど、あれは偶然ですって。」
「でも瀬戸くんいなかったら見つからなかったかも。」
「葉山ちゃんまで!」
いつも通り楽しく、お酒が進む。そんな中佐々木をみると、ふわふわ楽しそうにしている。
(あ、佐々木さんの浴衣の胸元がはだけてる~っ!え、ちょっ、乳首見えてない?大丈夫?)
ふんふんと興奮する瀬戸は、それ以上にはだけているのだが。
そんなところに、ふらっと加藤があらわれた。
「お疲れ様です。」
にこやかに望月が挨拶するが、完璧な作り笑いだ。この作り笑い、最初は普通の笑顔と違いがあまりわからなかったが、最近見分けがつくようになった瀬戸と葉山。
「お前ら、昼間はどこいってたんだ?」
「あー、近くの観光名所ですよ、行かれました?」
ドスッと佐々木と望月の間に座る加藤。長く居座る気か座ってしまった。最悪だと心の中で思う、その場にいた一同。
「俺も行ったよ。佐々木と望月、お前ら手ぇつないでなかったか?」
あの時だとハッとし、めんどくさい奴に見られていたのかと、佐々木はバツが悪そうに俯いてしまった。
「男同士で……しかもいい年こいて気持ち悪いよなぁ、瀬戸。」
「えっ。」
急に話を振られ慌てる瀬戸。どうフォローしたもんかと考える間もなく、加藤は続ける。
「ちぃたん、イケメン狙ってるんだろうけど、こいつらはおホモだちだから無理だぞ~?ははは!」
望月と佐々木を指さし笑う加藤。流石に葉山も苦笑いすらできなかった。
「ん?おい、佐々木、お前乳首見えてんぞ~誘ってんのか?」
佐々木がえ?っと思う間もなく、加藤の手が伸びてきて、強く乳首をつままれた。
「んんっ!」
思わずビクッとし、変な声がでてしまった。真っ赤になりながら浴衣の前をなおす佐々木。
「あはは、感じたのか?気持ちわりぃなぁ!」
「いい加減にしてください。酔っていても言っていいことと悪いことはありますよ。男相手でもセクハラは成立しますからね。」
こんな場所でセクハラをはじめる加藤に、さすがに我慢ならず、望月は見た事のない形相で加藤を睨んでいる。佐々木が目の前でセクハラされたからか、かなり怒っている様子だ。
「すみませんねぇ、望月社長。あ!の、息子さんか。ね!」
「それは今関係ないです。」
加藤は立ち上がると、望月の肩をゴマをするように揉み、宴会場をでていった。
そして残された一同は困惑する。社長と同じ苗字だとは思っていたが、さすがに社長の息子とは思っておらず。佐々木さえその事実を知らなかったのだ。
「雰囲気壊してごめんなぁ。」
はははと苦笑いする望月に、瀬戸と葉山は社長の息子と知ってしまったからか、どことなくぎこちなくなってしまう。
「望月さんありがとうございます。」
佐々木がお礼を言うと、いいえと優しい笑顔で返す望月は、以前お世話になった人達にお酒を注ぎに回りにいってくると、その場を後にした。
しばらく宴会が続いたあと、望月はふと気づいた。
(佐々木がいない……)
すぐさま瀬戸に確認すると、風呂に行くと言っていたようだ。あんなに酔ってたのに大丈夫なのかと心配になり、望月も風呂場へと向かった。
「今日はとことん飲んでくれ!」
偉い人の挨拶が終わり、夜の宴がはじまった。ある程度配膳されたご飯を食べると、お酒を注ぎに回るものが出始め、さらにザワザワ騒がしくなる。そんな中、望月、佐々木、瀬戸、葉山は一緒に輪になって飲んでいた。
「瀬戸ってホントワンコだよなー。よく俺たちの場所が分かったね。」
「確かに探してましたけど、あれは偶然ですって。」
「でも瀬戸くんいなかったら見つからなかったかも。」
「葉山ちゃんまで!」
いつも通り楽しく、お酒が進む。そんな中佐々木をみると、ふわふわ楽しそうにしている。
(あ、佐々木さんの浴衣の胸元がはだけてる~っ!え、ちょっ、乳首見えてない?大丈夫?)
ふんふんと興奮する瀬戸は、それ以上にはだけているのだが。
そんなところに、ふらっと加藤があらわれた。
「お疲れ様です。」
にこやかに望月が挨拶するが、完璧な作り笑いだ。この作り笑い、最初は普通の笑顔と違いがあまりわからなかったが、最近見分けがつくようになった瀬戸と葉山。
「お前ら、昼間はどこいってたんだ?」
「あー、近くの観光名所ですよ、行かれました?」
ドスッと佐々木と望月の間に座る加藤。長く居座る気か座ってしまった。最悪だと心の中で思う、その場にいた一同。
「俺も行ったよ。佐々木と望月、お前ら手ぇつないでなかったか?」
あの時だとハッとし、めんどくさい奴に見られていたのかと、佐々木はバツが悪そうに俯いてしまった。
「男同士で……しかもいい年こいて気持ち悪いよなぁ、瀬戸。」
「えっ。」
急に話を振られ慌てる瀬戸。どうフォローしたもんかと考える間もなく、加藤は続ける。
「ちぃたん、イケメン狙ってるんだろうけど、こいつらはおホモだちだから無理だぞ~?ははは!」
望月と佐々木を指さし笑う加藤。流石に葉山も苦笑いすらできなかった。
「ん?おい、佐々木、お前乳首見えてんぞ~誘ってんのか?」
佐々木がえ?っと思う間もなく、加藤の手が伸びてきて、強く乳首をつままれた。
「んんっ!」
思わずビクッとし、変な声がでてしまった。真っ赤になりながら浴衣の前をなおす佐々木。
「あはは、感じたのか?気持ちわりぃなぁ!」
「いい加減にしてください。酔っていても言っていいことと悪いことはありますよ。男相手でもセクハラは成立しますからね。」
こんな場所でセクハラをはじめる加藤に、さすがに我慢ならず、望月は見た事のない形相で加藤を睨んでいる。佐々木が目の前でセクハラされたからか、かなり怒っている様子だ。
「すみませんねぇ、望月社長。あ!の、息子さんか。ね!」
「それは今関係ないです。」
加藤は立ち上がると、望月の肩をゴマをするように揉み、宴会場をでていった。
そして残された一同は困惑する。社長と同じ苗字だとは思っていたが、さすがに社長の息子とは思っておらず。佐々木さえその事実を知らなかったのだ。
「雰囲気壊してごめんなぁ。」
はははと苦笑いする望月に、瀬戸と葉山は社長の息子と知ってしまったからか、どことなくぎこちなくなってしまう。
「望月さんありがとうございます。」
佐々木がお礼を言うと、いいえと優しい笑顔で返す望月は、以前お世話になった人達にお酒を注ぎに回りにいってくると、その場を後にした。
しばらく宴会が続いたあと、望月はふと気づいた。
(佐々木がいない……)
すぐさま瀬戸に確認すると、風呂に行くと言っていたようだ。あんなに酔ってたのに大丈夫なのかと心配になり、望月も風呂場へと向かった。
9
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
オレたちってなんだろうね。
アキノナツ
BL
この微妙なセックスはなんなのでしょう。
恋人同士だと思ってたオレだけど、気づいてしまった。
この人、他にイイ人が出来たんだ。
近日中に別れ話があると思ったのに、無い!
週一回、義務のようにセックス。
何なのですか、コレ?
プライド高いから「別れよう」の一言が言えないのか?
振られるのも嫌なんだろうな。
ーーー分かったよ! 言わせてやるよ!
振られてやろうと頑張る話。
R18です。冒頭から致しております。
なんでもありの人向けでお願いします。
「春の短編祭2022:嘘と告白」に参加した作品です。
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
βの僕、激強αのせいでΩにされた話
ずー子
BL
オメガバース。BL。主人公君はβ→Ω。
αに言い寄られるがβなので相手にせず、Ωの優等生に片想いをしている。それがαにバレて色々あってΩになっちゃう話です。
β(Ω)視点→α視点。アレな感じですが、ちゃんとラブラブエッチです。
他の小説サイトにも登録してます。
月と太陽は交わらない
アキナヌカ
BL
僕、古島葉月αはいつも好きになったΩを、年下の幼馴染である似鳥陽司にとられていた。そうして、僕が生徒会を辞めることになって、その準備をしていたら生徒会室で僕は似鳥陽司に無理やり犯された。
小説家になろう、pixiv、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、fujossyにも掲載しています。
幼馴染は俺がくっついてるから誰とも付き合えないらしい
中屋沙鳥
BL
井之原朱鷺は幼馴染の北村航平のことを好きだという伊東汐里から「いつも井之原がくっついてたら北村だって誰とも付き合えないじゃん。親友なら考えてあげなよ」と言われて考え込んでしまう。俺は航平の邪魔をしているのか?実は片思いをしているけど航平のためを考えた方が良いのかもしれない。それをきっかけに2人の関係が変化していく…/高校生が順調(?)に愛を深めます
落ちこぼれβの恋の諦め方
めろめろす
BL
αやΩへの劣等感により、幼少時からひたすら努力してきたβの男、山口尚幸。
努力の甲斐あって、一流商社に就職し、営業成績トップを走り続けていた。しかし、新入社員であり極上のαである瀬尾時宗に一目惚れしてしまう。
世話役に立候補し、彼をサポートしていたが、徐々に体調の悪さを感じる山口。成績も落ち、瀬尾からは「もうあの人から何も学ぶことはない」と言われる始末。
失恋から仕事も辞めてしまおうとするが引き止められたい結果、新設のデータベース部に異動することに。そこには美しいΩ三目海里がいた。彼は山口を嫌っているようで中々上手くいかなかったが、ある事件をきっかけに随分と懐いてきて…。
しかも、瀬尾も黙っていなくなった山口を探しているようで。見つけられた山口は瀬尾に捕まってしまい。
あれ?俺、βなはずなにのどうしてフェロモン感じるんだ…?
コンプレックスの固まりの男が、αとΩにデロデロに甘やかされて幸せになるお話です。
小説家になろうにも掲載。
男とラブホに入ろうとしてるのがわんこ属性の親友に見つかった件
水瀬かずか
BL
一夜限りの相手とホテルに入ろうとしていたら、後からきた男女がケンカを始め、その場でその男はふられた。
殴られてこっち向いた男と、うっかりそれをじっと見ていた俺の目が合った。
それは、ずっと好きだけど、忘れなきゃと思っていた親友だった。
俺は親友に、ゲイだと、バレてしまった。
イラストは、すぎちよさまからいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる