トライアングル△ オフィスラブ

sora

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注文していたものが届き、ハンバーガーのボリュームに佐々木は本当に食べれるのかと心配になったが、甘いのとしょっぱいのって永遠に食べられますから!と自信満々の瀬戸に、そうか、と納得させられた。
「佐々木さんは自炊とかしますか?」
「うん、一人暮らし長いからね。うまくないけど、とりあえず食べれるかなってレベルだよ。」
「俺全くで……自炊しなきゃとは思ってるんですけど。今度教えてください!」
「はは、いいよ。今度家においで。」
(よっしゃー!!これで佐々木さんちにいく口実ができた!)
嬉々とポテトを頬張る瀬戸を見て、 食べさせ甲斐があるなぁと、ニコニコする佐々木。もぐもぐ食べる姿がハムスターみたいで可愛いと言われ、気恥ずかしくなってしまう。
「休みの日は……普段の休みは何してるんですか?」
「ん~だいたい寝てるか、図書館行ったりとかかなぁ。」
(っぽい。マジメっ!)
本を読む姿は簡単に想像できる。
「疲れてなんも出来ないってのもあるし。はは、歳だろ?この歳になるとやりたいことも特にないし……今日みたいに誘われたら行くくらいかな。」
注文したカフェラテをゆっくりと飲み、ふぅ、と息をつく姿さえ色っぽいなぁと見とれてしまう。瀬戸もホットチョコレートを飲み、自分以外に佐々木を誘う人は誰だろうと考えてしまった。
「だから、今日誘って貰えて嬉しかったよ。瀬戸の悩み聞いてあげよーって思ってた。」
(ぐぅかわっ!)
「す、すみません。個人的なお誘いで……」
シュンとする瀬戸には、当たり前のように耳とシッポが見えた。
「瀬戸ってさ、犬見たいってよく言われない?」
「え?」
「見てると、なーんか耳と尻尾が見えるんだよな~。きゅ~んって。」
自分じゃよくわからないけどよく言われますと、恥ずかしそうに俯く瀬戸に、やっぱりね~と笑う。子供っぽいと言われているようで、少し悲しくなってしまう。なぜなら、佐々木は年上の、望月のような大人な男性が好きだと思っているから。
「あはは、可愛いよ。もふもふしたくなる。」
だが、この言葉に悲しみは一気に吹き飛んだ。
「いいですよ、いっぱいもふもふしてくれても!」
バッと顔をあげた瀬戸はまさに耳はパタパタ、シッポはブンブン全開状態。前のめりになって佐々木を見る目は、キラキラとしている。
「じゃぁお言葉に甘えて……」
佐々木の手が伸びてきて、ぽふっと頭におかれた。かと思えば、後頭部から首の付け根くらいまでを大きな手で何度か撫でられた。本当にされるとは思っておらず、急なことに驚いた。
「ふふ、いい子いい子。」
(あぁぁああ!破壊力ヤバっ!!!)
優しくこそばゆい撫で方に、背中がゾワゾワと、感じてしまった。
「さささ、佐々木さんっ、あのっ、あっ……」
ぷしゅぅと顔から煙が出るのではないかと思うほど顔が真っ赤になり、固まってしまう瀬戸。
(こ、この人本当に恋人いないのっ!?素でやってるよね!?天然強すぎるっっ!)
「あ、ごめん。恥ずかしいよね……ははは」
赤くなった瀬戸をみて、周りに見られて恥ずかしくなってしまったのではないかと思い、佐々木は申し訳なさそうに撫でてた手をしまった。
「は、恥ずかしくないですっ!嬉しかったですっ、けど、ドキドキしちゃって……」
自分の胸をぎゅぅっとする。瀬戸は、ドキドキついでに聞いてしまえと思い、さっきの話で気になってしまったことを聞くことにした。
「あのっ、誘われたら遊びに行くって言ってましたけど、誰から誘われるんですか?」
一瞬キョトンとしたが、すぐに目が泳ぐ。そしてしばらく考えた後、佐々木の口からは望月の名前がでてきた。少し恥ずかしそうに。
(でたっ、望月係長……誘ってるのが望月係長からってことは、少なからず佐々木さんに好意を持っているってこと?あの人プライベートは誰とも関わらないもんな。それとも、佐々木さんの好意を知ってて誘ってる?いや、それはないか……佐々木さん以外も好意を持ってる人はごまんといるもんな。)
ますますわからなくなる。考えるのは面倒だ!と、ストレートに聞いてみた。
「望月係長と佐々木さんって、どんな関係なんですか?」
この質問は、瀬戸にとっては切実だ。

「どんなって……ただの上司と部下だよ。」

少し悲しそうに笑って答える佐々木。ただの上司と部下なら、わざわざ休日、遊びに行ったりしないと思う瀬戸。


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