明智さんちの旦那さんは10人いるそうで……

明智 颯茄

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理論派なチビッ子

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 愛香あいくぁ、五歳童子がいる。生みの親は独健どっけん陽和師ひおしだ。妻のところには滅多にこない子供で、眠る順番の時に来るくらいだった。

 どんな性格かもわからない。しかし、ある日、

「ママ、今日の放課後、友達とここでゲームやりたいんだけどいいかな?」
「友達いいよ。ただね、ママはいいんだけど、友達が来れるかどうかを確認してみようか?」

 妻のいる場所は、みんなが暮らしているところとは違う。規制が敷かれており、我が家の子供はいいが、他の家の子だと、子供を守るためにこちらに来れないということが起こり得る。

 ここは、国家機関の治安部隊、聖輝隊せいきたい貴増参たかふみに確認だ。ということで、愛香と一緒にリビングへ行った。

 貴増参が役所へ電話をして、愛香が友達の名前を三人分言った。そうして、すぐに回答は出て、全員妻の部屋に来ても問題ないということだった。しかし、今は朝であり、昨日は学校が休みだった。ということは、

「愛香? それは全員もう来るって決まってるの?」
「ううん。今日聞いてから決まるよ」
「そうか」

 その時はあまり気にせず、そのまま学校へと見送った。

 そうして、昼前に、非常勤の月命るなすのみこと焉貴これたかが帰ってきた。小学校に行っていない子供たちと、家で仕事などをしている大人たちで昼食を終えた。

 光命ひかりのみこと孔明こうめいがいるところへ、月命がやって来て、凛とした澄んだ女性的な声を響かせた。

「愛香のことなんですが……」

 何の話だろうかと思った。月命はニコニコと微笑みながら、こんなことを言った。

「学校の廊下で会った僕にこう言ったんです~。『先生、僕ね、今日、友達が三人遊びに来るんだよ』と」

 妻は思わずうなってしまった。

「愛香、頭よすぎる~~!」

 どういうことかというと、以下の条件を全てクリアしたということだ。

 1.夕方までに、友達の人数を知らせないと、お菓子とジュースの用意が間に合わない。(ママとパパが急ぐことになり困る)
 2.公私混同はしないときちんとしつけられているため、学校では絶対にパパと呼ばない。息子という素振りもしない。
 3.学校では携帯電話は非常事態か放課後にならないと使えない。
 4.月命は非常勤だから、お昼前に家に帰る。つまり、放課後に伝えるよりも先に家に伝わる。

 これは決して、愛香が子供らしく嬉しくて思わず、学校にいた月命に言ったのではない。なぜなら、朝にすでに妻と貴増参に言っているのだから。

 妻は思った。独健さんは理論派ではないから気づかなかったけど、もしかしたら、光命、焉貴、月命、孔明のように、記憶が定着してから今までのこと全部覚えてて、事実から可能性を小数点以下二桁まで導き出して、言動を起こしてるかも?

 感覚の妻が話しても、理解できないということで、孔明と光命にさりげなく話しかけてもらったが、ふたりとも、

 そうだ。

 と言っていた。理論派チビッ子、ここに現るだった。

 2019年10月29日、火曜日
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