1 / 13
1.弟
しおりを挟む
玄関ドアを開けると、スーツ姿の男が二人立っていた。一人は四十代半ばの神経質そうな男で、もう一人は二十代後半くらいの男だ。
ただでさえ出勤前でバタバタしているのに、一体何の用だろうか。平沢優鶴が「何か?」と訊くと、年上の方が「少しお尋ねしたいことが」と胸ポケットから警察手帳を出した。
「先日、花井田公園の公衆トイレで強姦事件が起きたのをご存知ですか?」
優鶴は「ああ、はい」と答える。花井田公園は、現在二十五歳になる優鶴が小学生の頃に土地区画整理でできた公園だ。先週の土曜夜、そこで強姦事件が起きたらしい……という話は月曜日のゴミ出しの際、近所の主婦たちが井戸端会議で話しているのを聞いた。
「プライバシーに関わることなので詳しいことは言えないんですがね。まあ、被害者というのはアレです」
「アレ、というのは?」優鶴は首をひねった。
「オメガですよ。ま、『オメガ特定保護法』のせいで男女の性別まではお伝えできませんが」
ぞんざいな口調で、警察官は手帳を閉じる。やる気がないのか、心底どうでもよさそうだ。
あと十五分ほどで家を出ないといつも乗る電車に遅れてしまうため、優鶴は「手短にお願いできますか」と控えめに要求した。
刑事たちによると、被害者の体内から採取された体液を調べてみたところ、判別できたDNA型は過去のデータになかったそうだ。だが、加害者の性別は『男』で、かつ第二の性別であるバース性が『アルファ』だということだけは判明しているらしい。
現在の日本では、アルファのみバース性検査の判定結果を自治体へ提出することが義務付けられている。その情報をもとに、事件現場の近くに住む『男』の『アルファ』に話を聴いているのだと男たちは説明した。
「平沢煌さん、こちらにいますよね?」
二十代の方に訊かれる。「はい、弟ですが」と答えると、「少しお話を聴かせてもらってもいいですか?」と若い刑事は申し訳なさそうに続けた。
特別うちのを疑っているわけじゃないんだろうなと思ったが、調査といって話を聴くのも彼らの仕事なのだろう。さっさと協力して帰ってもらおうと、優鶴は階段下から「煌ーっ」と弟を呼ぶ。
反応はない。もっと大きな声でもう一度呼んでも、二階の部屋からドアの開く音はおろか足音さえも聞こえなかった。
スーパーやコンビニに行く以外で煌が引きこもるようになって早五年。向こうの気が乗らないときにいくら呼んでも出てこないのは、兄である優鶴が一番知っている。「上がってください」と刑事二人を促し、優鶴は傾斜のある階段を上がった。幼稚園の頃、二歳下の妹・睦美《むつみ》と一緒になってクレヨンでいたずら書きした壁の前を通りすぎ、煌の部屋へと向かう。
「おら起きろっ」
ダンッとドアを叩くと、思ったよりもすぐにそれは開いた。
「……なんだよ」
ドアの隙間から、不機嫌そうに眉根を寄せた煌が現れる。煌は重たそうな前髪の隙間から切れ長の三白眼を見せ、気だるそうに優鶴の後ろにいる男二人に目を向けた。
煌は鼻筋もスッと通っているし、結ばれた唇の形もいい。髪を切って髭も剃ったら、涼しげな美貌の男に生まれ変わる……と思うのだが、現在は肩まで伸びた海藻のような黒髪のせいで山籠もりしている修行僧みたいだ。
身体能力や知的能力の高いとされるアルファにふさわしく、煌はこの五年間まともに太陽の光を浴びていないのに百九十センチ近くある。二十歳を過ぎているのにいまだ背が伸びているようだ。半年前に足首を覆っていたスウェットの裾からは、脛が見えている。
ドアの隙間から「おまえさ、こないだの土曜の夜なにしてたっけ?」と尋ねると、煌は面倒くさそうに口を開けた。
「……誰かさんのパソコン修理させられてましたけど。一晩中、監視付きで」
「だっておまえ、目離した隙に逃げんだもん」
「もういい?」煌はドアをガチャンと閉めた。
玄関に戻ると、刑事二人は安心したように笑いながら「いや~お手数おかけしました」と言った。
「私たちもね、オメガがアルファを強姦の罪で訴えようとするってのがまずどうかと思うんですけどねぇ。まあ私らも仕事なんで、被害届出されちゃ捜査しなくちゃならないんですが」
「半分以上はオメガの責任ですからね」という二十代の発言を、四十代の刑事が「バカ野郎、百パーに決まってんだろ」と言い伏せる。
ブツブツ文句を言いながら帰っていく男たちの背中を見ながら、優鶴はため息をついた。
この世界の性別には、男女の他にバース性という三つの性別が存在する。それがアルファ、ベータ、オメガの三種類だ。官僚やアスリートなど、優れた知的能力や身体能力をもつ一部の人間が『アルファ』で、人口が多く能力も平均的なのが『ベータ』だ。優鶴はこのベータで、両親も妹の睦美もベータだった。
反対にもっとも人口が少なく、アルファ以上に特殊性をもつのが『オメガ』だ。ヒートと呼ばれる発情期があり、その間に放出されるフェロモンでアルファの性衝動を煽ってしまうという性質がある。そのため学校や会社など組織の中で敬遠されがちで、何よりも男女ともに妊娠できるという点が他の性別との大きな差だ。
優鶴が初めて『オメガ』のヒートを見たのは高校一年生のときの文化祭。女友達に誘われて観に行った演劇部の公演中に、それは起こった。出演していた男子生徒の一人が、壇上で急に胸と腹の真ん中あたりを押さえながら、苦しそうにうずくまったのだ。
男子生徒の様子に観客席はざわついた。そんな状況の中で、事件は起きた。男子生徒と同じく舞台の上にいた女子生徒が、突如その男子生徒に襲いかかったのである。しかも男子生徒に群がったのは、女子生徒だけじゃなかった。客席から舞台に上がった男子生徒や、中には保護者らしき大人もいて、あっという間に舞台上を含む体育館は、惨たらしい場と化した。
華奢な男子生徒の服を脱がそうとする大きな身体が、優鶴には恐ろしかった。アルファと思われる彼らの狂気じみた表情が怖くて、客席に助けを求めるように伸ばす手を取るどころか、動くことさえできなかった。
やがてベータと思われる演劇部員や教師によりオメガの男子生徒は救出され、細い筒状の注射器で『フェロモン抑制剤』を細い太ももに打たれていた。
アルファがオメガのうなじを噛むと、『番』という本能レベルでの婚姻関係が成立するとされている。中には夢物語のように『運命の番』という唯一無二の相手と出会えるアルファとオメガも存在するらしい。だが、優鶴がこのとき目の当たりにしたのは、ただの暴力だった。
初めてオメガのヒートを見たときの恐怖や、助けられなかった罪悪感があるのだろうか。優鶴はオメガを蔑視する人間に出会うと、今でも少し気分が悪くなるのだった。
刑事たちの聴取に潰された朝の時間を取り戻すため、優鶴は急いで洗面所に向かい、鏡の前で髪をセットする。煌とは違い、鏡に映る自分はなんて平凡な顔だろうか。
目尻の下がった奥二重に、特徴のない鼻と薄い唇。髪も色が少し薄い程度で、ごく普通のマッシュヘアだ。一年半付き合ったベータの彼女からフラれたときの言葉も、「優鶴君のザ・ベータって感じに飽きたっていうか……」だった。
出かける前に洗濯乾燥機を回していこうと、優鶴は再び階段を駆け上がった。弟の部屋のドアを叩き、
「洗濯機回しちゃいたいから、洗いもんあるなら出せよ」
と言うが、煌は返事をしない。いつものことなので「じゃあ行ってくるからな」と続ける。階段を数段降りたところで、反応のなかったドアがガチャリとわずかに開いた。
「……パソコン直したらくれるって言ってたアイス、まだもらってない」
低くてかすれた声に、優鶴は「ゲッ、覚えてたか」と笑って返した。
ただでさえ出勤前でバタバタしているのに、一体何の用だろうか。平沢優鶴が「何か?」と訊くと、年上の方が「少しお尋ねしたいことが」と胸ポケットから警察手帳を出した。
「先日、花井田公園の公衆トイレで強姦事件が起きたのをご存知ですか?」
優鶴は「ああ、はい」と答える。花井田公園は、現在二十五歳になる優鶴が小学生の頃に土地区画整理でできた公園だ。先週の土曜夜、そこで強姦事件が起きたらしい……という話は月曜日のゴミ出しの際、近所の主婦たちが井戸端会議で話しているのを聞いた。
「プライバシーに関わることなので詳しいことは言えないんですがね。まあ、被害者というのはアレです」
「アレ、というのは?」優鶴は首をひねった。
「オメガですよ。ま、『オメガ特定保護法』のせいで男女の性別まではお伝えできませんが」
ぞんざいな口調で、警察官は手帳を閉じる。やる気がないのか、心底どうでもよさそうだ。
あと十五分ほどで家を出ないといつも乗る電車に遅れてしまうため、優鶴は「手短にお願いできますか」と控えめに要求した。
刑事たちによると、被害者の体内から採取された体液を調べてみたところ、判別できたDNA型は過去のデータになかったそうだ。だが、加害者の性別は『男』で、かつ第二の性別であるバース性が『アルファ』だということだけは判明しているらしい。
現在の日本では、アルファのみバース性検査の判定結果を自治体へ提出することが義務付けられている。その情報をもとに、事件現場の近くに住む『男』の『アルファ』に話を聴いているのだと男たちは説明した。
「平沢煌さん、こちらにいますよね?」
二十代の方に訊かれる。「はい、弟ですが」と答えると、「少しお話を聴かせてもらってもいいですか?」と若い刑事は申し訳なさそうに続けた。
特別うちのを疑っているわけじゃないんだろうなと思ったが、調査といって話を聴くのも彼らの仕事なのだろう。さっさと協力して帰ってもらおうと、優鶴は階段下から「煌ーっ」と弟を呼ぶ。
反応はない。もっと大きな声でもう一度呼んでも、二階の部屋からドアの開く音はおろか足音さえも聞こえなかった。
スーパーやコンビニに行く以外で煌が引きこもるようになって早五年。向こうの気が乗らないときにいくら呼んでも出てこないのは、兄である優鶴が一番知っている。「上がってください」と刑事二人を促し、優鶴は傾斜のある階段を上がった。幼稚園の頃、二歳下の妹・睦美《むつみ》と一緒になってクレヨンでいたずら書きした壁の前を通りすぎ、煌の部屋へと向かう。
「おら起きろっ」
ダンッとドアを叩くと、思ったよりもすぐにそれは開いた。
「……なんだよ」
ドアの隙間から、不機嫌そうに眉根を寄せた煌が現れる。煌は重たそうな前髪の隙間から切れ長の三白眼を見せ、気だるそうに優鶴の後ろにいる男二人に目を向けた。
煌は鼻筋もスッと通っているし、結ばれた唇の形もいい。髪を切って髭も剃ったら、涼しげな美貌の男に生まれ変わる……と思うのだが、現在は肩まで伸びた海藻のような黒髪のせいで山籠もりしている修行僧みたいだ。
身体能力や知的能力の高いとされるアルファにふさわしく、煌はこの五年間まともに太陽の光を浴びていないのに百九十センチ近くある。二十歳を過ぎているのにいまだ背が伸びているようだ。半年前に足首を覆っていたスウェットの裾からは、脛が見えている。
ドアの隙間から「おまえさ、こないだの土曜の夜なにしてたっけ?」と尋ねると、煌は面倒くさそうに口を開けた。
「……誰かさんのパソコン修理させられてましたけど。一晩中、監視付きで」
「だっておまえ、目離した隙に逃げんだもん」
「もういい?」煌はドアをガチャンと閉めた。
玄関に戻ると、刑事二人は安心したように笑いながら「いや~お手数おかけしました」と言った。
「私たちもね、オメガがアルファを強姦の罪で訴えようとするってのがまずどうかと思うんですけどねぇ。まあ私らも仕事なんで、被害届出されちゃ捜査しなくちゃならないんですが」
「半分以上はオメガの責任ですからね」という二十代の発言を、四十代の刑事が「バカ野郎、百パーに決まってんだろ」と言い伏せる。
ブツブツ文句を言いながら帰っていく男たちの背中を見ながら、優鶴はため息をついた。
この世界の性別には、男女の他にバース性という三つの性別が存在する。それがアルファ、ベータ、オメガの三種類だ。官僚やアスリートなど、優れた知的能力や身体能力をもつ一部の人間が『アルファ』で、人口が多く能力も平均的なのが『ベータ』だ。優鶴はこのベータで、両親も妹の睦美もベータだった。
反対にもっとも人口が少なく、アルファ以上に特殊性をもつのが『オメガ』だ。ヒートと呼ばれる発情期があり、その間に放出されるフェロモンでアルファの性衝動を煽ってしまうという性質がある。そのため学校や会社など組織の中で敬遠されがちで、何よりも男女ともに妊娠できるという点が他の性別との大きな差だ。
優鶴が初めて『オメガ』のヒートを見たのは高校一年生のときの文化祭。女友達に誘われて観に行った演劇部の公演中に、それは起こった。出演していた男子生徒の一人が、壇上で急に胸と腹の真ん中あたりを押さえながら、苦しそうにうずくまったのだ。
男子生徒の様子に観客席はざわついた。そんな状況の中で、事件は起きた。男子生徒と同じく舞台の上にいた女子生徒が、突如その男子生徒に襲いかかったのである。しかも男子生徒に群がったのは、女子生徒だけじゃなかった。客席から舞台に上がった男子生徒や、中には保護者らしき大人もいて、あっという間に舞台上を含む体育館は、惨たらしい場と化した。
華奢な男子生徒の服を脱がそうとする大きな身体が、優鶴には恐ろしかった。アルファと思われる彼らの狂気じみた表情が怖くて、客席に助けを求めるように伸ばす手を取るどころか、動くことさえできなかった。
やがてベータと思われる演劇部員や教師によりオメガの男子生徒は救出され、細い筒状の注射器で『フェロモン抑制剤』を細い太ももに打たれていた。
アルファがオメガのうなじを噛むと、『番』という本能レベルでの婚姻関係が成立するとされている。中には夢物語のように『運命の番』という唯一無二の相手と出会えるアルファとオメガも存在するらしい。だが、優鶴がこのとき目の当たりにしたのは、ただの暴力だった。
初めてオメガのヒートを見たときの恐怖や、助けられなかった罪悪感があるのだろうか。優鶴はオメガを蔑視する人間に出会うと、今でも少し気分が悪くなるのだった。
刑事たちの聴取に潰された朝の時間を取り戻すため、優鶴は急いで洗面所に向かい、鏡の前で髪をセットする。煌とは違い、鏡に映る自分はなんて平凡な顔だろうか。
目尻の下がった奥二重に、特徴のない鼻と薄い唇。髪も色が少し薄い程度で、ごく普通のマッシュヘアだ。一年半付き合ったベータの彼女からフラれたときの言葉も、「優鶴君のザ・ベータって感じに飽きたっていうか……」だった。
出かける前に洗濯乾燥機を回していこうと、優鶴は再び階段を駆け上がった。弟の部屋のドアを叩き、
「洗濯機回しちゃいたいから、洗いもんあるなら出せよ」
と言うが、煌は返事をしない。いつものことなので「じゃあ行ってくるからな」と続ける。階段を数段降りたところで、反応のなかったドアがガチャリとわずかに開いた。
「……パソコン直したらくれるって言ってたアイス、まだもらってない」
低くてかすれた声に、優鶴は「ゲッ、覚えてたか」と笑って返した。
10
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
オメガ社長は秘書に抱かれたい
須宮りんこ
BL
芦原奏は二十九歳の若手社長として活躍しているオメガだ。奏の隣には、元同級生であり現在は有能な秘書である高辻理仁がいる。
高校生の時から高辻に恋をしている奏はヒートのたびに高辻に抱いてもらおうとするが、受け入れてもらえたことはない。
ある時、奏は高辻への不毛な恋を諦めようと母から勧められた相手と見合いをする。知り合った女性とデートを重ねる奏だったが――。
※この作品はエブリスタとムーンライトノベルスにも掲載しています。
こじらせΩのふつうの婚活
深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。
彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。
しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。
裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。
ひとりのはつじょうき
綿天モグ
BL
16歳の咲夜は初めての発情期を3ヶ月前に迎えたばかり。
学校から大好きな番の伸弥の住む家に帰って来ると、待っていたのは「出張に行く」とのメモ。
2回目の発情期がもうすぐ始まっちゃう!体が火照りだしたのに、一人でどうしろっていうの?!
君を変える愛
沙羅
BL
運命に縛られたカップルって美味しいですよね……受けが嫌がってるとなお良い。切なげな感じでおわってますが、2人ともちゃんと幸せになってくれるはず。
もともとβだった子がΩになる表現があります。
【完結】恋愛経験ゼロ、モテ要素もないので恋愛はあきらめていたオメガ男性が運命の番に出会う話
十海 碧
BL
桐生蓮、オメガ男性は桜華学園というオメガのみの中高一貫に通っていたので恋愛経験ゼロ。好きなのは男性なのだけど、周囲のオメガ美少女には勝てないのはわかってる。高校卒業して、漫画家になり自立しようと頑張っている。蓮の父、桐生柊里、ベータ男性はイケメン恋愛小説家として活躍している。母はいないが、何か理由があるらしい。蓮が20歳になったら母のことを教えてくれる約束になっている。
ある日、沢渡優斗というアルファ男性に出会い、お互い運命の番ということに気付く。しかし、優斗は既に伊集院美月という恋人がいた。美月はIQ200の天才で美人なアルファ女性、大手出版社である伊集社の跡取り娘。かなわない恋なのかとあきらめたが……ハッピーエンドになります。
失恋した美月も運命の番に出会って幸せになります。
蓮の母は誰なのか、20歳の誕生日に柊里が説明します。柊里の過去の話をします。
初めての小説です。オメガバース、運命の番が好きで作品を書きました。業界話は取材せず空想で書いておりますので、現実とは異なることが多いと思います。空想の世界の話と許して下さい。
獣人王と番の寵妃
沖田弥子
BL
オメガの天は舞手として、獣人王の後宮に参内する。だがそれは妃になるためではなく、幼い頃に翡翠の欠片を授けてくれた獣人を捜すためだった。宴で粗相をした天を、エドと名乗るアルファの獣人が庇ってくれた。彼に不埒な真似をされて戸惑うが、後日川辺でふたりは再会を果たす。以来、王以外の獣人と会うことは罪と知りながらも逢瀬を重ねる。エドに灯籠流しの夜に会おうと告げられ、それを最後にしようと決めるが、逢引きが告発されてしまう。天は懲罰として刑務庭送りになり――
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
俺が番になりたくない理由
春瀬湖子
BL
大好きだから、進みたくて
大切だから、進めないー⋯
オメガの中岡蓮は、大学時代からアルファの大河内彰と付き合っていた。
穏やかに育み、もう8年目。
彰から何度も番になろうと言われているのだが、蓮はある不安からどうしても素直に頷く事が出来なくてー⋯?
※ゆるふわオメガバースです
※番になるとオメガは番のアルファしか受け付けなくなりますが、アルファにその縛りはない世界線です
※大島Q太様主催のTwitter企画「#溺愛アルファの巣作り」に参加している作品になります。
※他サイト様にも投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる