明智さんちの旦那さんは10人いるそうで……

明智 颯茄

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小学校で叱られる

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 大人たちは瞬間移動できるため、我が子の様子を小学校の廊下で見ようとする親が、あとを絶たないという。

 我が家でも光命ひかりのみことがすでにやらかして、教師に注意を受けている。あまりにも忠告を聞かないと、出入り禁止の措置もあるらしい。

 しかしそれでも、孔明はじんの様子を見にいくと意気込んでいた。そうして、ある夜、また孔明が張飛ちょうひに対して、プンプン! になっていたので、痴話喧嘩だと放っておいた。

 そうしたら、光命が部屋へやって来て、夕食時のテレビのニュースで孔明のことをやっていたと。内容は、こうだった。

 孔明大先生、小学校で元恋人に叱られる――。

 本編で笑いとして書いていたことが、現実となってしまった。尋の様子が気になって、孔明は学校の廊下へ瞬間移動したのだろう。しかし、矛盾が生じるのだ。

 誰が映像を撮ったのかと。マスコミはもちろん学校へ入れない。そうなると、

 張飛が携帯電話で撮ったこととなる。つまりは、

 張飛はいつどこに孔明がやって来るのか、元恋人の勘で突き止めて、待ち構えていたということだ。

 その映像を 張飛がマスコミに渡したから、孔明はプンプン! になっているということだ。

 親バカだなと思った。結果の予測がつくのに、やってしまうのだから。

 その数日後。子供たちは学校へ行き、孔明が携帯電話を持ってやって来た。すると、そこには尋からのメールが届いていた。

 時刻を見ると、どうやっても授業中。メールを送るのが楽しくて、ずっと携帯電話を操作していたのを最近見かけていた。

 そのあとすぐに、私にもメールが届いた。

「どうする?」

 孔明に聞かれたが、答えはひとつである。

「返さないでしょ。学校の時間に送って来たんだから、対応しない」
「うん、ボクもそう思う」

 数十分後、担任の先生から電話がかかって来た。なぜ、メールが返ってこないのかと、尋が泣いていると。孔明からきちんと説明してもらい、電話はそれっきり切れた。

 妻は気になった。尋はどう思っているのだろう。今も泣いてるのだろうかと。そうして、学校へ瞬間移動しようとしたが、

 おっと、先生に迷惑かけるから、学校の外から見よう。

 校庭の端にある植え込みから、中を見ようとしたら、他の保護者の人たちでいっぱいだった。体育の授業をしている子供を、一眼レフカメラで連写撮りしている人がいる。

 距離にして、一メートルも開かないうちに他の人がいるという混雑具合だった。そうして、正門から、

「保護者のみなさん。郊外からの子供の様子を見るのも禁止です~。すぐにお帰りください~」

 凛とした澄んだ女性的なのに男性的な響き。

 この声は!?

 妻はぱっと振り返ると、月命るなすのみことがいた。

「おや? 君もいたんですか~?」

 他の保護者が瞬間移動をして、次々といなくなる中で、妻は気まずそうな顔をした。

「すみません。とうとうやってしまいました。しかも、るなすさんに迷惑かけるなんて」
「先ほど、門のところでゼリーをもらいましたから、今から持って帰ります~」

 言伝ことづてを聞いて、妻は深く反省しながら家に帰ってきた。しかも、外で注意されていたので、マスコミの人たちのカメラにバッチリ写っていた。

 そうして夜となり、夕霧命に、妻は懺悔をしていた。

「光さんと孔明さんのこと親バカだって言ってたけどさ。自分も変わらないんだと思ったよ」
「お前と光、孔明は胸の意識が強いから、心配性だ。そうなる」
「はぁ~。あんなに行かないように気をつけてたのに……。子供に何かあると行きたくなるんだなぁ」

 親はしっかり反省したが、尋のメールに夢中はまだまだ治らず、食事などはきちんと摂るが、その他の時間でずっとメールを送っていた。

 どうしたものかを思っていたが、他の子供たちがいいことを言っていた。

「先生が言ってたよ。友達の時間もあるって、だからメールと電話はほどほどに!」

 それを聞いた尋は、ピタリとメールを必要以上には送らなくなった。教育者というものは、さすがであると思った。

 2019年10月24日、木曜日
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