おかしな日記

明智 颯茄

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国語について

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 私は高校生の時、理数系だった。二年生へ上がる前に、文系か理数系かを選択しなければならないのだが、ずいぶんと迷った。
 なぜなら、私は英語が得意だったからである。これだけなら、文系を即チョイスだが、国語と社会が得意ではなかった。ということで、一応、理数系のクラスになった。
 
 大学を受験する時だ。英語科に行きたかった。推薦入試があったのだが、筆記試験の他に、英語の受け答えによる面接があった。その対策のため、受けたい生徒だけが英会話の授業を週に二、三度受けるのだが、それは文系の人が対象で、理数系の私は突然呼び出されて、受けさせていただいて、無事合格したのである。

 それから、十年以上の時が過ぎ、テレビゲームにいっときハマった。ストーリーがとても面白く、自分でも書いてみたいと思った。それが作家の道への第一歩だ。しかし、現実は夢のまた夢だった。

 国語が苦手。小説家になるには不利だ。しかも、国語ができなければ、他の教科の問題も、何について問われているのかが読み取れない。自分の気持ちを相手に伝えられない。相手の言っていることを理解できない。生きていくためにも大損だった。

 その当時の配偶者に、半ばスパルタ的に国語の勉強をやり直しさせられた。高校で使う『国語便覧』をわざわざ買って、一からのやり直し。
 やり慣れていないものだから、非常な苦痛が私を襲った。中でも、音読には過去に苦い経験があった。

 私は口数は少ないほうだ。それは、こういう理由からだ。なぜ、下々の者に私が声をかけねばならぬ――傲慢にも程がある性格だった。今では違うが。

 声に出して、他の生徒に聞かせる音読など言語道断で、何度、先生に教科書を読むように言われても、私は頑《かたく》なに拒否し続け、チャイムが鳴り時間切れとなったが、先生が私に取った対策は――次も国語の授業にする――だった。

 その後、どうなったのかまったく覚えていないが、おそらく音読をしたのだろうと思う。
 あれから、三十年以上の時が経ち、今は音読を進んでやっている。文章を作るには、音読以外に勝るものはない。だが、これが意外と楽しいのだ。

 中学の頃、演劇部に入っていた。主役を務めたこともある。セリフなんかは、感情を込めて読むと、なんとも気持ちがよいものだ。

 あぁ、自分らしい時間《とき》を過ごしているなあ。

 今週は、『ハツカネズミと人間』を読んでいる、ジョージとレニーの掛け合いが、私を幸福の渦へ連れて行ってくれるのだ。

 2020年6月28日、日曜日
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