監視?付きの異世界チート旅

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ハヤト探し②

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---ヴェルの村の入り口

「さて!全員揃ったか!ではツェルニの村に向かって、出発しよう!!」

そう掛け声をあげたのは、猛獣に突っ走って行った護衛だ。

「次は放っていかないで下さいね。。。」

商人の一人がボソッと呟くも、護衛は気にしていないようだ。

「あれ、護衛の方は一人だけなんですか??」

レティが声を上げると、商人の一人が答えてくれた。

「ああ、私たちは商人ですが、最低限の自衛はできるように訓練しているんです。ただ、あまり強い猛獣が出ると困るので、保険として護衛の方にお願いしているんですよ。」

「そうだったんですね!商人さんにしては逞しいと思いました!」

この集団、商人が7人いるが、全員が逞しく鍛え上げられている。
相当重そうな荷物でも、軽々と持っている。

そして、護衛を含めた9人は、ツェルニの街へ向かって出発したのだった。








---山の麓。

「はぁ!!!」

護衛の一撃で、虎のような猛獣は吹っ飛んだ。

「ガォ!?」

木にぶつかり、一瞬怯んだものの、すぐに立て直して飛びかかってくる。

「グォォォ!!!」

「そんな突撃、俺には効かん!!!」

横に飛び、虎の突撃を簡単に躱すと、胴に斬撃を放つ。

「はぁぁぁ!!!」

グサッ!!

「ガゥッ!」

胴を切り裂かれた虎は、悶絶しながら動き回るも、しばらくすると息絶えた。

「ふっ、この俺の敵ではなかったな。」

誰にでもなく、ドヤ顔を決めている。

すると、

「あのー、このままで大丈夫なんですかー??」

急にレティが声を上げる。

「え、どうかしたんですか??」

商人の一人がレティに聞き返す。

「なんか、動物さん達が、私たちを囲んでるみたいですけど。。。」

それを聞き、護衛が反応する。

「なに!?いつの間に!?」

周りを見ると、ヤマアラシのような猛獣が20匹ほど、商人達を囲むように臨戦態勢になっていた。

「こ、これはマズイですよ・・・。」

商人達は危機的状況に戸惑っている。

「この猛獣は、集団行動を得意としていて、囮が気を引いている間に取り囲むんです。。。今回は、虎が囮の代わりになっていたんですね。。。」

「なるほどー。」

商人達の危機感は気にせず、レティは呑気に納得している。

「猛獣め!!!覚悟!!!」

護衛がヤマアラシに向かって突撃する。

するとヤマアラシ達は、一斉に後ろを向きトゲを飛ばしてきた。

「ぐあ!!!」

「に、荷物が!!!」

護衛はトゲを避けきれず、足に数本刺さってしまった。

商人達は荷物から木の盾を取り出し、何とかしのいだようだ。

レティは・・・

「あ、あの、お嬢さん、、、どうして無事なんですか・・・???」

「え?」

特に回避もせず、突っ立っていたのだが、もちろん無傷だ。

(あ、先輩に気付かれないようにって言われてたの忘れてた!)

「あ、えっと、、、は!!!そんなことより、早く逃げないと!!!」

誤魔化すことにした。

「え、あ、そうですね!護衛の人は!?」

「このくらい大丈夫だ!!!」

護衛は足にトゲが刺さったまま、剣でヤマアラシを突き刺していた。

だが他のヤマアラシは、再度攻撃態勢に入っている。

「だ、ダメです!逃げきれません!!」

商人の一人が攻撃態勢に気付いて叫ぶと、

「もう!みんな頼りにならないわね!じゃあ私がやるから、その場を動かないで。」

「「「は???」」」

商人達はレティに急に言われて、理解できずにいる。
護衛は聞こえていないのか、また突っ込んで行った。

そしてレティは祈るようなポーズをして、

「大地の木々よ、我が命に従え!!!」

そう叫んだ瞬間、ヤマアラシ達と護衛は、木の枝や根でグルグル巻きに拘束された。

「「「!!!!!」」」

その光景を見た商人達は、皆が絶句している。

「ふぅ、世話の焼ける子達ね。」

レティは髪をかきあげて、軽くため息をつく。

「うぐぅ!!!なんだこれは!!」

護衛が何やら叫んでいるようだ。

「あ、一緒に巻き込んじゃったのね。離してあげて。」

レティがそう言うと、護衛は解放された。

「あ、あの、今のは一体・・・???」

商人の一人がレティに聞いてくる。

「あー、えーっと、、、私、実は魔導士なの。そういうこと。」

商人達はさらに驚く。

「ええ!!!こ、こんな強いなら、早く言って下さいよ!!!」

「あ、あんまり目立たないようにって言われてるから。。。」

商人に詰め寄られて、レティはボソッと呟く。

「え、もしかして、、、何かの任務ですか?となると、王都の魔導士さん!?」

商人が言うと、他の商人も驚いたようだ。

「なに!?王都の魔導士!?!?」
「本当にいたのか!!」
「王都はこんな強い魔導士がいるのか!!」
「レベルが違うぞ!!」

何やら盛り上がってしまっている。

「え、、、これどうしよう。。。」

レティは対応に困り、とりあえず護衛の足を治療することにした。

「足、大丈夫ですか??・・・癒しの光よ!!」

レティがそう言うと、護衛の足が光り、傷が一瞬でなくなった。

「!!!す、すごい魔法だ。。。」

そうして、やたらテンションの上がった商人達と、ちょっと凹んでる護衛と共に、レティは再び進み出した。











---その頃ハヤトは、、、

「王都に行くには、馬車でも10日かかるのか。。。」

次は王都に行こうかと思い、図書館で地図を見ていた。

(ずっと馬車旅をするのもしんどいな。。。多分思いっきり念じたら行けるんだろうけど、それは面白くないし。。。)

「よし、歩いて他の街を巡りながら行くか!」

そう言うと、図書館を出てパイソンと合流した。

「パイソンお待たせ!次の目的地は、エコラの村だ!」

「あ、王都じゃなかったんですね。」

パイソンには、王都の場所を調べると言って、図書館に入ったのだ。

「なんか意外と遠かったから、他の街を巡りながらでいいかなーって。特に急いでないし。」

「そうでしたか。私はご主人の思うままに、付いて行きますよ!」

「よしよし、良い子だなぁ。」

そう言いつつ、パイソンの頭を撫でると、嬉しそうにする。

「それじゃ、今から準備して、明日出発しよっか。」

「了解です!」










---そしてレティ達は、、、

「よし、今日はこの辺りでテントを張ろう。」

辺りが薄暗くなってきたため、一晩泊まることにした。

「あ、でもテントが2個しかないですね。レティさん、どうしましょうか??」

商人の一人がそう言うと、

「あ、別に一緒でかまいませんよ。」

レティがそう言うと、何故か急にジャンケンが始まった。




---「よっしゃー!!!」

どうやら、5人と4人で分かれて、4人の方にレティが入ることになったらしい。

そして、その残りの3人枠が、ジャンケンで決定したようだ。

「おい、絶対に変なことするんじゃないぞ。」
「手を出したら殺す。」
「うぅ、羨ましい。。。」
「寝ぼけたフリで混ざろうか。。。」

負け組は何やら色々言っている。

「レティさん、何かあったら、すぐに私に言って下さい。」

そう言ってきたのは、護衛だ。

「ガルムさん、ありがとうございます。」

護衛ことガルムは、意外と紳士なところがあるようだ。

「抜けがけか!!!」

それを見ていた商人の一人が声をあげる。

「断じて違う!!見張りはほとんど俺がやるから、一番声をかけやすいだろうと思っただけだ!!」

商人と護衛はしばらく言い合っていたが、

「大丈夫ですよー。もし寝ている私に触れようとしたら、、、シヌカモシレマセンネ。。。フフフフフ。。。」

「「「ひぃっ!!」」」

レティの不気味な笑いに、二人はビビって逃げて行った。

「あら、冗談のつもりだったのに。」

さすがにあの魔法を見た後では、冗談に聞こえなかったらしい。

そして、見張りを交代しながら、何事もなく夜営を終えることができたのだった。
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