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観葉植物を育てる
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東京で暮らしてた頃は、緑や土に触れるなど考えられない生活だった。無機質なもに囲まれた日々。
手相などは、土や緑に触れるとよくなっていくという本を以前読んだことがある。人にとってはやはりかけがえのないものなのだろう。
退院したての頃は、田舎の人の少なさと、遠くの山が見える見晴らしのよさ、それに加えて、夜の街明かりの少なさに寂しさを覚え、ストレスを感じたものだ。ただただ、公園まで歩いていき、ベンチに座って空の広さと美しさをぼうっと眺めて、
「綺麗だな……」
感情はそれだけだった。それから三年も費やして回復をして、今年の春ぐらいから観葉植物を育ててみたくなった。サボテンぐらいしか育てたことがない私は、ネットで色々調べたが、枯らしてしまうのだ――というか、水のやり過ぎのようで腐らせてしまうのだ。
諦めるべきか。植物がかわいいそうだ。しかしそこで、ピントひめいた。
「精霊族の人に守護してもらえばいい!」と。
精霊族とは、妖精のような羽が背中に生えている、私たち人間と同じ姿をした人たちのことである。背丈は同じぐらいで、言葉も普通に話す。
この世界の統治が今へと変わる前は、主《おも》に植物の守護をしていたエキスパートである。
光命のコンサートスタッフにいるというので、さっそくお願いして来ていただいた。今ある観葉植物を見せると、毎日、太陽に二、三時間は当てたほうがいいとのこと。あとは特に問題はないようだった。
それで勢いづいてしまった私はまた、百円ショップで新しい植物を買おうとして、精霊族の方を呼んだ。見た目だけでは私にはさっぱりわからないが、手前に置いてあるものより奥のほうがいいというのだ。植物の未来が見えるのだろう、神様だから。
それを買ってきて、今では植木鉢が十個もある。腐らせないように育てるぞ!
20202年7月15日、木曜日
手相などは、土や緑に触れるとよくなっていくという本を以前読んだことがある。人にとってはやはりかけがえのないものなのだろう。
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「綺麗だな……」
感情はそれだけだった。それから三年も費やして回復をして、今年の春ぐらいから観葉植物を育ててみたくなった。サボテンぐらいしか育てたことがない私は、ネットで色々調べたが、枯らしてしまうのだ――というか、水のやり過ぎのようで腐らせてしまうのだ。
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