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ハレンチと言われて
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明引呼の会社にも、女性の人が最近入ってきたらしく、彼女たちのオフィスライフを快適にという話が出た。今まで野郎だらけで、女性が一人もいなかったらしい。
一応、オフィスレディーをしていた妻は、どんなものが会社にあったらいいかと尋ねられた。
いくつか他にも案があったのだが、まずは最初に、更衣室があったほうがいいという話になった。
そうして今日、工事業者との打ち合わせで、妻も出席となり、13時前に明引呼のそばへいった。そこにはすでに、部下の女性が一人資料を用意していた。
その後、お茶を入れようとしていた。妻はこんな性格も手伝って、一緒にお茶を入れて、業者の人を待つこと数分。
今度は、明引呼の隣に座っている男性の部下と話をする。前から会ってみたかったと言われて、恐縮である。このような身の上でも、会いたいと願ってくれる人がいるとは。
そうこうしているうちに、業者の方がきた。今朝方降った、予報外れの雨の話をしてから、本題へ入った。デザインを担当するのは龍の女性だった。
ハイテクなこの世界では、注文の通りに作るとどのような出来上がりになるかを、実際に部屋の中に入っているように見ることができる。
出来上がったのだが、妻が使うわけでもなく、これはさっきお茶を入れていた女の人に意見を求めようということで、一緒に体験してみることにした。
照明の白い蛍光灯をシャンデリアに変更。
水道の蛇口を無機質なものから、花のデザインのものへ変更。
ロッカースペースは一人ずつ個室で、自分の好きなデザインに変えられるもの。
様々なものを女ふたりで体験して、その女性は思いもつかなかったことを教えてくだり、貴重な感想を聞かせてくださったりで、無事にデザインは決まった。そうして、工事費用である。
妻は女性目線で意見しただけで、会社の運営がどうなっているとかそんなことは知らない。というわけで、主導権は社長である明引呼へ戻った。
彼は携帯で電話をかけた。すると、向こうから陽だまりのような柔らかな男の声が聞こえてきた。
「おう、孔明」
やっぱり孔明さんに聞くだよなぁ。昨日も、費用と儲けと需要と、見込み需要について話してたもんなぁ。
そんなことを思っていると、女性の社員の方が、
「孔明さんって、あの孔明さんですか?」
あの孔明は一人しかいない。帝国一の頭脳を持つ、天才軍師と謳われた大先生。
笑い好きの妻は素知らぬふりで、相手のリアクションを大いに期待しながら、
「はい。あの孔明です。うちにいるんです」
しかし、女性社員の方は、私と性格が正反対で、驚きもせず笑いもせず、
「あぁ、そうですか。昨日、お子さん産まれましたよね?」
そう、昨日女の子が生まれた。名前は優艶という。孔明が長年付き合ってきた紅朱凛という妻との間に生まれた子供だ。昨日のニュースはこの話題で持ちきりだった。
そいうわけで、妻はにっこりと微笑み、
「はい、生まれました。お陰さまで、というか、私は何も貢献してないんですが……」
その女性はとても不思議そうな顔をしていた――。
ここまでが、本当にあった話である。
その後、この話を孔明に聞かせたら、
「颯ちゃん、ハレンチだ!」
と言われ、他の妻たちが数人集まる中では、一人の妻が大爆笑していた。
「あははははっ!」
他の妻たちが意味がわからず聞いてくる。
「どういうこと?」
「何をやらかしたの?」
次々に質問が来る中、妻は往生際がよくなく言い訳をする。
「いやいや、やらかしてはないですよ。結果がやらかしてるだけで……」
「それがやらかしてるって言うんでしょ?」
愛する妻に正論をもろぶつけられた。
何が悲しくて、自分の過ちの説明をしなくてはいけないのかと思った。妻も最初はよくわかっていなくて言ったのに。
「だから、こういう意味ですよ。セックスに貢献しなかった、って意味になるんです」
と言ったら、奥さんたちからこうツッコミが返ってきた。
「あなた、光みたいね。何でもエロ話に持っていっちゃって」
「いやいや! 違います! 謙虚でいようとしたつもりが、そういう意味になってただけです」
っていうか、光さん、他の奥さんたちの前でもスーパーエロなんだな。
2019年10月16日、水曜日
一応、オフィスレディーをしていた妻は、どんなものが会社にあったらいいかと尋ねられた。
いくつか他にも案があったのだが、まずは最初に、更衣室があったほうがいいという話になった。
そうして今日、工事業者との打ち合わせで、妻も出席となり、13時前に明引呼のそばへいった。そこにはすでに、部下の女性が一人資料を用意していた。
その後、お茶を入れようとしていた。妻はこんな性格も手伝って、一緒にお茶を入れて、業者の人を待つこと数分。
今度は、明引呼の隣に座っている男性の部下と話をする。前から会ってみたかったと言われて、恐縮である。このような身の上でも、会いたいと願ってくれる人がいるとは。
そうこうしているうちに、業者の方がきた。今朝方降った、予報外れの雨の話をしてから、本題へ入った。デザインを担当するのは龍の女性だった。
ハイテクなこの世界では、注文の通りに作るとどのような出来上がりになるかを、実際に部屋の中に入っているように見ることができる。
出来上がったのだが、妻が使うわけでもなく、これはさっきお茶を入れていた女の人に意見を求めようということで、一緒に体験してみることにした。
照明の白い蛍光灯をシャンデリアに変更。
水道の蛇口を無機質なものから、花のデザインのものへ変更。
ロッカースペースは一人ずつ個室で、自分の好きなデザインに変えられるもの。
様々なものを女ふたりで体験して、その女性は思いもつかなかったことを教えてくだり、貴重な感想を聞かせてくださったりで、無事にデザインは決まった。そうして、工事費用である。
妻は女性目線で意見しただけで、会社の運営がどうなっているとかそんなことは知らない。というわけで、主導権は社長である明引呼へ戻った。
彼は携帯で電話をかけた。すると、向こうから陽だまりのような柔らかな男の声が聞こえてきた。
「おう、孔明」
やっぱり孔明さんに聞くだよなぁ。昨日も、費用と儲けと需要と、見込み需要について話してたもんなぁ。
そんなことを思っていると、女性の社員の方が、
「孔明さんって、あの孔明さんですか?」
あの孔明は一人しかいない。帝国一の頭脳を持つ、天才軍師と謳われた大先生。
笑い好きの妻は素知らぬふりで、相手のリアクションを大いに期待しながら、
「はい。あの孔明です。うちにいるんです」
しかし、女性社員の方は、私と性格が正反対で、驚きもせず笑いもせず、
「あぁ、そうですか。昨日、お子さん産まれましたよね?」
そう、昨日女の子が生まれた。名前は優艶という。孔明が長年付き合ってきた紅朱凛という妻との間に生まれた子供だ。昨日のニュースはこの話題で持ちきりだった。
そいうわけで、妻はにっこりと微笑み、
「はい、生まれました。お陰さまで、というか、私は何も貢献してないんですが……」
その女性はとても不思議そうな顔をしていた――。
ここまでが、本当にあった話である。
その後、この話を孔明に聞かせたら、
「颯ちゃん、ハレンチだ!」
と言われ、他の妻たちが数人集まる中では、一人の妻が大爆笑していた。
「あははははっ!」
他の妻たちが意味がわからず聞いてくる。
「どういうこと?」
「何をやらかしたの?」
次々に質問が来る中、妻は往生際がよくなく言い訳をする。
「いやいや、やらかしてはないですよ。結果がやらかしてるだけで……」
「それがやらかしてるって言うんでしょ?」
愛する妻に正論をもろぶつけられた。
何が悲しくて、自分の過ちの説明をしなくてはいけないのかと思った。妻も最初はよくわかっていなくて言ったのに。
「だから、こういう意味ですよ。セックスに貢献しなかった、って意味になるんです」
と言ったら、奥さんたちからこうツッコミが返ってきた。
「あなた、光みたいね。何でもエロ話に持っていっちゃって」
「いやいや! 違います! 謙虚でいようとしたつもりが、そういう意味になってただけです」
っていうか、光さん、他の奥さんたちの前でもスーパーエロなんだな。
2019年10月16日、水曜日
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