明智さんちの旦那さんは10人いるそうで……

明智 颯茄

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忙しいがいい一日

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 久しぶりに書いた。それくらい、辛かったのだと思う、心身ともに。

 今日は朝から、本日のアニメの原稿書きをしたが、大した時間は今日はかからず、九時前には終了した。

 ということで、学校が休みの子供たちと、アスレチックを楽しみに行くこととなった。子供の人数は十人。旦那は二人――光命ひかりのみこと焉貴これたかだ。

 しかし、少々時間に遅れてしまい、バスに一緒に乗ることができなかった。私もなかなか向こうの世界のルールに慣れないもので、瞬間移動で途中から勝手に乗車しても良いのかと、旦那――孔明こうめいに聞いたのだが、ダメと言うことで、バスが次に着く停留所で待つべしだった。

 心の目でバスを追いかけ、何とかギリギリでバス停に立って乗り込んだ。そうして、五家族一緒ということで、他の親御とも挨拶をして、アスレチックに参加。

 私はこういう性格なので、人前で急に踊り出したり、叫んだりするも、誰も責める人も、おかしいと思う人もおらず、早々と死んで、あの世へ行きたいものだと、ほんのり思ったのだった。

 社留弐しゃるにと一緒に話したのだが、のんびりした子で、みんなと同じ速度で行動ができない。だからこそ、学校へ行き始めたばかりの彼は、疲れてしまって、いつもよりも早く眠るのだと気づいた。

 学校では一生懸命、みんなと一緒にと頑張っているのだ。それならば、家ではゆっくりでいいではないか。心がとても穏やかになれたと、子供と神様に感謝だ。

 最後は、社留弐が菩華ゔぉっかのコラージュに使う、どんぐりや葉っぱをお土産に持って帰りたいと言い、一緒に拾い集めた。人のことを思える、いい子だなと、やはりまた心が穏やかになった。

 帰ってからは、光命も焉貴も疲れたようで、子供たちと一緒に昼寝をしていた。

 孔明がそばで、仕事のための勉強をしたいと来た。彼は集中すると、まわりのことは忘れるタイプだ。私は小説の設定を決めることに集中して、それれぞれの時間を過ごすことにした。

 そこへ、妻の皇閃すめひらがやってきたのだ。話を聞くと、詩を書いたという。
 さすが、はくの元々のママだけあって、詩も書けるのだと大いに納得した。そうして、私に見てほしいと言うのだ。

 確かに、私は物書きで、作詞家でヴォーカリストではあるが、詩人とは違うわけで、戸惑ったのだが、妻の頼みとあらば見よう。

 字が読めるわけではない。帝国語というものが存在するのだから。それでも、心の目では見える。水面に浮かぶ蓮の葉と青空を、家族の姿になぞらえた詩だった。

 若干、出たしが鈍っている感じがした旨を伝えると、そこを書き直して、コンクールに出すと言う。
 妻として、いいと思った。愛する妻のやりたいことは、応援してあげたい。それが愛だ。

 皇閃は詩を直しながら、私は小説の設定を考えながら、あれこれ話しをする。すると、皇閃が子供が欲しいのだと言う。

 ウチは旦那が十人もいるから、誰かと聞くと……。

 私たち妻二人のすぐ近くで、資料に目を通すのに夢中な孔明だった。

 孔明さん、モテるなぁ~。
 っていうか、そういう策を張っているのではないか?

 ――ま、カットをして、子供ができたのだ。明日、生まれるらしい。

 そうして、夕方には、音涅ねねのアート教室の見学に、孔明とともに行ってきた。気に入ったみたいで、パパとともに習うこととなった。

 そのあとは、千年前に生まれた、五歳の息子――白とこうの誕生日会があった。最初はみんな、別々の家族だったが、新しく家族になった記念に、もう一度誕生日をすることになったのだ。

 本当は、あと六百八十七年経たないと、誕生日はやってこないけど、それまでは長すぎるから、今年やることになった。

 今日はずいぶん冷えた一日で、お風呂が気持ちがいいと久しぶりに感じた。もう何年もなかったと思う。

 白と話していると、皇閃が出すコンクールに、自分も小学校の部で出したいと言う。だが、賞が取れなかったらと悩んでいた。

 出さないと、賞はどの道取れないよね?

 ということで、白もコンクールへ出すことになった。

 私の霊感もいい加減なもので、集中していると他が見えなくなる。白がパパと言ったので、見ると、明引呼あきひこが子供たちを何人か連れて、一緒にお風呂に入っていた。

 光命とともに、お風呂から出て、体を拭いていると、焉貴が明引呼を探しにきた。珍しい組み合わせだなと思っていたが、そのまま残して、先に部屋へ戻った。

 あとから出てきた焉貴と明引呼に、妻はちょっとふざけて言ったのだ。

「ふたりでラブラブだったんでしょ?」
「そう」

 即答だった。男ふたりでお風呂の中で……! そこで気づいた、どうして、焉貴が明引呼を追いかけてきたのかを。

 皇閃が妊娠したから、元々の旦那だった、明引呼はちょっと複雑なのだろう。それを知った焉貴が心配したのだ。

 私もわかる。
 孔明さんも、悲しいって言っていた。
 光命さんが言っていた。みなさん、同じですよ。

 バイセクシャルの複数婚だからこその悩みだよね? 他の人同士の恋愛事情があるからこそ、譲らなくてはいけない時が来るし、見守らなくてはいけない時が来る。

 嫉妬のない世界だからこそ、成り立つ関係だな。
 私は違うけど、みんなは神様だから、心ができているのだ。

 素敵な世界だ。楽しいことばかりではないけれど……。

 2020年2月7日、金曜日
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