明智さんちの旦那さんは10人いるそうで……

明智 颯茄

文字の大きさ
上 下
48 / 80

つまれる

しおりを挟む
 今日は子供たちも一緒にお風呂へ入ることとなった。

 百理くだり樹愉隆じゅゆりゅ、どっちも童子で5歳。光命ひかりのみこととともに四人でお風呂へ行こうとすると、子供たちが、

「孔明パパは?」
「一緒に入りたいの?」
「そう」

 孔明は張飛についてまた怒っていて、話にいってから戻ってきてないから、ふたりきりでセックスでもしてるんじゃないのか。喧嘩は前戯だったってことで。しかし、子供たちに言うわけにもいかず、

「呼べば来るんじゃない?」
「パパ~!」

 呼ぶと、遠くのほうから、陽だまりみたいな柔らかな返事が返ってきた。

「どうしたの~?」
「お風呂一緒に入ろう?」

 子供に誘われて、もう一人を思い出した。

じんちゃんまだ入ってないから、連れてくるよ」

 こうして、私、光命、孔明、百理、樹愉隆、尋の五人でお風呂に入った。しかしすぐに、

「俺も入るからさ」

 焉貴これたかがやってきた。そうして、またすぐに、

「おう、入れろや」

 明引呼あきひこがやってきた。

 ちょ、ちょっと狭くなってきたんですけど……。

 戸惑っているうちに、お風呂の扉が開いて、

「おや~? もういっぱいですか~?」

 月命るなすのみことがやってきた。

「入れんだろ」

 明引呼に言われれば、ラブラブな月命が入らないわけがなく、さらにお風呂はいっぱいに。そうして、

「俺も入る」

 夕霧命がやってきた。

 いやいや! もういっぱいでしょ? どうして、今日だけこんなに混むんですか!

 妻は以前見送った案件をポツリつぶやく、ひどく後悔しながら。

「やっぱり、お風呂、増築しておくべきだったかなぁ~。でもなぁ~、たまたま今日だけかも知れないし……」

 とか思いながら、尋の髪を孔明が洗って、孔明の髪を月命が洗い、その髪を光命が洗い、その髪を夕霧命が洗い、その髪を焉貴が洗い、その髪を明引呼が洗い、シャンプーリレーになっていた。

「てめぇがオレの髪洗えよ」

 と要求され、妻が明引呼の髪を洗っていると、女性の声が聞こえてきた。そうして、またお風呂の扉が開き、奥さんたちふたりが入ってきた。覚師かくし莎理ざんり。女というものは、いつも強気で、

「つめれば、入れるだろ」

 と言って、強引に割り込んできた。妻は頭を抱える。

「やっぱり、増築しないとだぁ~」

 そんなママを見て、百理が、

「ママ、神様につまれたね・・・・・

 と言うのだ。どういう意味かはすぐにわかった。

 神様に、どうやっても増築する運命に追い込まれたね――。

 しかし、それよりも、ママが気になったのは、

つむ・・なんて、よく知ってるね? 学校じゃ教わらないでしょ? 誰に教わってきたの?」
「友だちが使ってた」

 しかし、同じ小学生の樹愉隆は不思議そうな顔をする。

「それって何?」
「あれだよ。みんながよく使ってる。ゲームとかで終わりの時に使うやつ」
「あぁ~、あれか。ツモツモ! ってやつだね」

 どんな学校生活なんだろうかと思っていると、光命が湯船に浸かりながら、増築依頼の電話をかけていた。明日の15時から工事が始まるらしい。

 2019年10月16日、水曜日
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...